3 / 13
確かにお父様のいうことも一理ありますわね
しおりを挟む
急な教会からの知らせ、もとい聖女判定の参加要請をやんわり断ってから3日。
今度はお父様を通してそのお話が戻ってきました。
部屋に呼ばれると、机で眉間にしわを寄せているお父様。
あっ、これは本がいいところだったのにとか言わない方が良いですね。
これはちょっとまずいかもしれません。
「ルアーナ、今度は王族直々に聖女判定の参加要請が来たぞ。半年後の秋祭りに行うそうだ」
「まあ、王族直々のお話だなんて、そんな、大げさ、いや国防にかかわるから大げさではないですね……」
2人で息ぴったりのため息をつきました。
親子ですからね。
いや、いまそれどころじゃないんですけど。
王族直々では、のらりくらりと断れないじゃないですか!
「で、でもほら私つい最近婚約破棄されたばかりですし、聖女の経歴に婚約破棄されたなんていうのがあるのは良くないじゃないですか。しかも相手方の浮気で捨てられたんですよ?」
「私もルアーナの気持ちが落ち着くまでは縁談になるような話はすべて保留しておこうと思ったんだがな。
どうやらその行動が裏目に出たらしい。
ルアーナは破談になってもなお他の男になびかず一人悲しさを心に抱えてひっそりと過ごしている。
それはとても清い心持ちであるからできることで、聖女としてふさわしい性質である。というようなことも推薦理由に書かれていたよ」
「それはなんとも言えませんわね」
ずいぶん王都のお役人方は頑張ってお仕事をしてくれたようです。
「もうこうなっては出席するしかあるまい。あきらめはこの半年でつけてくれ」
「いえ、半年暴れて聖女の方をあきらめてもらいますわ」
お父様もあきれたような、しかしわかっていたよと言うような笑い方をする。
「まあ、好きにしなさい」
「ありがとうございます、お父様」
部屋に戻ると、もう小説は手につかなくなっていました。
「ちょっと今から資金繰りの計画を立てるわよ。
商売をしている聖女なんて聞いたことありませんからね。
俗にまみれて、測っていない能力はともかく、私の人としての聖女適性を減らしていきましょう」
聞かれれば何度でも答えるけれど、もう結婚話はお腹いっぱい。
聖女になったら大好きなお菓子作りも本を読むのも、時々宝石を買ってうっとり眺めながらお気に入りの紅茶を飲むのもできなくなる。
そんなに私の好きなものを取り上げられたら私には何も残らなくなるじゃないですか。
そうならないためにも、早く財源を確保して、森にひっそりと小さなお屋敷を立てて引きこもりましょう。
さあ、忙しくなりますよ!
今度はお父様を通してそのお話が戻ってきました。
部屋に呼ばれると、机で眉間にしわを寄せているお父様。
あっ、これは本がいいところだったのにとか言わない方が良いですね。
これはちょっとまずいかもしれません。
「ルアーナ、今度は王族直々に聖女判定の参加要請が来たぞ。半年後の秋祭りに行うそうだ」
「まあ、王族直々のお話だなんて、そんな、大げさ、いや国防にかかわるから大げさではないですね……」
2人で息ぴったりのため息をつきました。
親子ですからね。
いや、いまそれどころじゃないんですけど。
王族直々では、のらりくらりと断れないじゃないですか!
「で、でもほら私つい最近婚約破棄されたばかりですし、聖女の経歴に婚約破棄されたなんていうのがあるのは良くないじゃないですか。しかも相手方の浮気で捨てられたんですよ?」
「私もルアーナの気持ちが落ち着くまでは縁談になるような話はすべて保留しておこうと思ったんだがな。
どうやらその行動が裏目に出たらしい。
ルアーナは破談になってもなお他の男になびかず一人悲しさを心に抱えてひっそりと過ごしている。
それはとても清い心持ちであるからできることで、聖女としてふさわしい性質である。というようなことも推薦理由に書かれていたよ」
「それはなんとも言えませんわね」
ずいぶん王都のお役人方は頑張ってお仕事をしてくれたようです。
「もうこうなっては出席するしかあるまい。あきらめはこの半年でつけてくれ」
「いえ、半年暴れて聖女の方をあきらめてもらいますわ」
お父様もあきれたような、しかしわかっていたよと言うような笑い方をする。
「まあ、好きにしなさい」
「ありがとうございます、お父様」
部屋に戻ると、もう小説は手につかなくなっていました。
「ちょっと今から資金繰りの計画を立てるわよ。
商売をしている聖女なんて聞いたことありませんからね。
俗にまみれて、測っていない能力はともかく、私の人としての聖女適性を減らしていきましょう」
聞かれれば何度でも答えるけれど、もう結婚話はお腹いっぱい。
聖女になったら大好きなお菓子作りも本を読むのも、時々宝石を買ってうっとり眺めながらお気に入りの紅茶を飲むのもできなくなる。
そんなに私の好きなものを取り上げられたら私には何も残らなくなるじゃないですか。
そうならないためにも、早く財源を確保して、森にひっそりと小さなお屋敷を立てて引きこもりましょう。
さあ、忙しくなりますよ!
1
お気に入りに追加
257
あなたにおすすめの小説
身の覚えの無い妹が出来てしまった。しかも、誰も存在を認知できないんだから驚きだ!いやーどうしよう、HAHAHAHAHA!!
がおー
恋愛
僕は普通のサラリーマンをしながら、だらだらと日常を営んでいる。
気楽だけど、何か物足りない毎日。
そんなある日、自分の妹と自称する高校生ぐらいの少女が僕のアパートの部屋にやってくる。
まったく覚えが無い。こんな娘は見た事無い。
その少女は、何と、僕以外の周りの人間には視認出来ない存在だった。
僕の頭がおかしくて、女の子の幻覚でも見ているのか?
とにかく、その少女との生活が始まったのだった。
ケダモノ王子との婚約を強制された令嬢の身代わりにされましたが、彼に溺愛されて私は幸せです。
ぽんぽこ@書籍発売中!!
恋愛
「ミーア=キャッツレイ。そなたを我が息子、シルヴィニアス王子の婚約者とする!」
王城で開かれたパーティに参加していたミーアは、国王によって婚約を一方的に決められてしまう。
その婚約者は神獣の血を引く者、シルヴィニアス。
彼は第二王子にもかかわらず、次期国王となる運命にあった。
一夜にして王妃候補となったミーアは、他の令嬢たちから羨望の眼差しを向けられる。
しかし当のミーアは、王太子との婚約を拒んでしまう。なぜならば、彼女にはすでに別の婚約者がいたのだ。
それでも国王はミーアの恋を許さず、婚約を破棄してしまう。
娘を嫁に出したくない侯爵。
幼馴染に想いを寄せる令嬢。
親に捨てられ、救われた少女。
家族の愛に飢えた、呪われた王子。
そして玉座を狙う者たち……。
それぞれの思いや企みが交錯する中で、神獣の力を持つ王子と身代わりの少女は真実の愛を見つけることができるのか――!?
表紙イラスト/イトノコ(@misokooekaki)様より
【完結】聖女召喚に巻き込まれたバリキャリですが、追い出されそうになったのでお金と魔獣をもらって出て行きます!
チャららA12・山もり
恋愛
二十七歳バリバリキャリアウーマンの鎌本博美(かまもとひろみ)が、交差点で後ろから背中を押された。死んだと思った博美だが、突如、異世界へ召喚される。召喚された博美が発した言葉を誤解したハロルド王子の前に、もうひとりの女性が現れた。博美の方が、聖女召喚に巻き込まれた一般人だと決めつけ、追い出されそうになる。しかし、バリキャリの博美は、そのまま追い出されることを拒否し、彼らに慰謝料を要求する。
お金を受け取るまで、博美は屋敷で暮らすことになり、数々の騒動に巻き込まれながら地下で暮らす魔獣と交流を深めていく。
殿下、あなたが求婚した相手はわたくしではありません
仲室日月奈
恋愛
「十六歳の誕生日、おめでとうございます。あのときの約束を覚えていますか? 俺はあのときのことを忘れたことはありません。もう一度、改めてプロポーズさせてください。どうか、俺の妃になっていただけませんか」
突然の求婚に、ヴェルハイム伯爵令嬢のステラはただただ困惑した。
目の前には見目麗しい第三王子が跪いている。
けれど、どれだけ記憶を呼び起こしても、そんな約束をした覚えはない。
これは、勘違いから始まる恋のお話。
お兄様の指輪が壊れたら、溺愛が始まりまして
みこと。
恋愛
お兄様は女王陛下からいただいた指輪を、ずっと大切にしている。
きっと苦しい片恋をなさっているお兄様。
私はただ、お兄様の家に引き取られただけの存在。血の繋がってない妹。
だから、早々に屋敷を出なくては。私がお兄様の恋路を邪魔するわけにはいかないの。私の想いは、ずっと秘めて生きていく──。
なのに、ある日、お兄様の指輪が壊れて?
全7話、ご都合主義のハピエンです! 楽しんでいただけると嬉しいです!
※「小説家になろう」様にも掲載しています。
王太子から愛することはないと言われた侯爵令嬢は、そんなことないわと強気で答える
綾森れん
恋愛
「オリヴィア、君を愛することはない」
結婚初夜、聖女の力を持つオリヴィア・デュレー侯爵令嬢は、カミーユ王太子からそう告げられた。
だがオリヴィアは、
「そんなことないわ」
と強気で答え、カミーユが愛さないと言った原因を調べることにした。
その結果、オリヴィアは思いもかけない事実と、カミーユの深い愛を知るのだった。
【完結】「異世界に召喚されたら聖女を名乗る女に冤罪をかけられ森に捨てられました。特殊スキルで育てたリンゴを食べて生き抜きます」
まほりろ
恋愛
※小説家になろう「異世界転生ジャンル」日間ランキング9位!2022/09/05
仕事からの帰り道、近所に住むセレブ女子大生と一緒に異世界に召喚された。
私たちを呼び出したのは中世ヨーロッパ風の世界に住むイケメン王子。
王子は美人女子大生に夢中になり彼女を本物の聖女と認定した。
冴えない見た目の私は、故郷で女子大生を脅迫していた冤罪をかけられ追放されてしまう。
本物の聖女は私だったのに……。この国が困ったことになっても助けてあげないんだから。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※小説家になろう先行投稿。カクヨム、エブリスタにも投稿予定。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる