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第8話
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息を整えてからロビーに入ると、すぐに受付の女性が
「申し訳ございませんが、本日、当ホテルは貸切となっております」
と僕を追い返そうとしてくる。
「僕、ついさっきここに来た女の人の弟なんです。姉に用があるので会わせてもらえませんか?」
僕はなるべく純粋な少年を演じて言った。
「そうですか、では……」
ヒュンッ!
と微かに風を切る音がすると、受付の女性は何かを言い終える前に、ふらりとよろめいて気を失ってしまった。
女性の額に、麻酔針のようなものが刺さっている。
僕はハッとして天井を見上げた。
天井の大きな照明の上に、少女が座っていた。癖っ毛でショートヘアのその少女からは、少女らしさの欠けた澱みのあるオーラを感じる。
「そこのおにーさん。私の弟ってのは、ちょっと無理があるんじゃないっすか?私、こう見えて14歳っすよ?」
少女はニヤニヤしながら僕を見下ろしていた。
「……。僕は、貴女がたに話があって来たんです。隊長さんに会わせてもらえませんか」
「もちろん。わざわざブログに書き込みしちゃうくらい、私もおにーさん達に会いたかったので。そっちから来てくれるなんてむしろ好都合。歓迎するっすよ……魔法屋の使い魔くん?」
この間の脅迫まがいの書き込みはこの人の仕業だったのか。
「あの。使い魔くんって呼び方はやめてもらえますか。なんか、侮辱されてるみたいで不快なので」
「そりゃそうっすよ。実際、侮辱してるんだから」
彼女の言葉に一瞬殺意が湧いたが、僕はふと冷静になって考えた。
この少女が人に喧嘩を売らずに居られないルシフみたいなタイプの人間である可能性もない訳ではないが、もし普通の人間だとすれば、僕をわざと挑発しているわけだ。そうならば、これは、僕の冷静な判断力を鈍らせるとか、何かしらの目的を持った罠に違いない。つまり、僕がキレたら彼女たちの思うツボだ。
「こんなところで立ち話もなんですし、部屋でゆっくり話をしましょうよ」
彼女はそう言って僕の目の前に降り立った。
「あっ、自己紹介してませんでしたね。私はメガイラ。ユートピア魔法軍第三部隊隊長の妹っす。さ、行きましょう、おにーさん」
格安ホテルなので、やっぱり廊下は狭い。
僕は辺りを警戒しながらメガイラの後ろを歩いていった。
「今日は、お一人なんすか?ご主人は?」
「ご主人……?ああ、ルシフのことですか?いませんよ。今日はバイトです。やっぱり境界では魔法稼業一筋じゃやっていけないんですよ」
「バイト?噂では店主は人前に滅多に姿を見せないって聞いてたんで、てっきり引きこもりなのかと思ってました。……と、まあ、それは置いといて。おにーさんは不安じゃないんすか?たった一人で敵地に乗り込むような真似して」
「あんまり僕を舐めないでください。ルシフの血を飲まなくても、僕は割と戦えますよ」
だって、僕は大魔導師の一番弟子なんだから。
「へぇ。強気っすね。我々第三部隊が総力を挙げても、一人で互角に渡り合えると?」
メガイラがそう言うと同時に、客室のドアが次々開け放たれ、少女たちが飛び出してきた。
みんな、手に、独特な形の銃を構えている。
魔法銃かもしれない。
これは、まずい。
僕はすぐさま廊下を走り出した。
「その魔族をぶっ潰せーーー!!!」
銃撃の雨から僕は全力で逃げた。
こんな狭い廊下で銃を乱射されたんじゃ、僕に勝ち目はない。
とりあえず広い場所に……。
「……っ!」
肩に銃弾が掠めた。
いや、正確に言えば、銃弾ではなかった。
「水……!?」
掠ったのは、無色透明の液体だった。
じゃあ、これは、ただの、水鉄砲……ってこと……?
すると、銃撃が掠めたところから、ジュワッと煙が上がった。
「熱っ……!!」
肩が、溶けるように熱い。
これってもしかして……。
対魔族用兵器。
魔族は神聖なものに弱い。
恐らくこれは聖水の類……それも特殊に改良されたものだ。だって、契約済の魔族は契約者の加護を得ているんだから、普通の聖水なら効くはずがない。
この兵器はたしか、魔族を殺す為に、エデンの人たちが開発したものだと本で読んだ。
なんでそれをこの人たちが……?
