65 / 70
第2部
28キースside
しおりを挟む
~18話後キースside~
ジャックの立ち去った方向にキースは進んでいた
はずだった……
が、明らかに先程の造りとは違う廊下を進んでいた
思い返せば、別棟に渡ってしまったような気がしてきていた
薄ぐらい廊下の奥深くに辿り着くと、
かすかに人の気配がする
「ここか?」
キースは扉の鍵の穴から室内の様子を窺った
「ソフィアちゃん‼︎ 扉から離れていて!
すぐに助けるから」
キースは外側に取り付けられた錠を刀
の柄で叩きつけて破壊した後、扉に思いっきり体当たりをした
「ソフィアちゃん!無事っすか?
どうしてこんな所に?って、
え⁉︎ あ、あなた様は…やばっ、す、すぐに解くっすますです」
キースはソフィアと、一緒にいる男性の縄を早急に解いた
「いやぁ、助かったよ、君は?」
「お、俺はキースと言います!治安隊の騎士であります!」
ビシッと男性に最敬礼で答えるキースは心臓が止まりそうになるほど驚いていた
「治安隊……? ということは、グレッグと面識あるのかな」
「はっ!俺はグレッグ先輩にはお世話になっています。あ、あの、どうしてアレクセイ様がソフィアちゃんと……?」
キースは隣にいるソフィアに視線を向ける
キースの視線を捉えた女性は、にこりと微笑みを浮かべる
「キースさんとおっしゃるのかしら?
ソフィアさんのこと、詳しく教えていただける?」
キースは自分達が誘拐されたことを二人に伝えた。
そして二人からも事情を伺った
✳︎✳︎✳︎
時を遡ること少し前
カムフラージュされた貸切の荷馬車が、ノーマン邸へと向かっていた
前方にアンジェリカ、後方には男達が乗っていた
あの男は別行動となった
フードを被り顔を隠したまま、アンジェリカは馬車の隙間から通りを眺めていた
「あれは!ちょっと止めなさい!あなた達、あの女がソフィアよ!さっさとおりなさい!」
腰まである長い金髪の女性と、ゆるやかに髪を束ねた黒髪の男性が腕を組むように寄り添って歩いていた
「リリー、いったいどこへ向かっているの?」
「たしか、もうすぐですわ、どうしてもお会いしたい人がいるの」
「皆に隠れて会わないといけない人なのかい?」
「アレク、隠れるだなんて人聞きが悪いですわ、それにアレクには護衛がついているのでしょう?」
「あぁ。まぁ護衛がいなくても問題ない。
リリーのことは私が守るから。
それに、きちんと身につけてくれて嬉しいよ」
アレクセイはリリアーナの胸元に光るネックレスを指でそっと触れる
「も、もう、アレクったら、そんなところを急に触れられたら驚くではありませんの」
「ふふ、私はネックレスに触れただけだよ? リリーは初心だよね。そういうところも綺麗だよ」
「アレク、もうからかうのは、おやめになって」
「リリー、そのネックレスがあるから大丈夫だ。私を信じてくれるね?」
「えぇ、もちろんですわ」
「ちょっと、つけられているようだ。あちらの人通りのない所へこのまま行こう。そこで始末する」
「すりか人攫いか…数が多いな」
二人は薄暗い路地へとぐんぐん進んで行く
路地にはいった途端、勢いよく男達が駆けてきて二人を取り囲んだ
手には凶器を振り翳し、ニタニタと下卑た笑いを浮かべる
「痛いめにあいたくなきゃ、大人しくついてきな、お二人さんよ」
「あなた達、おふざけはいいから、さっさと連れて来なさいね‼︎
先に行っているから!」
路地の向こうからフードを被った女性が大声で男たちに命じている
「あれは…」
「アレク、あの声の女性は…」
男は周囲へ見えるように手で形を作る
まるで何かの合図のように。
護衛に手出しをしないように指示を出したアレクセイは男達に声をかける
「抵抗はしないよ、いったい私たちに何の用かな」
「うっせぇ!無駄口はいいから二人とも大人しくついてきな」
男達に取り囲まれたまま二人は馬車へと連れて行かれた
というわけで、色々あって今に至るのだよ。
キース、私達も手を貸そう。
案内してもらえるか
「は、はいっ!」
三人は目的地が分からずにやみくもに進んでいた
「あの!
この先の部屋から先輩の声がするっす、ソフィアちゃんも無事なようなのです。
お、俺は察知能力には自信あるのでっ!
なので
たいへん申し訳ありません!
今、俺は先輩に見つかると殺されます!
