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アルテ帝国の書記官の愚痴のようなもの

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このところ、魔物の報告が増えてきている。

これから実りの季節、収穫のこの時期は例年魔物による農作物被害が多く、魔物の報告が増えること自体はいつも通りだ。
ただ、今まで被害がなかったところでも被害や、目撃の情報が相次いでいる。

ただ、その件数増加が例年の同じ時期に比べても異様な多さだ。

「なんとかして、収穫高に響かないようにしなければ」

農民はおそらく自分たちでにはどうにかするだろう。
税の取り立ての時にいつもちょろまかしているのは知っている。
本当は厳しくしなければいけないのは分かっているが、それは人情ってやつだ。

問題は王都とその近辺の貴族だ。
彼らは華やかな生活の割に蓄えが少ないことが珍しくない。
というか、このところその割合がどんどん増えている。
これも王がばかなことばかりしているからなんだが。

王都が農業以外で生計を立てている以上、税金で流通をどうにかして必要分の食糧を確保しなければ、確実に冬を越せなくなる。

「何とか予算を引き出さないといけないが、あのバカをまた説得するのは骨が折れるな」

足りなくなった場合は他国からの輸入も手段としてはありだが、そうすればただでさえ厳しい外交が、さらに厳しくなることは目に見える。
どうにか最後まで残しておきたい。
それもこれもあのバカな王とその取り巻きのせいなんだが。

それにしてもこの王になってから支出がどんどんひどいことになっている。
慈善パーティーと言って夜な夜などんちゃん騒ぎをするものいいが、国の財布の心配もしてほしい。
このところ急速に落ちた好感度をどうにか上げようとしているのだろうが、もう少し頭を使えないもんだろうか。
土建の奴らがそんな予算は河川の補修に回せと言っていたな。
もう老朽化が進みに進んで、いつダメになってもおかしくないらしい。

「まあ、こんな俺が考えたところでなんにもならないんだがなぁ」

俺はただの雇われの役人だ。
今は羽振りがいいが、こんな情勢じゃ、いつ給料がどん底まで落ちるかわかったもんじゃない。
妻にはそれとなく話して二人で貯金をしているが、それで足りるかどうかの保証もない。
この前は聖女様を呼び出しておいて追放なんかもしているし、この国はもう本当にダメかもしれない。
そうなったら、妻の実家を頼って国を出ることも最近は現実味を帯びてきた。

蝋燭の炎がゆらりと不安定に揺れる。
もう月も高く昇っていて、今帰っても妻と子供は寝ているだろう。

「そういえばもうこれが最後か」

そろそろ備品を申請しに行かないといけない。
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