8 / 15
8
しおりを挟む
「エリー様、エリー様のお怒りはごもっともです。旦那様にお会いなさるのはお辛いかと…
それでも、どうしてもとおっしゃるのならば私もご一緒させてください。
今までの方々も…お救いすることは叶いませんでしたが、せめての罪滅ぼしとしまして、ご実家に戻られたり、修道院に入られたり、新たな嫁ぎ先を探しだしたり、ご本人のご希望に寄り添って参りました。
しかし、もう耐えられなく、今回こそはお止めしようとした矢先に…
エリー様のご希望を叶えさせてください」
マクスも巻き込まれているだけなのかもしれない。
あの時に助けてほしかったけれど、過ぎたことは戻らない
それに咎める相手はマクスではない
私は…
離縁した後…
この結婚にしがみつくつもりなんて微塵もない
けれど、ある程度の噂を知っていながら嫁がせるあの家に戻りたいとも思わない
「とりあえず、旦那様とお話しした後に考えます。」
離縁後については今は保留。
とにかく旦那様に一言…十言?百言?なんて言葉あるかしら?
とにかく思いつく限りのことを言わねば!
今迄の方の代弁も兼ねて
本当は顔も見たくないけれど、
でも…
呪いのことが妙に気になるわ
新たな被害者を防ぐためにも対峙しなければ。
私は妙な責任感が湧いていた。
何かしないと、あの時の事がつらすぎて耐えられないわ…
「エリー様、分かりました。旦那様は不眠なので今の時間でも問題はないでしょう。
ですが、エリー様は慣れない場所で、その…お疲れのことでしょう、今日の所はどうかこのままゆっくりとお休みください。
軽くお召し上がりいただけるものをお持ちいたします。
全ては明日になさいましょう。
朝食もお部屋へお持ち致します。
お食事がお済みになった後に旦那様のお部屋へご案内いたします。
それでは」
マクスは私の体調のことを気遣ってくれた。
私も気が昂っているけれど、休みたい気持ちはある。
旦那様と話すのは明日に持ち越すことにしよう。
***
あの後マクスが軽食を運んでくれたけれど、ほとんど喉を通らなかった
ベッドに横になり、マクスの言っていたことを思い出す
辺境の地故に隣国との争いや、魔物討伐の機会も少なくはない。
その際は鎧を着ているので、旦那様の容姿については触れられることはなかったようだ。
さすがに歳を取らないという発想をする者はいないので、万が一見かけられても、同一人物ではなく親戚と思われていたようだ。
メリッサ様の件については王家より一切の協力はなかったそう。
まぁ王家からしたら、旦那様のことが許せないでしょう
メリッサ様の気持ちを踏み躙り、辛い最期を迎えさせた元凶
なんのお咎めもなかったのが不思議なくらい
そんな事を考えながらうとうととしていると、いつの間にか朝を迎えていた
身支度を終えて、物音がしたので扉を開けると、マクスが朝食を運んできてくれるところだった。
有り難くトレイを受け取ると部屋へと運ぶ。
昨日あんな事があったので、シャワーを延々と浴び続け、泣きはらし、なんとか記憶から消去しようと精神バランスをはかっている。
食事を終えて、マクスの迎えを待つ間、部屋の窓から見える庭を見渡す。
綺麗な庭園が広がっている。
あら?
庭園の中をゆっくりと1人の女性が歩いているのが見えた。
遠いからよくわからないけれど、なんとなく昨日見かけた女性の気がした。
ここには私達以外に誰もいないと言っていたけれど…
じっとみつめていると、ふとこちらを見上げた女性と目が合った気がした
この距離でそんなはずないのに
なのに帽子を被った女性の姿をはっきりと見ることかできる。その表情はどこか物憂げで、それでも私に向かってふっと笑いかけている気がした
「エリー様」
「今開けるわ」
ノックの音がしてマクスの声に返事をした後、庭園を見ると、先程の女性の姿は見えなかった。
それでも、どうしてもとおっしゃるのならば私もご一緒させてください。
今までの方々も…お救いすることは叶いませんでしたが、せめての罪滅ぼしとしまして、ご実家に戻られたり、修道院に入られたり、新たな嫁ぎ先を探しだしたり、ご本人のご希望に寄り添って参りました。
しかし、もう耐えられなく、今回こそはお止めしようとした矢先に…
エリー様のご希望を叶えさせてください」
マクスも巻き込まれているだけなのかもしれない。
あの時に助けてほしかったけれど、過ぎたことは戻らない
それに咎める相手はマクスではない
私は…
離縁した後…
この結婚にしがみつくつもりなんて微塵もない
けれど、ある程度の噂を知っていながら嫁がせるあの家に戻りたいとも思わない
「とりあえず、旦那様とお話しした後に考えます。」
離縁後については今は保留。
とにかく旦那様に一言…十言?百言?なんて言葉あるかしら?
とにかく思いつく限りのことを言わねば!
今迄の方の代弁も兼ねて
本当は顔も見たくないけれど、
でも…
呪いのことが妙に気になるわ
新たな被害者を防ぐためにも対峙しなければ。
私は妙な責任感が湧いていた。
何かしないと、あの時の事がつらすぎて耐えられないわ…
「エリー様、分かりました。旦那様は不眠なので今の時間でも問題はないでしょう。
ですが、エリー様は慣れない場所で、その…お疲れのことでしょう、今日の所はどうかこのままゆっくりとお休みください。
軽くお召し上がりいただけるものをお持ちいたします。
全ては明日になさいましょう。
朝食もお部屋へお持ち致します。
お食事がお済みになった後に旦那様のお部屋へご案内いたします。
それでは」
マクスは私の体調のことを気遣ってくれた。
私も気が昂っているけれど、休みたい気持ちはある。
旦那様と話すのは明日に持ち越すことにしよう。
***
あの後マクスが軽食を運んでくれたけれど、ほとんど喉を通らなかった
ベッドに横になり、マクスの言っていたことを思い出す
辺境の地故に隣国との争いや、魔物討伐の機会も少なくはない。
その際は鎧を着ているので、旦那様の容姿については触れられることはなかったようだ。
さすがに歳を取らないという発想をする者はいないので、万が一見かけられても、同一人物ではなく親戚と思われていたようだ。
メリッサ様の件については王家より一切の協力はなかったそう。
まぁ王家からしたら、旦那様のことが許せないでしょう
メリッサ様の気持ちを踏み躙り、辛い最期を迎えさせた元凶
なんのお咎めもなかったのが不思議なくらい
そんな事を考えながらうとうととしていると、いつの間にか朝を迎えていた
身支度を終えて、物音がしたので扉を開けると、マクスが朝食を運んできてくれるところだった。
有り難くトレイを受け取ると部屋へと運ぶ。
昨日あんな事があったので、シャワーを延々と浴び続け、泣きはらし、なんとか記憶から消去しようと精神バランスをはかっている。
食事を終えて、マクスの迎えを待つ間、部屋の窓から見える庭を見渡す。
綺麗な庭園が広がっている。
あら?
庭園の中をゆっくりと1人の女性が歩いているのが見えた。
遠いからよくわからないけれど、なんとなく昨日見かけた女性の気がした。
ここには私達以外に誰もいないと言っていたけれど…
じっとみつめていると、ふとこちらを見上げた女性と目が合った気がした
この距離でそんなはずないのに
なのに帽子を被った女性の姿をはっきりと見ることかできる。その表情はどこか物憂げで、それでも私に向かってふっと笑いかけている気がした
「エリー様」
「今開けるわ」
ノックの音がしてマクスの声に返事をした後、庭園を見ると、先程の女性の姿は見えなかった。
10
お気に入りに追加
349
あなたにおすすめの小説
【完結】欲しがり義妹に王位を奪われ偽者花嫁として嫁ぎました。バレたら処刑されるとドキドキしていたらイケメン王に溺愛されてます。
美咲アリス
恋愛
【Amazonベストセラー入りしました(長編版)】「国王陛下!わたくしは偽者の花嫁です!どうぞわたくしを処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(にっこり)」意地悪な義母の策略で義妹の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王女のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯?
【完結】私の望み通り婚約を解消しようと言うけど、そもそも半年間も嫌だと言い続けたのは貴方でしょう?〜初恋は終わりました。
るんた
恋愛
「君の望み通り、君との婚約解消を受け入れるよ」
色とりどりの春の花が咲き誇る我が伯爵家の庭園で、沈痛な面持ちで目の前に座る男の言葉を、私は内心冷ややかに受け止める。
……ほんとに屑だわ。
結果はうまくいかないけど、初恋と学園生活をそれなりに真面目にがんばる主人公のお話です。
彼はイケメンだけど、あれ?何か残念だな……。という感じを目指してます。そう思っていただけたら嬉しいです。
彼女視点(side A)と彼視点(side J)を交互にあげていきます。
婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。
国樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。
声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。
愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。
古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。
よくある感じのざまぁ物語です。
ふんわり設定。ゆるーくお読みください。

