11 / 32
1
10
しおりを挟む
「ところでさっきの「紫」ってアルのあだ名かい?名前名乗らなかったの?適当に偽名でも言えば良かったのに」
ずりずりと下着男を引きずりながらアルは答える
「治療に名前は必要ないと言われまして」
「ふ~ん。珍しいね、アルを見て名前すら尋ねないなんて。アルに見つめられただけで失神するファンも多いのに。近づこうと突進してくる令嬢もいるのに。」
「なんですか、失神って。私は見つめてなどいないですが。肩書きに寄ってくるのでしょ、そういう女性は苦手ですし」
苛立つ気持ちを下着男にぶつけるように乱暴に引きずりながら歩く
「肩書きだけではないだろう。私が女だったらお前に惚れてる」
殿下はぐいっとアルに距離を詰めた
咄嗟に下着男を壁に使う
「ははは、アルは面白いな。ところで、その下着、アルが保管しておきたまえ。」
殿下は頭の下着を指さすとニコニコ顔で促す
「は、はぁ!さ、さすがにそれはっ」
直視できずにオロオロするアル
「まさか、アル、お前は騎士達に彼女の下着をみせびらかすつもりか?仮にも私の命の恩人だぞ」
「そっ、そそそそうですが」
「ほらほら、早く~。このまま連れて行くのは時間がかかる。転移させるから下着をほら」
「そ、そういうことでしたら…」
こ、これは恩人の下着とはいえ衣服だ
きちんと持ち主へ返すのが礼儀というもの
目を瞑りええいっと頭から外してすぐにポケットへ突っ込んだ
「ははは、アル、女性の持ち物だからもっと丁寧に扱わないと」
「この件に関しては、絶対に誰にも言わないで下さい殿下」
「さぁ、どうするかなぁ」
「殿下~!」
「さてと、戻るか」
下着男、下着を外したのでただの男となった者を役所へと飛ばした殿下は颯爽と歩き出す
ポケットが妙に熱を帯びて感じるアルは落ち着がない気持ちでその後を追った
「殿下?」
急に霧が辺りに立ち込めて視界が遮られた
「なんだ…」
「殿下ー!どこですか!」
声を張り上げるも返事がない
なんということだ
霧を払拭しようと風魔法を発動する
「?」
どういうことだ
何度も繰り返し発動するが霧は立ち込めたまま
アルは己の魔力が多大であると自負している
まさか私よりも強い魔力持ちが。
殿下を狙った誘拐か
ならば、
己の魔力を全力でぶつけるために集中した時だった
「問題ないアル」
「殿下、どこから?ご無事ですか」
目と鼻の距離に殿下が姿を現した
「いったい何事です?何者かの攻撃ですか?」
「いや、大丈夫だ…」
「殿下?」
「あ…あぁなんでもない…懐かしくてな…」
いつになく低い声で答える殿下は、光の球を多数飛ばし始めた
球に見えたのはよく見ると鳥の姿をしている
「ちょっと調べ物ができた。」
我々魔力の強い者は動物などの姿の球を飛ばして監視や調査を行うことがある
多大な魔力を使う高度な魔法なので、あまり使える者はいない
先程の霧と関係があるのか
「アル、何も聞くな、戻るぞ」
「お待ちをっ」
また見失うのではないかと不安になりアルは殿下の側にピッタリとくっついて歩き始めた
ずりずりと下着男を引きずりながらアルは答える
「治療に名前は必要ないと言われまして」
「ふ~ん。珍しいね、アルを見て名前すら尋ねないなんて。アルに見つめられただけで失神するファンも多いのに。近づこうと突進してくる令嬢もいるのに。」
「なんですか、失神って。私は見つめてなどいないですが。肩書きに寄ってくるのでしょ、そういう女性は苦手ですし」
苛立つ気持ちを下着男にぶつけるように乱暴に引きずりながら歩く
「肩書きだけではないだろう。私が女だったらお前に惚れてる」
殿下はぐいっとアルに距離を詰めた
咄嗟に下着男を壁に使う
