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「クリスティナ嬢!やっと直接触れることができる!」

アランはフィオナをガバリと抱きしめると、とんでもない要求を伝える。

「クリスティナ、実はこの腕輪を外す最も簡単な方法があるんだ。」

「え?分からないのではないのですか?」

「いや、分からないのは腕輪を放置したら一族が呪われることの解除方法だ。一年以上腕輪の持ち主がいないと災いが起き呪われる。簡単に取り外す方法はある。よく知られた方法だ。どうか協力してほしい」

アランは抱きしめていた腕の力を緩めると、クリスティナの頬に手を添える。黒曜石のような瞳の奥に仄かな熱情の灯火が見える。

ゆっくりとアランの顔が近いてきたので、クリスティナは真っ赤になりながらも、そっと瞼を閉じた。

「んっ!」

突如コトッと金属が落ちる音が聞こえた。

「あぁ、やはりあなただった。」

最初辿々しい口づけを交わしていた二人。けれど、いつの間にか欲情に流されるままにクリスティナもアランも執拗にお互いの唇を求めあっていた。

「アラン様っ、苦しいです」

「クリスティナ、腕輪の解除方法は、最愛の人とのキスなのだ。あの時の言葉を訂正させてほしい。このまま私と結婚してほしい。どうか、あなたを一番に守れる存在に、子供の頃願った、あなたの本物のヒーローにならせてほしい。」

「旦那様、私も、このまま旦那様と呼べる関係でいたいです。お慕いしています」

眩い光に包まれた後に、二人はアランの部屋に移動していた。アランの手には外れた腕輪が握られている。

「アラン様、この腕輪はずっと一族に引き継がなければならないのですか?」

「実は、ヒントは残されているんだ。異世界と甘いものの名前……タルトだったかケーキだったかパイか」

フィオナはアランの手にある腕輪の装飾に目を凝らす。ビッシリと数字が刻印されていた。

「この数字は動くのですか?」

「あぁ魔力を注げば。クリスティナからもわずかだが魔力の気配を感じる。この数字を動かすことはできるだろう。だが、下手に触らない方がいい」

「いいえ、旦那様、私、解除方法
わかるかもしれません。」


✳︎✳︎✳︎

「ちょっとルンルンこんな所に呼び出して何の用?この間の仕返しのつもり?」

「ごめんなさい!」

「何するの!」
「出してよ」
「メアリー、マーシャル、怖いよ」

フィオナは腕輪の力を使い三人を鏡の中へと閉じ込めた。今日一日だけそこで反省してもらいましょう。

一時的な記憶力には自信がありますので。

異世界、パイ、不定期に閉じ込められる日数、つまり円周率が鍵です。3.14159…

食堂に来るお客さんに教わったことがあるのです。またお仕事の経験が役に立ちました。


「クリスティナ、準備は終わったか?」

「はい!旦那様」

今日だけは誰にも邪魔されたくないから。
だって、今日は旦那様との結婚式の日。
婚姻届はまだ提出されていなかったので、フィオ姉様も重婚の心配はないみたい。

「クリスティナ、式場へ行く前に少しだけ、元気を補充させてほしい」

「旦那様、化粧が取れてしまいますっ」

「クリスティナは素顔が一番かわいい」

「んっ」

アランはクリスティナの唇にそっと自身の唇を重ねる。

「クリスティナ、どんなに変装していようとも、次は必ず見つけてみせる」


「ふふ、説得力ありませんね、もしかしたら今の私、はフィオ姉様の変装かもしれませんよ」

「では、確かめる必要があるな」

アランはクリスティナを抱き上げると、そのまま馬車へと乗り込む。

式場に着くまでの道のりも、口づけを交わし続ける。


まるで、お互いの気持ちを全身で確かめあうように。


~fin~


ここまでお読みいただいた方がいらっしゃるか分かりませんが、ありがとうございますm(_ _)m

長編にする予定が急遽短編に変更したので、駆け足ぎみになってしまいました



ありがとうございました!
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みんなの感想(2件)

ゆうゆ
2024.09.30 ゆうゆ
ネタバレ含む
m
2024.09.30 m

ゆうゆ様、お優しいお言葉をありがとうございますm(_ _)m

他作品の宣伝をしていいのか分かりませんが……メリッサ王女の出てくるお話は
呪われた辺境伯と〜(以下略)
です。ご興味がありましたら……

姉のフィオーリの件については少しになると思いますが、番外編を検討しています。
王家に関するお話は別作品予定未定ですm(_ _)m

残暑もまだ続いていますので、ゆうゆ様もどうぞご自愛ください

まさか2回もご感想いただけると思わず、嬉しいです。

今は他作品を書いているので、いつになるかは申し上げられませんが、気長に覚えていていただけますと幸いです!

貴重なお時間いただきまして、本当にありがとうございますm(_ _)m長文失礼しました



解除
ゆうゆ
2024.09.29 ゆうゆ
ネタバレ含む
m
2024.09.29 m

ゆうゆ様 ご感想をありがとうございますm(_ _)m
 文字数を制限する為に色々と削除していまして、分かりにくく申し訳ありませんm(_ _)m
・侍女達の件→解雇者の名前の書類と継続雇用の名前の書類が用意してあったものを、すり替えた為です。

・定期的に腕輪のせいでアランは消えてしまうので、一族の事情を知るルークが補佐となっています

・腕輪は王家の秘宝の一つという設定です。宣伝になってしまいますが、メリッサ王女は他作品に登場しています。その中でオルゴールが出てきます。メリッサ王女はその中で生きています。

今回は腕輪ですが、いずれ王家のエピソードを書きたいと思っています


・侍女達はあんなにひどいことをしたのに、まだ雇われています……

全体的に説明不足で失礼しましたm(_ _)m

お読みいただき本当に感謝申し上げます!

誤作動で保存する前に消したりなどありまして……(/ _ ; )

迷惑な長文大変失礼しました

解除

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