僕はとにかく駆け抜けた。
が。
行き止まりかよ……!!
僕の行く手は曲がり角を曲がった先で完全に阻まれた。
僕はじわじわと壁際に追い詰められた。
メガイラが魔法の杖を僕に向けた。杖はバチバチと音を立てて変形し、鞭へと姿を変えた。
こうなったら真っ向勝負だ。
僕も手に鎖を出現させた。
メガイラが鞭を振るうその瞬間、僕は勢いよく壁を蹴って天井へと舞い上がり、鎖を追ってきていた少女たちに向けて一斉に放った。
そして、ぐっと手に力を込めて拘束する。
少女たちの大半は僕の拘束にかかって動けなくなった。
メガイラはなんとか僕の拘束をかわしたようで、すぐに僕のもとへと向かってきて再び鞭を振るう。
僕は新たな鎖を出現させ、鞭を跳ね返した。
そして、今度は来た道を全力で駆け戻った。
しかし、前からも別の階から来たらしい援軍の少女たちがやって来る。
このままじゃ挟み撃ちだ。
鍵がかかってるし、窓から脱出する余裕はないか……。
さっき少女が出てきた部屋のドアは開いている。
僕はその部屋に逃げ込もうとした。
ところが、パシッ!と鞭が僕の片足を絡め取り、物凄い力で足首を締め付けた。
さらに、突然、鞭から棘が生えて、僕の足を突き刺した。
すぐに苦無で鞭を切り落とすと、鞭は煙になって消えていった。
だけど、足は血塗れですごく痛い。
動けない……。
少女たちが蹲る僕に近づいてくる。
僕は苦無を少女たちに投げようとして、ルシフから暴力魔法を止められていたのを思い出し、少し迷った。
でも、今は暴力魔法でも使わないと、僕が殺られるし……。
と、思った時にはもう遅かった。
僕は第三部隊に包囲されていた。
少女たちは僕を見下ろし、銃口を向けた。
「申し訳ございませんが、本日、当ホテルは貸切となっております」
と僕を追い返そうとしてくる。
「僕、ついさっきここに来た女の人の弟なんです。姉に用があるので会わせてもらえませんか?」
僕はなるべく純粋な少年を演じて言った。
「そうですか、では……」
ヒュンッ!
と微かに風を切る音がすると、受付の女性は何かを言い終える前に、ふらりとよろめいて気を失ってしまった。
女性の額に、麻酔針のようなものが刺さっている。
僕はハッとして天井を見上げた。
天井の大きな照明の上に、少女が座っていた。癖っ毛でショートヘアのその少女からは、少女らしさの欠けた澱みのあるオーラを感じる。
「そこのおにーさん。私の弟ってのは、ちょっと無理があるんじゃないっすか?私、こう見えて14歳っすよ?」
少女はニヤニヤしながら僕を見下ろしていた。
「……。僕は、貴女がたに話があって来たんです。隊長さんに会わせてもらえませんか」
「もちろん。わざわざブログに書き込みしちゃうくらい、私もおにーさん達に会いたかったので。そっちから来てくれるなんてむしろ好都合。歓迎するっすよ……魔法屋の使い魔くん?」
この間の脅迫まがいの書き込みはこの人の仕業だったのか。
「あの。使い魔くんって呼び方はやめてもらえますか。なんか、侮辱されてるみたいで不快なので」
「そりゃそうっすよ。実際、侮辱してるんだから」
彼女の言葉に一瞬殺意が湧いたが、僕はふと冷静になって考えた。
この少女が人に喧嘩を売らずに居られないルシフみたいなタイプの人間である可能性もない訳ではないが、もし普通の人間だとすれば、僕をわざと挑発しているわけだ。そうならば、これは、僕の冷静な判断力を鈍らせるとか、何かしらの目的を持った罠に違いない。つまり、僕がキレたら彼女たちの思うツボだ。
「こんなところで立ち話もなんですし、部屋でゆっくり話をしましょうよ」
彼女はそう言って僕の目の前に降り立った。
「あっ、自己紹介してませんでしたね。私はメガイラ。ユートピア魔法軍第三部隊隊長の妹っす。さ、行きましょう、おにーさん」
格安ホテルなので、やっぱり廊下は狭い。
僕は辺りを警戒しながらメガイラの後ろを歩いていった。
「今日は、お一人なんすか?ご主人は?」
「ご主人……?ああ、ルシフのことですか?いませんよ。今日はバイトです。やっぱり境界では魔法稼業一筋じゃやっていけないんですよ」
「バイト?噂では店主は人前に滅多に姿を見せないって聞いてたんで、てっきり引きこもりなのかと思ってました。……と、まあ、それは置いといて。おにーさんは不安じゃないんすか?たった一人で敵地に乗り込むような真似して」
「あんまり僕を舐めないでください。ルシフの血を飲まなくても、僕は割と戦えますよ」
だって、僕は大魔導師の一番弟子なんだから。
「へぇ。強気っすね。我々第三部隊が総力を挙げても、一人で互角に渡り合えると?」
メガイラがそう言うと同時に、客室のドアが次々開け放たれ、少女たちが飛び出してきた。
みんな、手に、独特な形の銃を構えている。
魔法銃かもしれない。
これは、まずい。
僕はすぐさま廊下を走り出した。
「その魔族をぶっ潰せーーー!!!」
銃撃の雨から僕は全力で逃げた。
こんな狭い廊下で銃を乱射されたんじゃ、僕に勝ち目はない。
とりあえず広い場所に……。
「……っ!」
肩に銃弾が掠めた。
いや、正確に言えば、銃弾ではなかった。
「水……!?」
掠ったのは、無色透明の液体だった。
じゃあ、これは、ただの、水鉄砲……ってこと……?
すると、銃撃が掠めたところから、ジュワッと煙が上がった。
「熱っ……!!」
肩が、溶けるように熱い。
これってもしかして……。
対魔族用兵器。
魔族は神聖なものに弱い。
恐らくこれは聖水の類……それも特殊に改良されたものだ。だって、契約済の魔族は契約者の加護を得ているんだから、普通の聖水なら効くはずがない。
この兵器はたしか、魔族を殺す為に、エデンの人たちが開発したものだと本で読んだ。
なんでそれをこの人たちが……?
僕はとにかく駆け抜けた。
が。
行き止まりかよ……!!
僕の行く手は曲がり角を曲がった先で完全に阻まれた。
僕はじわじわと壁際に追い詰められた。
メガイラが魔法の杖を僕に向けた。杖はバチバチと音を立てて変形し、鞭へと姿を変えた。
こうなったら真っ向勝負だ。
僕も手に鎖を出現させた。
メガイラが鞭を振るうその瞬間、僕は勢いよく壁を蹴って天井へと舞い上がり、鎖を追ってきていた少女たちに向けて一斉に放った。
そして、ぐっと手に力を込めて拘束する。
少女たちの大半は僕の拘束にかかって動けなくなった。
メガイラはなんとか僕の拘束をかわしたようで、すぐに僕のもとへと向かってきて再び鞭を振るう。
僕は新たな鎖を出現させ、鞭を跳ね返した。
そして、今度は来た道を全力で駆け戻った。
しかし、前からも別の階から来たらしい援軍の少女たちがやって来る。
このままじゃ挟み撃ちだ。
鍵がかかってるし、窓から脱出する余裕はないか……。
さっき少女が出てきた部屋のドアは開いている。
僕はその部屋に逃げ込もうとした。
ところが、パシッ!と鞭が僕の片足を絡め取り、物凄い力で足首を締め付けた。
さらに、突然、鞭から棘が生えて、僕の足を突き刺した。
すぐに苦無で鞭を切り落とすと、鞭は煙になって消えていった。
だけど、足は血塗れですごく痛い。
動けない……。
少女たちが蹲る僕に近づいてくる。
僕は苦無を少女たちに投げようとして、ルシフから暴力魔法を止められていたのを思い出し、少し迷った。
でも、今は暴力魔法でも使わないと、僕が殺られるし……。
と、思った時にはもう遅かった。
僕は第三部隊に包囲されていた。
少女たちは僕を見下ろし、銃口を向けた。
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2024年10月追記
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