想っていたのは私だけでした

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ガヴェインが去っていく姿を見たアルは、スミレの元へと急いだ

「彼と…どんな話しをしたんだ?泣いてるのか?振られたのか…」

「泣いてませんからっ!それに振られてないですからって、アル様がどうしてそんなこと知ってるのですか?もう、この際どうでもいいです。」

急に早口で話し始めるスミレの剣幕に、アルは戸惑っていた

「結婚するんですって。彼女さんお腹に赤ちゃんもいるんですって」

「結婚?」

「えぇ、完全に、私のこと、これっぽっちも気にしても…なかったです。せめて妹みたいには思っててくれてもいいと思うのに…」

感情のコントロールができなくなったスミレは先程の勢いはなくなり落ち込んだ
その様子を見てアルはたまらずに焦った


「私ではだめだろうか。兄のような存在に思えないか?彼より…」

「え?アル様がですか…兄…ですか?
それは…畏れ多くて…」


「畏れ多くはない。君の家族にならせてほしい!」

堂々と言い切るアルに絶句するスミレ

声を発したのは物影から見ていた殿下だった


「はぁ!」


「盗み聞きとは、随分なご趣味で、殿下」


「お前、さすがにそれは色々段階飛びすぎだろ」


「何がですか。私はスミレの家族のように頼れる存在になりたいんです。あの時、先程スミレが襲われそうになった時、痛感したんです。私が守らなければと!」

「だからな、それは、お前はスミレとどういう関係になりたいんだ?」

「だから、家族の━」
「家族ということは結婚するのか?」

「結婚?」

「あぁ。お前は彼女に求婚してるのか?」

「ひょえっ」

スミレは驚きのあまり口から変な言葉が飛び出し赤面する。

顔を赤らめるスミレを見たアルは、一瞬考えて後、言葉を発する

「そうですね、確かに一番確実に守れる存在になれますね。思いつきませんでした。ご忠告ありがとうございます殿下」


言い終えるとアルはスミレに近づくと、足元に片足を立ててひざまつく

そしておもむろにスミレの手をとり何か言おうとした

「アル!やめろ!」

「なぜ止めるのですのですか?」

「いや、だからだな、彼女の気持ちもあるだろ。あんなことがあったばかりだし。こう雰囲気もあるだろ」

「あぁ確かにそうですね、場所が悪い。
私は気にしません。スミレ━」

「やめんか!」

殿下は跪くアルを、あろうことか蹴り飛ばした
はずだった

咄嗟にスミレを抱き抱えアルは避けていた

「アル、お前…」

「殿下~!もう皆待ってます」
「早く行きましょうよ」
「アルバート様も来られるのですか?」
「とりあえず殿下お連れしますね」


わらわらと騎士達は殿下の両脇を抱えて取り囲むように連れ去る
 「おい、こらこら待て!私はアルに話しが!」

「後からでいいじゃないですかー」
「今日は俺たち頑張ったんですから!」

賑やかな騎士達と共に殿下は去っていった

「アル、お前にはしばらく休暇をやる」

と言う言葉を残して









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