聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたｰ腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります！

1秒も申し開きする間もなく追放決定

気が付けば眠っていて、朝日が壁のすき間から漏れていた。
あの後キレた成金親父が命令したせいで私は今、ぼろぼろの小屋みたいなところで手足を縛られて床に転がっている。

ここに連れられてきてすぐはどうにか縄を外せないかとか色々考えていたけど、もう面倒になった。
そもそも召喚されてすぐに必要最低限以下の説明だけされて、着替えたと思えば聖女としてなんか集まった人たちの前で一言挨拶してすぐ精霊召喚させられたんですよ。

なんなの。

しかもせっかく召喚できたのにそれがお気に召さないとなったらすぐに牢屋にぶち込むしさぁ。
そういえばなんか国境送りとかなんとか言ってたな。
それにあの後出てきたフェンリルはどうなったんだろ。

そもそも私帰れるのかな。
無断欠勤とかなってたらやばくないか、まだ新卒なのに。
また1から地獄の就活はしたくないんだけど。

というか情報量が私の貧弱な脳には多すぎるし、よく考えてみたら私のメリットここに来てからなんにもなさすぎじゃない？
は？キレそう。何にキレればいい？

なんて考えていたら迎えが来てまた成金たちの前に通された。

今日も元気に悪趣味ですね。何その工事現場のチェーンみたいなネックレス。

ていうかこの縄、地味にかゆいからはずしてほしいんだけど……なんて考えていたら成金の膝に乗った子どもがなにやら紙に書かれた文を読み始めた。


「これからおまえをこっきょうおくりにする！ただし、ぼくの、おんじょうで、せいじょの、しょうごうは、そのままに、してやる！すぐに、ここからでていけ！」

最後の出ていけだけは元気にこっち向いて言えましたね～！
なんかお遊戯会を見ている気分なんだけど。

国境送りの事を伝えられるとすぐにここに来た時の鞄や服を投げるように返されてボロい馬車に載せられた。
うん、乗せられたじゃなくて載せられた。
私の扱いは荷物かよ。

とりあえず荷物隠す用の布でもかぶっておこう。
情報が早ければ偽聖女みたいな噂でも広まっているだろうし、そうじゃなくても顔が割れるのは今はあんまりよくなさそうだからね。