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story⑤ 雨が上がるまで①
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こんな言い伝えを聞いたことはないでしょうか。
雨の降る日には不思議な現象が起こる。
空から降ってくる雨の雫には、色々な想いも詰まっている。
時としてその想いは形となり、亡くなった人やまだ存在していない者を現すこともあると━━。
***
「ねぇ、やっぱり明日の朝に出発しない?」
「美世、俺が朝弱いの知ってるだろう?
だいたい前日にホテル入りしようって言ったのは美世じゃないか。さぁ、ほら行くよ」
「賢人、ちょっと待って。 だってこんなに雨が酷いのよ? 視界も悪いわ。なんだかそれに気分が乗らないの……」
「はいはい、また美世お嬢様のわがままですか? そんな調子なら気分が乗らないからって、明日の式まで中止にするんじゃないだろうね?
結婚やめたいなら、そんな抽象的な言い方でなくてはっきり言えば?」
「ちょっと、茶化さないで。」
「ほらほら、美世ちゃんと見て。車にはワイパーがついてる。これは何の為についてると思ってる? こっちに来て、さぁ、機嫌なおして」
チュッと賢人は美世に口づけする。
「もぅ、すぐそうやって誤魔化すんだから」
「ほらほら出発出発!」
「賢人濡れてる。あ、そうだった、くじ引きの景品のタオルの予備が残ってる。これで拭いて」
「くじ引きとかするの?」
「さぁ?」
「なんだよ、さぁって。ははは」
お互い顔を見合わせて笑いあう。
幸せだった。
大好きな賢人と明日結婚式をあげる。
雨の降る日には不思議な現象が起こる。
空から降ってくる雨の雫には、色々な想いも詰まっている。
時としてその想いは形となり、亡くなった人やまだ存在していない者を現すこともあると━━。
***
「ねぇ、やっぱり明日の朝に出発しない?」
「美世、俺が朝弱いの知ってるだろう?
だいたい前日にホテル入りしようって言ったのは美世じゃないか。さぁ、ほら行くよ」
「賢人、ちょっと待って。 だってこんなに雨が酷いのよ? 視界も悪いわ。なんだかそれに気分が乗らないの……」
「はいはい、また美世お嬢様のわがままですか? そんな調子なら気分が乗らないからって、明日の式まで中止にするんじゃないだろうね?
結婚やめたいなら、そんな抽象的な言い方でなくてはっきり言えば?」
「ちょっと、茶化さないで。」
「ほらほら、美世ちゃんと見て。車にはワイパーがついてる。これは何の為についてると思ってる? こっちに来て、さぁ、機嫌なおして」
チュッと賢人は美世に口づけする。
「もぅ、すぐそうやって誤魔化すんだから」
「ほらほら出発出発!」
「賢人濡れてる。あ、そうだった、くじ引きの景品のタオルの予備が残ってる。これで拭いて」
「くじ引きとかするの?」
「さぁ?」
「なんだよ、さぁって。ははは」
お互い顔を見合わせて笑いあう。
幸せだった。
大好きな賢人と明日結婚式をあげる。
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