「ははは、アルは面白いな。ところで、その下着、アルが保管しておきたまえ。」
殿下は頭の下着を指さすとニコニコ顔で促す
「は、はぁ!さ、さすがにそれはっ」
直視できずにオロオロするアル
「まさか、アル、お前は騎士達に彼女の下着をみせびらかすつもりか?仮にも私の命の恩人だぞ」
「そっ、そそそそうですが」
「ほらほら、早く~。このまま連れて行くのは時間がかかる。転移させるから下着をほら」
「そ、そういうことでしたら…」
こ、これは恩人の下着とはいえ衣服だ
きちんと持ち主へ返すのが礼儀というもの
目を瞑りええいっと頭から外してすぐにポケットへ突っ込んだ
「ははは、アル、女性の持ち物だからもっと丁寧に扱わないと」
「この件に関しては、絶対に誰にも言わないで下さい殿下」
「さぁ、どうするかなぁ」
「殿下~!」
「さてと、戻るか」
下着男、下着を外したのでただの男となった者を役所へと飛ばした殿下は颯爽と歩き出す
ポケットが妙に熱を帯びて感じるアルは落ち着がない気持ちでその後を追った
「殿下?」
急に霧が辺りに立ち込めて視界が遮られた
「なんだ…」
「殿下ー!どこですか!」
声を張り上げるも返事がない
なんということだ
霧を払拭しようと風魔法を発動する
「?」
どういうことだ
何度も繰り返し発動するが霧は立ち込めたまま
アルは己の魔力が多大であると自負している
まさか私よりも強い魔力持ちが。
殿下を狙った誘拐か
ならば、
己の魔力を全力でぶつけるために集中した時だった
「問題ないアル」
「殿下、どこから?ご無事ですか」
目と鼻の距離に殿下が姿を現した
「いったい何事です?何者かの攻撃ですか?」
「いや、大丈夫だ…」
「殿下?」
「あ…あぁなんでもない…懐かしくてな…」
いつになく低い声で答える殿下は、光の球を多数飛ばし始めた
球に見えたのはよく見ると鳥の姿をしている
「ちょっと調べ物ができた。」
我々魔力の強い者は動物などの姿の球を飛ばして監視や調査を行うことがある
多大な魔力を使う高度な魔法なので、あまり使える者はいない
先程の霧と関係があるのか
「アル、何も聞くな、戻るぞ」
「お待ちをっ」
また見失うのではないかと不安になりアルは殿下の側にピッタリとくっついて歩き始めた
1
お気に入りに追加
369
あなたにおすすめの小説
【完結】名ばかりの妻を押しつけられた公女は、人生のやり直しを求めます。2度目は絶対に飼殺し妃ルートの回避に全力をつくします。
yukiwa (旧PN 雪花)
恋愛
*タイトル変更しました。(旧題 黄金竜の花嫁~飼殺し妃は遡る~)
パウラ・ヘルムダールは、竜の血を継ぐ名門大公家の跡継ぎ公女。
この世を支配する黄金竜オーディに望まれて側室にされるが、その実態は正室の仕事を丸投げされてこなすだけの、名のみの妻だった。
しかもその名のみの妻、側室なのに選抜試験などと御大層なものがあって。生真面目パウラは手を抜くことを知らず、ついつい頑張ってなりたくもなかった側室に見事当選。
もう一人の側室候補エリーヌは、イケメン試験官と恋をしてさっさと選抜試験から引き揚げていた。
「やられた!」と後悔しても、後の祭り。仕方ないからパウラは丸投げされた仕事をこなし、こなして一生を終える。そしてご褒美にやり直しの転生を願った。
「二度と絶対、飼殺しの妃はごめんです」
そうして始まった2度目の人生、なんだか周りが騒がしい。
竜の血を継ぐ4人の青年(後に試験官になる)たちは、なぜだかみんなパウラに甘い。
後半、シリアス風味のハピエン。
3章からルート分岐します。
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
表紙画像はwaifulabsで作成していただきました。
https://waifulabs.com/
〈短編版〉騎士団長との淫らな秘め事~箱入り王女は性的に目覚めてしまった~
二階堂まや
恋愛
王国の第三王女ルイーセは、女きょうだいばかりの環境で育ったせいで男が苦手であった。そんな彼女は王立騎士団長のウェンデと結婚するが、逞しく威風堂々とした風貌の彼ともどう接したら良いか分からず、遠慮のある関係が続いていた。
そんなある日、ルイーセは森に散歩に行き、ウェンデが放尿している姿を偶然目撃してしまう。そしてそれは、彼女にとって性の目覚めのきっかけとなってしまったのだった。
+性的に目覚めたヒロインを器の大きい旦那様(騎士団長)が全面協力して最終的にらぶえっちするというエロに振り切った作品なので、気軽にお楽しみいただければと思います。
偽皇妃として断罪された令嬢、今世では氷の皇子に溺愛されます~娘を虐げた者たちに復讐を
浅雲 漣
恋愛
「娘のために、敵となりうる存在は全て排除します!」
従妹一家に乗っ取られ、虐げられてきた侯爵令嬢アリーシア。
氷の皇子と呼ばれ皇帝となるカシウス陛下に見初められ皇妃となるが、戦争のため心を通わせる間はなかった。
一度きりの逢瀬で娘を産むも、皇帝の不在を狙った従妹マリナより嘘の証拠をでっちあげられ、偽皇妃として投獄される。
アリーシアは娘を奪われ、断罪され、非業の死を遂げた……はずだったが、時を遡り人形から女の子の声が聞こえるようになる。
声を守護霊と信じ、アリーシアは再び娘をこの手に抱くために誓う。
自分を陥れ、娘の障害となる者たちへの復讐と、愛はなくても再び皇妃となることを。
※第1部完結まで書き溜めており、全29話で毎日更新いたします。
※残酷・暴力・性描写について、直接的な描写はありませんが、想起させる部分はあります。
※他の投稿サイトにも同作品を投稿しております。
愛する義兄に憎まれています
ミカン♬
恋愛
自分と婚約予定の義兄が子爵令嬢の恋人を両親に紹介すると聞いたフィーナは、悲しくて辛くて、やがて心は闇に染まっていった。
義兄はフィーナと結婚して侯爵家を継ぐはずだった、なのにフィーナも両親も裏切って真実の愛を貫くと言う。
許せない!そんなフィーナがとった行動は愛する義兄に憎まれるものだった。
2023/12/27 ミモザと義兄の閑話を投稿しました。
ふわっと設定でサクっと終わります。
他サイトにも投稿。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
皇妃は寵愛を求めるのを止めて離宮に引き篭ることにしました。
鍋
恋愛
ネルネ皇国の后妃ケイトは、陰謀渦巻く後宮で毒を盛られ生死の境を彷徨った。
そこで思い出した前世の記憶。
進んだ文明の中で自ら働き、 一人暮らししていた前世の自分。
そこには確かに自由があった。
後宮には何人もの側室が暮らし、日々皇帝の寵愛を得ようと水面下で醜い争いを繰り広げていた。
皇帝の寵愛を一身に受けるために。
ケイトはそんな日々にも心を痛めることなく、ただ皇帝陛下を信じて生きてきた。
しかし、前世の記憶を思い出したケイトには耐えられない。命を狙われる生活も、夫が他の女性と閨を共にするのを笑顔で容認する事も。
危険のあるこんな場所で子供を産むのも不安。
療養のため離宮に引き篭るが、皇帝陛下は戻ってきて欲しいようで……?
設定はゆるゆるなので、見逃してください。
※ヒロインやヒーローのキャラがイライラする方はバックでお願いします。
※溺愛目指します
※R18は保険です
※本編18話で完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる