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第1話
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世界には、主に2つ。
『現実世界』と『異世界』が存在する。
そして、ここは『境界』。現実世界と異世界のちょうど狭間の、『境目の世界』……。どちらの世界の要素も持つ、混沌とした場所だ。
だから、境界の国々の生活は少し特殊。
伝説の剣を扱う武器屋の隣にコンビニがあるのは当たり前。
冒険者の集う酒場ではWi-Fiが使える。
ネット注文で魔法書が買える。
私もSNSで見つけた『とある店』を探しにここまでやってきた。
その『とある店』とは……。
「いらっしゃいませ」
私が古いアンティーク調の木の扉をそっと開くと、1人の少年が出迎えてくれた。
少年は、瑠璃色の瞳に白い髪という一風変わった出で立ちだった。いかにも魔法使いが着ていそうな黒ずくめのローブを纏ったその少年は、落ち着いた柔らかな雰囲気だ。素朴で可愛らしい顔をしているが、表情や仕草はどこか大人びている。
店内はザ・ファンタジーという感じ。本棚には大量の魔法書。ガラス棚には怪しげな薬瓶が並べられている。壁には何本もの魔法の杖がぶら下がっていて、一本一本値札がつけられていた。
ここが、『魔法屋』……。
なんと言ってもこの店は、境界で一番の大魔法使いが営む店らしい。
「どうぞごゆっくりご覧になってください」
優しい声で言う少年に私は問いかけた。
「あ、あの……。ここの店主が探偵をしているって噂を聞いて来たんですけど……」
そう。私は別に、ここに魔法グッズを買いにきたわけじゃないのだ。
私の言葉に少年はちょっと目を丸くしていたけど、すぐに
「ああ、すみません、ご依頼のお客様でしたか……。最近はあまりにも依頼が少なかったので少し驚いてしまいました……。では、こちらへどうぞ」
と言い、私を店内の奥に案内した。
そこは応接室のようで、渋い趣味のテーブルとソファーがあり、探偵事務所らしい部屋になっていた。
「少々お座りになってお待ちください」
私が促されるままにソファーに座ると、少年は紅茶を淹れてこっちに持ってきてくれた。
私はカップを手にとって一口啜った。
……何これ、すごく美味しい。このお茶、この店のオリジナルなのかな……。
少年は「店主を呼んできますね」と言うと、そのまま部屋の奥の階段を上っていった。店主は2階にいるらしい。
「ルシフー!!お客様ですよー!!」
少年の叫び声が聞こえる。店主はルシフという名前らしい。
「ルシフ!何してるんですか!お客様が待ってるんですけど!」
「うるせぇな!!今いいところなんだよ!」
「昼ドラの再放送なんかあとで見ればいいでしょ!テレビ消しますよ!」
店主、昼ドラ見てんのかよ。
「ああっ!消すんじゃねーよバカ!!」
「バカはあんただろ!!お客様お待たせしてるって言ってんでしょーが!!」
ギャーギャー言い合う声がこっちまで聞こえてくる。
「何だよもう!!くそ、あとちょっとでラブシーンが始まりそうだったのに!!」
「黙れこのエロ店主!!」
少年が店主を無理矢理ずるずると引きずって階段を下りてきた。
「大変お待たせしました。すみません、お見苦しいところをお見せして……」
少年が申し訳なさそうに謝るのに対し、店主はむすっとした顔で私の向かいのソファーに腰掛けた。
何なのこいつ、客に対して……感じ悪っ……。
この店主、境界一番の大魔法使いとか言うからもっとおじさんなのかと思ってたけど、意外と若い……というかどう見ても未成年だ。
色白の肌に、艶のある長い黒髪。ルビーのように紅い瞳。
見た目は中性的でめちゃくちゃ綺麗だが、生意気な態度が全てを台無しにしている。
ローブを着た少年は店主の隣に遠慮がちに腰掛けて切り出した。
「こちらが店主のルシフです。生意気で殴りたくなるとは思いますが、魔法の腕は一流です。依頼された仕事はきちんとしますので、どうか大目に見てください……。あっ、ちなみに僕はアシスタントのベルと申します。お客様のお名前は……?」
「イリスと言います」
「イリスさん……素敵なお名前ですね」
ベルがさらりと褒めてきた。この子、お世辞の言い方が上手いなぁ……。
「で?依頼は?」
ルシフが偉そうに尋ねてくる。
「わざわざ俺みたいな社会不適合者に依頼しに来るなんて相当な案件だろ」
この人自分が社会不適合者だって自覚してたんだ……。
「どんな難事件でも魔法で解決してやるよ」
さすが、自信満々な言い振りだ。
本当にこんなクソガキが大魔法使いなのかどうか怪しくはあるんだけど、どうせもう私が頼れるのはこの人たちだけだ。
私は思い切って話を始めた。
「実は……私、警察に追われているんです」
「……ふーん、何やらかしたんだ?」
「何もやらかしてません!!無実の罪を着せられたんです!!」
私が思わずテーブルをバンッと叩いてしまったので、ルシフもベルもびくっとして私を見つめた。
「ま、まぁ、そう怒るなよ……。要するにアレだろ?何の事件だか知らんが、真犯人を見つけてお前の無実を証明すればいいってことだろ?」
「ざっくり言うとそういうことです。このままじゃ私が犯人にされて捕まってしまいます。最後の望みをかけて私はここに来たんです。どうか手を貸してください」
「それは、依頼内容と報酬による。とりあえず事件の内容を聞かせてもらおうか」
ルシフがそう言うので、私は大きく深呼吸をして、話を続けた。
「私の周りで、傷害事件が次々に起こっているんです。私の男友達、兄、叔父、バイト先の先輩……なぜか私がよく知る男性ばかりが狙われていて……。幸い死者は出ていないけど、みんな刃物で切りつけられて酷い怪我です。被害者の共通の知り合いは私しかいないということで、私は警察に疑われたんです。事件のアリバイも全くなかったので……」
「へー……。でも、そりゃあ無理ないか?被害者は男ばっかりなんだろ?単に殺るのが目的なら、お前みたいなひ弱な女がわざわざ男たちを刃物で切りつけるなんて考えにくい。相手が成人男性じゃ、仕留め損なった時に返り討ちに遭うリスクがあるからな。何となくだが、真犯人は男のような気がする。まあ、犯人が男を切りつけ嬲って楽しむド変態サイコパス女だっていうなら別だけどな」
なんか普通に推理しだした……。
ルシフの意見に対して、今度はベルが手を挙げた。
「僕は女が犯人の可能性も十分にあると思います。現にこの事件で死者は1人もいない。最初から、殺すことが目的ではないかもしれませんよ。例えば、イリスさんに恨みを持った誰かが、リスクも承知で罪を着せようとしているとか。もしくは、男を痛めつけたいサイコパス女か……」
お前も結局サイコパス女説かよ。
「ということは、この事件を調査するとなると、俺たちもサイコパス女に目をつけられるかもしれねぇな」
「恐ろしいですね……。でも、ルシフはそんなのにやられるほど弱くないでしょう?」
「まあな。ベルだって、恐ろしいなんて1ミリも思ってねぇくせに」
「あの……。結局、依頼を受けてくれるってことでいいんですか?」
私が尋ねるとルシフは
「報酬はいくらだ?」
と質問を返してきた。
「今、俺たちは金に困ってんだ。魔法グッズは売れないし、依頼は来ねーし」
「それは店主さんの人柄のせいでは……」
「あ?何か言ったか?」
「いえ」
「とにかく、それなりの成功報酬は期待していいんだよな?」
「お金なら、あります」
私は鞄からお金を入れた茶封筒を取り出した。
「……うーん……」
ルシフは封筒を見ながらちょっと物足りなそうな顔をしている。
「お金、これでも足りないですか…?これ以上はさすがに出せませんよ……。じゃあショートケーキ奢りますから、引き受けてくれませんか?」
「それだけか……?」
「ガトーショコラも奢ります」
「もう一声」
「ザッハトルテも奢ります」
「もう一声」
「モンブラン」
「うっ……」
「ベイクドチーズケーキ」
「……っ」
「フルーツタルトも」
「よし、乗った!」
まじか。ルシフちょろいな。まさかスイーツに釣られるとは……。
「約束だぞ!仕事が終わったらすぐケーキ屋に連れてけよ!」
「はいはい」
大魔法使いといえどやっぱり子どもだ。可愛いところもあるもんだ。
「よし、そうと決まれば早速現場に行く」
「えっ、今から行くんですか?」
「ああ。さっきは久しぶりの依頼についテンションが上がってくだらない推理を披露してしまったが、もともと俺はそんなに推理が得意じゃないんだ。直接現場に行って魔法で犯人を割り出す。そっちの方が確実だし、早い」
なるほど……確かにそうなのかもしれない。
「ベル。支度しろ」
ルシフの命令にベルは「はい」と返事をすると、てきぱきと店じまいを始め、壁に立てかけてあった魔法の杖をルシフに手渡した。
「行くぞ、イリス。現場まで案内しろ」
『現実世界』と『異世界』が存在する。
そして、ここは『境界』。現実世界と異世界のちょうど狭間の、『境目の世界』……。どちらの世界の要素も持つ、混沌とした場所だ。
だから、境界の国々の生活は少し特殊。
伝説の剣を扱う武器屋の隣にコンビニがあるのは当たり前。
冒険者の集う酒場ではWi-Fiが使える。
ネット注文で魔法書が買える。
私もSNSで見つけた『とある店』を探しにここまでやってきた。
その『とある店』とは……。
「いらっしゃいませ」
私が古いアンティーク調の木の扉をそっと開くと、1人の少年が出迎えてくれた。
少年は、瑠璃色の瞳に白い髪という一風変わった出で立ちだった。いかにも魔法使いが着ていそうな黒ずくめのローブを纏ったその少年は、落ち着いた柔らかな雰囲気だ。素朴で可愛らしい顔をしているが、表情や仕草はどこか大人びている。
店内はザ・ファンタジーという感じ。本棚には大量の魔法書。ガラス棚には怪しげな薬瓶が並べられている。壁には何本もの魔法の杖がぶら下がっていて、一本一本値札がつけられていた。
ここが、『魔法屋』……。
なんと言ってもこの店は、境界で一番の大魔法使いが営む店らしい。
「どうぞごゆっくりご覧になってください」
優しい声で言う少年に私は問いかけた。
「あ、あの……。ここの店主が探偵をしているって噂を聞いて来たんですけど……」
そう。私は別に、ここに魔法グッズを買いにきたわけじゃないのだ。
私の言葉に少年はちょっと目を丸くしていたけど、すぐに
「ああ、すみません、ご依頼のお客様でしたか……。最近はあまりにも依頼が少なかったので少し驚いてしまいました……。では、こちらへどうぞ」
と言い、私を店内の奥に案内した。
そこは応接室のようで、渋い趣味のテーブルとソファーがあり、探偵事務所らしい部屋になっていた。
「少々お座りになってお待ちください」
私が促されるままにソファーに座ると、少年は紅茶を淹れてこっちに持ってきてくれた。
私はカップを手にとって一口啜った。
……何これ、すごく美味しい。このお茶、この店のオリジナルなのかな……。
少年は「店主を呼んできますね」と言うと、そのまま部屋の奥の階段を上っていった。店主は2階にいるらしい。
「ルシフー!!お客様ですよー!!」
少年の叫び声が聞こえる。店主はルシフという名前らしい。
「ルシフ!何してるんですか!お客様が待ってるんですけど!」
「うるせぇな!!今いいところなんだよ!」
「昼ドラの再放送なんかあとで見ればいいでしょ!テレビ消しますよ!」
店主、昼ドラ見てんのかよ。
「ああっ!消すんじゃねーよバカ!!」
「バカはあんただろ!!お客様お待たせしてるって言ってんでしょーが!!」
ギャーギャー言い合う声がこっちまで聞こえてくる。
「何だよもう!!くそ、あとちょっとでラブシーンが始まりそうだったのに!!」
「黙れこのエロ店主!!」
少年が店主を無理矢理ずるずると引きずって階段を下りてきた。
「大変お待たせしました。すみません、お見苦しいところをお見せして……」
少年が申し訳なさそうに謝るのに対し、店主はむすっとした顔で私の向かいのソファーに腰掛けた。
何なのこいつ、客に対して……感じ悪っ……。
この店主、境界一番の大魔法使いとか言うからもっとおじさんなのかと思ってたけど、意外と若い……というかどう見ても未成年だ。
色白の肌に、艶のある長い黒髪。ルビーのように紅い瞳。
見た目は中性的でめちゃくちゃ綺麗だが、生意気な態度が全てを台無しにしている。
ローブを着た少年は店主の隣に遠慮がちに腰掛けて切り出した。
「こちらが店主のルシフです。生意気で殴りたくなるとは思いますが、魔法の腕は一流です。依頼された仕事はきちんとしますので、どうか大目に見てください……。あっ、ちなみに僕はアシスタントのベルと申します。お客様のお名前は……?」
「イリスと言います」
「イリスさん……素敵なお名前ですね」
ベルがさらりと褒めてきた。この子、お世辞の言い方が上手いなぁ……。
「で?依頼は?」
ルシフが偉そうに尋ねてくる。
「わざわざ俺みたいな社会不適合者に依頼しに来るなんて相当な案件だろ」
この人自分が社会不適合者だって自覚してたんだ……。
「どんな難事件でも魔法で解決してやるよ」
さすが、自信満々な言い振りだ。
本当にこんなクソガキが大魔法使いなのかどうか怪しくはあるんだけど、どうせもう私が頼れるのはこの人たちだけだ。
私は思い切って話を始めた。
「実は……私、警察に追われているんです」
「……ふーん、何やらかしたんだ?」
「何もやらかしてません!!無実の罪を着せられたんです!!」
私が思わずテーブルをバンッと叩いてしまったので、ルシフもベルもびくっとして私を見つめた。
「ま、まぁ、そう怒るなよ……。要するにアレだろ?何の事件だか知らんが、真犯人を見つけてお前の無実を証明すればいいってことだろ?」
「ざっくり言うとそういうことです。このままじゃ私が犯人にされて捕まってしまいます。最後の望みをかけて私はここに来たんです。どうか手を貸してください」
「それは、依頼内容と報酬による。とりあえず事件の内容を聞かせてもらおうか」
ルシフがそう言うので、私は大きく深呼吸をして、話を続けた。
「私の周りで、傷害事件が次々に起こっているんです。私の男友達、兄、叔父、バイト先の先輩……なぜか私がよく知る男性ばかりが狙われていて……。幸い死者は出ていないけど、みんな刃物で切りつけられて酷い怪我です。被害者の共通の知り合いは私しかいないということで、私は警察に疑われたんです。事件のアリバイも全くなかったので……」
「へー……。でも、そりゃあ無理ないか?被害者は男ばっかりなんだろ?単に殺るのが目的なら、お前みたいなひ弱な女がわざわざ男たちを刃物で切りつけるなんて考えにくい。相手が成人男性じゃ、仕留め損なった時に返り討ちに遭うリスクがあるからな。何となくだが、真犯人は男のような気がする。まあ、犯人が男を切りつけ嬲って楽しむド変態サイコパス女だっていうなら別だけどな」
なんか普通に推理しだした……。
ルシフの意見に対して、今度はベルが手を挙げた。
「僕は女が犯人の可能性も十分にあると思います。現にこの事件で死者は1人もいない。最初から、殺すことが目的ではないかもしれませんよ。例えば、イリスさんに恨みを持った誰かが、リスクも承知で罪を着せようとしているとか。もしくは、男を痛めつけたいサイコパス女か……」
お前も結局サイコパス女説かよ。
「ということは、この事件を調査するとなると、俺たちもサイコパス女に目をつけられるかもしれねぇな」
「恐ろしいですね……。でも、ルシフはそんなのにやられるほど弱くないでしょう?」
「まあな。ベルだって、恐ろしいなんて1ミリも思ってねぇくせに」
「あの……。結局、依頼を受けてくれるってことでいいんですか?」
私が尋ねるとルシフは
「報酬はいくらだ?」
と質問を返してきた。
「今、俺たちは金に困ってんだ。魔法グッズは売れないし、依頼は来ねーし」
「それは店主さんの人柄のせいでは……」
「あ?何か言ったか?」
「いえ」
「とにかく、それなりの成功報酬は期待していいんだよな?」
「お金なら、あります」
私は鞄からお金を入れた茶封筒を取り出した。
「……うーん……」
ルシフは封筒を見ながらちょっと物足りなそうな顔をしている。
「お金、これでも足りないですか…?これ以上はさすがに出せませんよ……。じゃあショートケーキ奢りますから、引き受けてくれませんか?」
「それだけか……?」
「ガトーショコラも奢ります」
「もう一声」
「ザッハトルテも奢ります」
「もう一声」
「モンブラン」
「うっ……」
「ベイクドチーズケーキ」
「……っ」
「フルーツタルトも」
「よし、乗った!」
まじか。ルシフちょろいな。まさかスイーツに釣られるとは……。
「約束だぞ!仕事が終わったらすぐケーキ屋に連れてけよ!」
「はいはい」
大魔法使いといえどやっぱり子どもだ。可愛いところもあるもんだ。
「よし、そうと決まれば早速現場に行く」
「えっ、今から行くんですか?」
「ああ。さっきは久しぶりの依頼についテンションが上がってくだらない推理を披露してしまったが、もともと俺はそんなに推理が得意じゃないんだ。直接現場に行って魔法で犯人を割り出す。そっちの方が確実だし、早い」
なるほど……確かにそうなのかもしれない。
「ベル。支度しろ」
ルシフの命令にベルは「はい」と返事をすると、てきぱきと店じまいを始め、壁に立てかけてあった魔法の杖をルシフに手渡した。
「行くぞ、イリス。現場まで案内しろ」
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