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「騒がしくて失礼。本日は噂のマーティン家のご令嬢も来ると伺っていましたが……
あなたは、どう見ても違いますね?
おかしいですね、私が見落とすことはないのですが。
書類に不備があったようです。少々お待ちを。
これを作成したのは誰だ?」
ニコライは、本日神殿に滞在する予定の者が記載された書類を掲げながら皆を見渡す。
素早く皆一斉に、視線を逸らした
私のせいで、誰かがお咎めを受けるのかもしれない。
「ニコライさま、その書類間違えておりません。
私が、その噂のマリーベル・マーティンです」
自分の噂を肯定しながら、自己紹介をすることになるなんて恥ずかしすぎる。
ほんのりと頬が紅潮する
「彼女が?嘘だろ、だって確か悪女じゃないのか?」
「むしろ女神だ」
「あぁ」
あぁ、やはり私の噂はここでも広まっているのね…
家の者に対しても酷い仕打ちなどしたことないのだけど、なぜかしら。
あまり積極的に誰とも交流していないのだけれど。
私のことをよく思わない方がいるのでしょう
こんな風に噂だけが広まって……
はぁ、またため息がでてしまう。
とりあえず、神殿の中だけでも噂を何とかしなければ。
そうしたら、アーサーさまも私の努力を認めてくださるかしら。
人前だということも忘れて、一人の世界に入っていた。
そんな私を凝視しているニコライ様の視線にきづく。
「ニコライさま?」
「あ、失礼しました、マリーベル嬢。
神官長の所へご案内します。
教育がなってなくて申し訳ありません。彼らには後ほどきっちりと教育しておきますので、お気になさらず」
ニコライは周囲を一瞥すると、神官達は青褪めていた。
大丈夫かしら。
「ニコライさま、私の噂のことでしたら構いません。私の問題ですし…。
むしろ、そんな噂のある私の滞在を許可してくださって、神殿の皆様には感謝しておりますわ」
私は精一杯の感謝の気持ちを述べて、軽く微笑む。
「天使だ」「お近づきになりたい」
周囲から声が聞こえて、なんだか注目されて恥ずかしい。
「マリーベル嬢は、随分噂とは違うようですね。
お優しいですね。
滞在期間中は、不手際がないように私があなたのお力になります。」
ニコライは微笑を浮かべていた。
眩しい
その笑顔は反則だわ。
思わずトクンと胸が高鳴る。
「私のような者と関わると、ニコライ様にご迷惑かかると思います。ですので、あまり私のことはお気になさらず」
「私がそうしたいのです。それでは参りましょう」
「そ、そうなのですか。よろしくお願いします。」
あなたは、どう見ても違いますね?
おかしいですね、私が見落とすことはないのですが。
書類に不備があったようです。少々お待ちを。
これを作成したのは誰だ?」
ニコライは、本日神殿に滞在する予定の者が記載された書類を掲げながら皆を見渡す。
素早く皆一斉に、視線を逸らした
私のせいで、誰かがお咎めを受けるのかもしれない。
「ニコライさま、その書類間違えておりません。
私が、その噂のマリーベル・マーティンです」
自分の噂を肯定しながら、自己紹介をすることになるなんて恥ずかしすぎる。
ほんのりと頬が紅潮する
「彼女が?嘘だろ、だって確か悪女じゃないのか?」
「むしろ女神だ」
「あぁ」
あぁ、やはり私の噂はここでも広まっているのね…
家の者に対しても酷い仕打ちなどしたことないのだけど、なぜかしら。
あまり積極的に誰とも交流していないのだけれど。
私のことをよく思わない方がいるのでしょう
こんな風に噂だけが広まって……
はぁ、またため息がでてしまう。
とりあえず、神殿の中だけでも噂を何とかしなければ。
そうしたら、アーサーさまも私の努力を認めてくださるかしら。
人前だということも忘れて、一人の世界に入っていた。
そんな私を凝視しているニコライ様の視線にきづく。
「ニコライさま?」
「あ、失礼しました、マリーベル嬢。
神官長の所へご案内します。
教育がなってなくて申し訳ありません。彼らには後ほどきっちりと教育しておきますので、お気になさらず」
ニコライは周囲を一瞥すると、神官達は青褪めていた。
大丈夫かしら。
「ニコライさま、私の噂のことでしたら構いません。私の問題ですし…。
むしろ、そんな噂のある私の滞在を許可してくださって、神殿の皆様には感謝しておりますわ」
私は精一杯の感謝の気持ちを述べて、軽く微笑む。
「天使だ」「お近づきになりたい」
周囲から声が聞こえて、なんだか注目されて恥ずかしい。
「マリーベル嬢は、随分噂とは違うようですね。
お優しいですね。
滞在期間中は、不手際がないように私があなたのお力になります。」
ニコライは微笑を浮かべていた。
眩しい
その笑顔は反則だわ。
思わずトクンと胸が高鳴る。
「私のような者と関わると、ニコライ様にご迷惑かかると思います。ですので、あまり私のことはお気になさらず」
「私がそうしたいのです。それでは参りましょう」
「そ、そうなのですか。よろしくお願いします。」
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