【完結】忌み子と呼ばれた公爵令嬢
美原風香
恋愛
「ティアフレア・ローズ・フィーン嬢に使節団への同行を命じる」
かつて、忌み子と呼ばれた公爵令嬢がいた。
誰からも嫌われ、疎まれ、生まれてきたことすら祝福されなかった1人の令嬢が、王国から追放され帝国に行った。
そこで彼女はある1人の人物と出会う。
彼のおかげで冷え切った心は温められて、彼女は生まれて初めて心の底から笑みを浮かべた。
ーー蜂蜜みたい。
これは金色の瞳に魅せられた令嬢が幸せになる、そんなお話。

悪役だから仕方がないなんて言わせない!
音無砂月
恋愛
マリア・フォン・オレスト
オレスト国の第一王女として生まれた。
王女として政略結婚の為嫁いだのは隣国、シスタミナ帝国
政略結婚でも多少の期待をして嫁いだが夫には既に思い合う人が居た。
見下され、邪険にされ続けるマリアの運命は・・・・・。

【完結】巻き戻りを望みましたが、それでもあなたは遠い人
白雨 音
恋愛
14歳のリリアーヌは、淡い恋をしていた。相手は家同士付き合いのある、幼馴染みのレーニエ。
だが、その年、彼はリリアーヌを庇い酷い傷を負ってしまった。その所為で、二人の運命は狂い始める。
罪悪感に苛まれるリリアーヌは、時が戻れば良いと切に願うのだった。
そして、それは現実になったのだが…短編、全6話。
切ないですが、最後はハッピーエンドです☆《完結しました》

【完結】転生地味悪役令嬢は婚約者と男好きヒロイン諸共無視しまくる。
なーさ
恋愛
アイドルオタクの地味女子 水上羽月はある日推しが轢かれそうになるのを助けて死んでしまう。そのことを不憫に思った女神が「あなた、可哀想だから転生!」「え?」なんの因果か異世界に転生してしまう!転生したのは地味な公爵令嬢レフカ・エミリーだった。目が覚めると私の周りを大人が囲っていた。婚約者の第一王子も男好きヒロインも無視します!今世はうーん小説にでも生きようかな〜と思ったらあれ?あの人は前世の推しでは!?地味令嬢のエミリーが知らず知らずのうちに戦ったり溺愛されたりするお話。
本当に駄文です。そんなものでも読んでお気に入り登録していただけたら嬉しいです!

【完結済】ラーレの初恋
こゆき
恋愛
元気なアラサーだった私は、大好きな中世ヨーロッパ風乙女ゲームの世界に転生していた!
死因のせいで顔に大きな火傷跡のような痣があるけど、推しが愛してくれるから問題なし!
けれど、待ちに待った誕生日のその日、なんだかみんなの様子がおかしくて──?
転生した少女、ラーレの初恋をめぐるストーリー。
他サイトにも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる