想っていたのは私だけでした

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会場に商品として現れたのは、ここにいるはずのないスミレだった

いてもたってもいられずアルは立ち上がり、会場の見える窓に近づく

鬼の形相でアルは睨みつつデーに呼びかける

「デー、あいつらあの時の下着男どもでは!」

「なんだと」

スミレを連れて来た男たちは、騎士団へ引き渡した(強引に送り飛ばした)はずの下着男共だった

「どういうことだ」デーは驚きつぶやく


「それではみなさん、こちらのかわいいお嬢さん、300万ベルからスタートです」

「300万だと…?あいつら…命が惜しくないとみえる。やはり始末しとくべきだった…彼女にこんな…」


怒りが込み上げて、額に青筋が浮かぶアメ
拳を握りしめて我慢の限界に達していた

見兼ねたデーが、アメを制して落ち着かせる


「やめろアメ! お前、台無しにする気が?」

「まだそんな悠長なことを言っているのですか?彼女が!ス、クロがあんな目にあっているのに!
私を止めるなら、デーを軽蔑します!」


「お前、しれっと不敬なことを平気で言うよな。いやいやとにかく待て。
 彼女には本当に申し訳なく思うし、なぜこんなことになったのか…これは予想外だ…あいつら、しばく!」

「予想外なら尚のこと、しばくなど生ぬるい。彼女以外吹き飛ばします! 
あぁ、ご心配なく、デーのお手を煩わせることのないように、木っ端微塵に!跡形もなく」

ふっと微笑を浮かべるアメ

これは相当に怒っていると痛感するデー

「お前、心配するわ!そんなことしたら…あいつらでも流石に逃げきれない…」

ごにょごにょと歯切れの悪いデーに、不信感をあらわにするアメ

「当然です、あんな雑魚逃しませんよ」

「あ、いや、私が心配してるのは…あいつらでなくてだな…
あぁもう面倒くさいな」


会場もといこの辺り一体を地図から消滅させてしまうのではないかというくらいの殺気を放つアメ

「1億ベル!」

デーは、アメを止めるためにカードに急ぎ記入し入札をした


ざわめく会場

「1、1億ベルでました!いきなり桁違い。他にいらっしいますか」


さぁさぁ他の入札はという司会者の言葉に
アメはデーを睨みつける

「1億ですと?彼女の価値が?」

「あ、あぁ、いや私は人を価格で決めるような最低な人間ではないぞ。分かるよな?アメ」

デーに返答もぜず無言で記入するアメ

投入し終えデーに目配せする

「せ、せ、一千億ベル、千億ベルです!他にいらっしゃっいますか、いらっしゃらない?」


「彼女の価値は千億でも安い」
「お前、本気だな…」


さすがにこれで穏便に救出できると思っていた2人

だがもっとふんだくれると欲張る男がとんでもないことを言い出す

「千億ベルのお客様に落札…」


司会者が言い終える前に男が横から割り込んだ


「皆様!実はここにいる娘、治癒魔法が扱えるんですぜー。きっと千億以上の価値があると思いますぜ。おい、やれ」

「へ、へぇ、了解です。」


「今からこいつがこのお嬢ちゃんを切りつけます。それをお嬢さんが治療するところをごらんにいれましょー」

小男がナイフを手にかざして、あろうことかスミレの腕を切りつけようとしていた

















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