本当に無礼をおゆるしください!」
キースは言葉を言い終える前に逃げるように走り去った
「ありがと……う、なんだか随分忙しい青年だな。
今度何か礼をしよう。
リリー、先の様子を見てくる。ここにいてくれるか」
「アレク、無茶なことはしないでね」
「あぁ、」
アレクセイは背後から護衛がやってくる気配を感じていた。
あれから指示を出していなかったからか
予想より遅かったな
リリーを怖がらせてしまった
リリーへのお詫びの贈り物は何がいいだろうか
まぁ、滅多にない面白い経験ができたと思うアレクセイだった
(25話への登場へ)
ジャックの立ち去った方向にキースは進んでいた
はずだった……
が、明らかに先程の造りとは違う廊下を進んでいた
思い返せば、別棟に渡ってしまったような気がしてきていた
薄ぐらい廊下の奥深くに辿り着くと、
かすかに人の気配がする
「ここか?」
キースは扉の鍵の穴から室内の様子を窺った
「ソフィアちゃん‼︎ 扉から離れていて!
すぐに助けるから」
キースは外側に取り付けられた錠を刀
の柄で叩きつけて破壊した後、扉に思いっきり体当たりをした
「ソフィアちゃん!無事っすか?
どうしてこんな所に?って、
え⁉︎ あ、あなた様は…やばっ、す、すぐに解くっすますです」
キースはソフィアと、一緒にいる男性の縄を早急に解いた
「いやぁ、助かったよ、君は?」
「お、俺はキースと言います!治安隊の騎士であります!」
ビシッと男性に最敬礼で答えるキースは心臓が止まりそうになるほど驚いていた
「治安隊……? ということは、グレッグと面識あるのかな」
「はっ!俺はグレッグ先輩にはお世話になっています。あ、あの、どうしてアレクセイ様がソフィアちゃんと……?」
キースは隣にいるソフィアに視線を向ける
キースの視線を捉えた女性は、にこりと微笑みを浮かべる
「キースさんとおっしゃるのかしら?
ソフィアさんのこと、詳しく教えていただける?」
キースは自分達が誘拐されたことを二人に伝えた。
そして二人からも事情を伺った
✳︎✳︎✳︎
時を遡ること少し前
カムフラージュされた貸切の荷馬車が、ノーマン邸へと向かっていた
前方にアンジェリカ、後方には男達が乗っていた
あの男は別行動となった
フードを被り顔を隠したまま、アンジェリカは馬車の隙間から通りを眺めていた
「あれは!ちょっと止めなさい!あなた達、あの女がソフィアよ!さっさとおりなさい!」
腰まである長い金髪の女性と、ゆるやかに髪を束ねた黒髪の男性が腕を組むように寄り添って歩いていた
「リリー、いったいどこへ向かっているの?」
「たしか、もうすぐですわ、どうしてもお会いしたい人がいるの」
「皆に隠れて会わないといけない人なのかい?」
「アレク、隠れるだなんて人聞きが悪いですわ、それにアレクには護衛がついているのでしょう?」
「あぁ。まぁ護衛がいなくても問題ない。
リリーのことは私が守るから。
それに、きちんと身につけてくれて嬉しいよ」
アレクセイはリリアーナの胸元に光るネックレスを指でそっと触れる
「も、もう、アレクったら、そんなところを急に触れられたら驚くではありませんの」
「ふふ、私はネックレスに触れただけだよ? リリーは初心だよね。そういうところも綺麗だよ」
「アレク、もうからかうのは、おやめになって」
「リリー、そのネックレスがあるから大丈夫だ。私を信じてくれるね?」
「えぇ、もちろんですわ」
「ちょっと、つけられているようだ。あちらの人通りのない所へこのまま行こう。そこで始末する」
「すりか人攫いか…数が多いな」
二人は薄暗い路地へとぐんぐん進んで行く
路地にはいった途端、勢いよく男達が駆けてきて二人を取り囲んだ
手には凶器を振り翳し、ニタニタと下卑た笑いを浮かべる
「痛いめにあいたくなきゃ、大人しくついてきな、お二人さんよ」
「あなた達、おふざけはいいから、さっさと連れて来なさいね‼︎
先に行っているから!」
路地の向こうからフードを被った女性が大声で男たちに命じている
「あれは…」
「アレク、あの声の女性は…」
男は周囲へ見えるように手で形を作る
まるで何かの合図のように。
護衛に手出しをしないように指示を出したアレクセイは男達に声をかける
「抵抗はしないよ、いったい私たちに何の用かな」
「うっせぇ!無駄口はいいから二人とも大人しくついてきな」
男達に取り囲まれたまま二人は馬車へと連れて行かれた
というわけで、色々あって今に至るのだよ。
キース、私達も手を貸そう。
案内してもらえるか
「は、はいっ!」
三人は目的地が分からずにやみくもに進んでいた
「あの!
この先の部屋から先輩の声がするっす、ソフィアちゃんも無事なようなのです。
お、俺は察知能力には自信あるのでっ!
なので
たいへん申し訳ありません!
今、俺は先輩に見つかると殺されます!
本当に無礼をおゆるしください!」
キースは言葉を言い終える前に逃げるように走り去った
「ありがと……う、なんだか随分忙しい青年だな。
今度何か礼をしよう。
リリー、先の様子を見てくる。ここにいてくれるか」
「アレク、無茶なことはしないでね」
「あぁ、」
アレクセイは背後から護衛がやってくる気配を感じていた。
あれから指示を出していなかったからか
予想より遅かったな
リリーを怖がらせてしまった
リリーへのお詫びの贈り物は何がいいだろうか
まぁ、滅多にない面白い経験ができたと思うアレクセイだった
(25話への登場へ)
21
お気に入りに追加
354
あなたにおすすめの小説

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

前世の記憶しかない元侯爵令嬢は、訳あり大公殿下のお気に入り。(注:期間限定)
miy
恋愛
(※長編なため、少しネタバレを含みます)
ある日目覚めたら、そこは見たことも聞いたこともない…異国でした。
ここは、どうやら転生後の人生。
私は大貴族の令嬢レティシア17歳…らしいのですが…全く記憶にございません。
有り難いことに言葉は理解できるし、読み書きも問題なし。
でも、見知らぬ世界で貴族生活?いやいや…私は平凡な日本人のようですよ?…無理です。
“前世の記憶”として目覚めた私は、現世の“レティシアの身体”で…静かな庶民生活を始める。
そんな私の前に、一人の貴族男性が現れた。
ちょっと?訳ありな彼が、私を…自分の『唯一の女性』であると誤解してしまったことから、庶民生活が一変してしまう。
高い身分の彼に関わってしまった私は、元いた国を飛び出して魔法の国で暮らすことになるのです。
大公殿下、大魔術師、聖女や神獣…等など…いろんな人との出会いを経て『レティシア』が自分らしく生きていく。
という、少々…長いお話です。
鈍感なレティシアが、大公殿下からの熱い眼差しに気付くのはいつなのでしょうか…?
※安定のご都合主義、独自の世界観です。お許し下さい。
※ストーリーの進度は遅めかと思われます。
※現在、不定期にて公開中です。よろしくお願い致します。
公開予定日を最新話に記載しておりますが、長期休載の場合はこちらでもお知らせをさせて頂きます。
※ド素人の書いた3作目です。まだまだ優しい目で見て頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
※初公開から2年が過ぎました。少しでも良い作品に、読みやすく…と、時間があれば順次手直し(改稿)をしていく予定でおります。(現在、142話辺りまで手直し作業中)
※章の区切りを変更致しました。(11/21更新)
紀尾井坂ノスタルジック
涼寺みすゞ
恋愛
士農工商の身分制度は、御一新により変化した。
元公家出身の堂上華族、大名家の大名華族、勲功から身分を得た新華族。
明治25年4月、英国視察を終えた官の一行が帰国した。その中には1年前、初恋を成就させる為に宮家との縁談を断った子爵家の従五位、田中光留がいた。
日本に帰ったら1番に、あの方に逢いに行くと断言していた光留の耳に入ってきた噂は、恋い焦がれた尾井坂男爵家の晃子の婚約が整ったというものだった。
捨てた騎士と拾った魔術師
吉野屋
恋愛
貴族の庶子であるミリアムは、前世持ちである。冷遇されていたが政略でおっさん貴族の後妻落ちになる事を懸念して逃げ出した。実家では隠していたが、魔力にギフトと生活能力はあるので、王都に行き暮らす。優しくて美しい夫も出来て幸せな生活をしていたが、夫の兄の死で伯爵家を継いだ夫に捨てられてしまう。その後、王都に来る前に出会った男(その時は鳥だった)に再会して国を左右する陰謀に巻き込まれていく。
王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~
石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。
食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。
そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。
しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。
何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。
扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
交換された花嫁
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」
お姉さんなんだから…お姉さんなんだから…
我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。
「お姉様の婚約者頂戴」
妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。
「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」
流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。
結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。
そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。
腹黒宰相との白い結婚
黎
恋愛
大嫌いな腹黒宰相ロイドと結婚する羽目になったランメリアは、条件をつきつけた――これは白い結婚であること。代わりに側妻を娶るも愛人を作るも好きにすればいい。そう決めたはずだったのだが、なぜか、周囲が全力で溝を埋めてくる。
【電子書籍発売に伴い作品引き上げ】私が妻でなくてもいいのでは?
キムラましゅろう
恋愛
夫には妻が二人いると言われている。
戸籍上の妻と仕事上の妻。
私は彼の姓を名乗り共に暮らす戸籍上の妻だけど、夫の側には常に仕事上の妻と呼ばれる女性副官がいた。
見合い結婚の私とは違い、副官である彼女は付き合いも長く多忙な夫と多くの時間を共有している。その胸に特別な恋情を抱いて。
一方私は新婚であるにも関わらず多忙な夫を支えながら節々で感じる女性副官のマウントと戦っていた。
だけどある時ふと思ってしまったのだ。
妻と揶揄される有能な女性が側にいるのなら、私が妻でなくてもいいのではないかと。
完全ご都合主義、ノーリアリティなお話です。
誤字脱字が罠のように点在します(断言)が、決して嫌がらせではございません(泣)
モヤモヤ案件ものですが、作者は元サヤ(大きな概念で)ハピエン作家です。
アンチ元サヤの方はそっ閉じをオススメいたします。
あとは自己責任でどうぞ♡
小説家になろうさんにも時差投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる