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確かにお父様のいうことも一理ありますわね

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急な教会からの知らせ、もとい聖女判定の参加要請をやんわり断ってから3日。
今度はお父様を通してそのお話が戻ってきました。

部屋に呼ばれると、机で眉間にしわを寄せているお父様。
あっ、これは本がいいところだったのにとか言わない方が良いですね。
これはちょっとまずいかもしれません。

「ルアーナ、今度は王族直々に聖女判定の参加要請が来たぞ。半年後の秋祭りに行うそうだ」

「まあ、王族直々のお話だなんて、そんな、大げさ、いや国防にかかわるから大げさではないですね……」

2人で息ぴったりのため息をつきました。
親子ですからね。
いや、いまそれどころじゃないんですけど。
王族直々では、のらりくらりと断れないじゃないですか!

「で、でもほら私つい最近婚約破棄されたばかりですし、聖女の経歴に婚約破棄されたなんていうのがあるのは良くないじゃないですか。しかも相手方の浮気で捨てられたんですよ?」

「私もルアーナの気持ちが落ち着くまでは縁談になるような話はすべて保留しておこうと思ったんだがな。
どうやらその行動が裏目に出たらしい。
ルアーナは破談になってもなお他の男になびかず一人悲しさを心に抱えてひっそりと過ごしている。
それはとても清い心持ちであるからできることで、聖女としてふさわしい性質である。というようなことも推薦理由に書かれていたよ」

「それはなんとも言えませんわね」

ずいぶん王都のお役人方は頑張ってお仕事をしてくれたようです。

「もうこうなっては出席するしかあるまい。あきらめはこの半年でつけてくれ」
「いえ、半年暴れて聖女の方をあきらめてもらいますわ」

お父様もあきれたような、しかしわかっていたよと言うような笑い方をする。

「まあ、好きにしなさい」
「ありがとうございます、お父様」

部屋に戻ると、もう小説は手につかなくなっていました。

「ちょっと今から資金繰りの計画を立てるわよ。
商売をしている聖女なんて聞いたことありませんからね。
俗にまみれて、測っていない能力はともかく、私の人としての聖女適性を減らしていきましょう」

聞かれれば何度でも答えるけれど、もう結婚話はお腹いっぱい。
聖女になったら大好きなお菓子作りも本を読むのも、時々宝石を買ってうっとり眺めながらお気に入りの紅茶を飲むのもできなくなる。
そんなに私の好きなものを取り上げられたら私には何も残らなくなるじゃないですか。

そうならないためにも、早く財源を確保して、森にひっそりと小さなお屋敷を立てて引きこもりましょう。
さあ、忙しくなりますよ!
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