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第2部
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「短いっすね。」
「"必ず迎えに行く"
"待っていて"
"もうすぐだから"
なんだ、これは!
ソフィア読む必要はない」
グレッグは手紙を取り上げるとぐしゃぐしゃに丸めて捨てようとした。
「あー、先輩、だめっすよ。それはソフィアちゃんの手紙なんすから。あ、そういえば先輩が破り捨てた手紙も持ってきてるっす」
キースは補修した手紙をソフィアへ手渡した
「ごめん、ソフィアちゃん、補修する時に読んでしまったっす。これも似たような文でした」
「えっ?補修?」
「だって先輩が━」
グレッグはキースの口を塞ぎ言葉を遮る
「ソフィア、ちょっとした不可抗力があったのだ」
「そ、そうなのですね、でもわざわざ補修していただいてありがとうございます。
この手紙には"近いうちに会いに行く"と書かれています。
えっと、どういうことでしょう…」
「ソフィア、この手紙は証拠品として預からせてもらえるか。それと元ノーマン邸には近づかないように。今は一時的に国の管理となっているが、もうすぐ競売に出される。手紙の送り主はあそこにソフィアがいると思っているようだから、絶対に近づさないように。やはりストーカーだったか。心配しないで大丈夫だ。私が必ず片付けておくから」
「えっと、私は外に出ることはなかったので、ストーカーではないと思うのですが…」
ソフィアの呟きはグレッグの耳には届いていなかった。
グレッグは早急に対処すべく、キースと共に三日月亭を後にした。
✳︎✳︎✳︎
グレッグは本舎へ戻ると隊長室へと向かった。
ノックの返事を待つのももどかしく、室内に入室して早々に本題を切り出す
「隊長、しばらく休暇をいただきます」
「グレッグ、ちょうどいいところに来たな。ん?珍しいな、休暇申請か?」
「はい、例の手紙の件で、早急に始末しなければならない者がいますので。(ソフィアの)命に関わる重要案件です」
「グレッグ…手紙を届けたことは褒めてやるが、始末しないといけないような相手だったのか?」
「隊長に褒められても嬉しくありません。キースを、見張りによこしていましたね。信用されていないのがよく分かりました。なので、個人的に重要なことなのでしばらく休暇をいただきます。」
「お前なぁ、もう少し目上の者を敬え。まぁ、休暇は構わないが…一応お前の耳にも入れておく。アンジェリカ嬢の乗った馬車が事故にあったそうだ。安否も含め調査中だ」
「事故?今どこに?」
「不明だそうだ…峠を越える途中、カーブを曲がりきれずに崖下の川に転落したそうだ。遺体の可能性も含めて川を捜索している」
「護衛は何をしていたんですか」
「ちょうど死角に入った時で、護衛の者も転落の瞬間は見ていないそうだ。」
「逃亡の可能性は?」
「まぁ、かなり憔悴していたし、その可能性はないだろう」
「車内に一緒に乗っていた者がいるはずですよね?その者は」
「ん?あー、確か…」
隊長は手元の資料をパラパラとめくり確認する
「名前の記載はないな…。女性職員が同行の予定が急遽変更となっているが、まぁ、関係ないだろう。
きっと天罰が下ったんだな」
「この件も含めて、しばらく調査に向かうので戻りません。アンジェリカ嬢のことはソフィアには言わないでください。無駄に心配をかけたくないので」
「あぁ、止めても無駄だろうから、好きにしろ」
「失礼します」
グレッグはその足で三日月亭へと再び戻ることにした
「"必ず迎えに行く"
"待っていて"
"もうすぐだから"
なんだ、これは!
ソフィア読む必要はない」
グレッグは手紙を取り上げるとぐしゃぐしゃに丸めて捨てようとした。
「あー、先輩、だめっすよ。それはソフィアちゃんの手紙なんすから。あ、そういえば先輩が破り捨てた手紙も持ってきてるっす」
キースは補修した手紙をソフィアへ手渡した
「ごめん、ソフィアちゃん、補修する時に読んでしまったっす。これも似たような文でした」
「えっ?補修?」
「だって先輩が━」
グレッグはキースの口を塞ぎ言葉を遮る
「ソフィア、ちょっとした不可抗力があったのだ」
「そ、そうなのですね、でもわざわざ補修していただいてありがとうございます。
この手紙には"近いうちに会いに行く"と書かれています。
えっと、どういうことでしょう…」
「ソフィア、この手紙は証拠品として預からせてもらえるか。それと元ノーマン邸には近づかないように。今は一時的に国の管理となっているが、もうすぐ競売に出される。手紙の送り主はあそこにソフィアがいると思っているようだから、絶対に近づさないように。やはりストーカーだったか。心配しないで大丈夫だ。私が必ず片付けておくから」
「えっと、私は外に出ることはなかったので、ストーカーではないと思うのですが…」
ソフィアの呟きはグレッグの耳には届いていなかった。
グレッグは早急に対処すべく、キースと共に三日月亭を後にした。
✳︎✳︎✳︎
グレッグは本舎へ戻ると隊長室へと向かった。
ノックの返事を待つのももどかしく、室内に入室して早々に本題を切り出す
「隊長、しばらく休暇をいただきます」
「グレッグ、ちょうどいいところに来たな。ん?珍しいな、休暇申請か?」
「はい、例の手紙の件で、早急に始末しなければならない者がいますので。(ソフィアの)命に関わる重要案件です」
「グレッグ…手紙を届けたことは褒めてやるが、始末しないといけないような相手だったのか?」
「隊長に褒められても嬉しくありません。キースを、見張りによこしていましたね。信用されていないのがよく分かりました。なので、個人的に重要なことなのでしばらく休暇をいただきます。」
「お前なぁ、もう少し目上の者を敬え。まぁ、休暇は構わないが…一応お前の耳にも入れておく。アンジェリカ嬢の乗った馬車が事故にあったそうだ。安否も含め調査中だ」
「事故?今どこに?」
「不明だそうだ…峠を越える途中、カーブを曲がりきれずに崖下の川に転落したそうだ。遺体の可能性も含めて川を捜索している」
「護衛は何をしていたんですか」
「ちょうど死角に入った時で、護衛の者も転落の瞬間は見ていないそうだ。」
「逃亡の可能性は?」
「まぁ、かなり憔悴していたし、その可能性はないだろう」
「車内に一緒に乗っていた者がいるはずですよね?その者は」
「ん?あー、確か…」
隊長は手元の資料をパラパラとめくり確認する
「名前の記載はないな…。女性職員が同行の予定が急遽変更となっているが、まぁ、関係ないだろう。
きっと天罰が下ったんだな」
「この件も含めて、しばらく調査に向かうので戻りません。アンジェリカ嬢のことはソフィアには言わないでください。無駄に心配をかけたくないので」
「あぁ、止めても無駄だろうから、好きにしろ」
「失礼します」
グレッグはその足で三日月亭へと再び戻ることにした
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