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16.(ヴィルディ視点)何故
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「きゃぁあああ!! ヴィルディ様!!」
「素敵ですわ!! ヴィルディ様!!」
「モモ様も美しいですわ!!」
「綺麗だぜモモ様!!」
本日は僕とモモの結婚式だ。
馬車の中から、国民達の祝福の歓声が見える。
彼らは皆、喜びに満ちた表情だ。
「着きました」
「ああ、ご苦労」
「行きましょう、殿下」
僕はモモと共に、広場の中心に向かう。
王家の人間は教会で結婚式を行わず、広場の中心で愛を誓うのだ。
これは多くの国民に対し、潔癖を誓うためでもある。
「ヴィルディ様!!」
「凜々しいですわ!!」
「モモ様も綺麗だぜ!!」
「2人とも素敵だ!!」
国民の歓声が、うるさいほどに聞こえる。
モモはそれに対し、嫌な表情をしているな。
「2人とも、向き合って下さい」
「はい」
「ああ」
広場の中央に着き、神父の前で僕らは向かい合う。
「新郎、ヴィルディ・ファレト・グリーンズ」
「はい」
僕は神父に答える。
「あなたはここにいる新婦モモを病めるときも健やかなるときも、富めるときも貧しきときも妻として愛し、敬い慈しむことを誓いますか?」
「誓います」
「本当ですか?」
「え? ええ、はい」
「……そうですか」
何か引っかかる言い方だな。
「新婦、モモ・ルビシア」
「はい」
今度はモモの方へ、神父は向いた。
「あなたはここにいる新郎ヴィルディを病めるときも健やかなるときも、富めるときも貧しきときも妻として愛し、敬い慈しむことを誓いますか?」
「誓います」
「本当ですか?」
「ええ。もちろんですわ」
「……そうですか、残念です」
何だ、何かがおかしい。
そう思ったとき──
「我が息子よ、貴様は実に愚かだな」
「と、父さん!!」
僕らの背後から、父さんが現れた。
「へ、陛下だ!!」
「息子の結婚式なんだから、陛下くらいいるだろう」
「いやいや、でも……なんかおかしくないですか?」
「確かに、朗らかなムードではありませんわね」
国民達は動揺している。
それは俺も同じだ。
「父さん、どうしたんですか?」
「モモよ、貴様……何故秘密を語らなかった?」
父さんは俺の言葉を無視して、モモの腹を指差した。
「な、何のことですか?」
「この腹をして、しらばっくれるつもりか!!」
そして父さんはおもむろに、モモのウェディングドレスを引き裂いた。
そこには────
「え、何……あの大きなお腹……」
「まさか、ヴィルディ様との子どもか?」
「でも、ヴィルディも驚愕しているよ?」
「じゃあ……別の男との子どもってこと?」
国民達は動揺している。
それは俺も同じだ。
「へ、陛下……な、何をしますの!!」
「それはこちらのセリフだ。貴様、一体何をした?」
父さんは鷹のように鋭い視線を、モモに向けてくる。
「貴様が素直に語れば、罪を許そうと思った。だが、貴様は頑なに罪を認めず、あまつさえ姉にいじめられたとウソを吐き、罪を重ねた!!」
「そ、それは……ち、違いますわ」
「何が違う!! ワシを騙せると思ったか!!」
父さんの怒号が、広場中に響き渡る。
「そして同時に、ヴィルディよ」
「は、はい!」
「貴様、モモの秘密を知っておったな?」
「そ、それは……」
「秘密に気づき、ユヴィリティに相談をした。そこまでは許そう。だが……何故、ワシに相談をしなかった?」
「だ、だって……」
「大方、処刑されると恐れたのだろう。貧民との間に子どもができた妃など、前代未聞であるからな」
「と、父さん……」
「保身に走り、相談もできない。貴様のような者など、王家にはふさわしくない」
父さんは蛇のような視線を僕に向ける。
「この式はこれにて終いじゃ。そして、両者の処刑を執り行う」
「そ、そんな!!」
「ま、待って下さいまし!!」
「ワシは幾月も待ってやった。じゃが、ガマンの限界じゃ」
目の前が暗くなる。
そんな。だって。
「僕は……モモに惹かれた時点で、詰んでいたのか?」
こんなことなら、最初から……。
「素敵ですわ!! ヴィルディ様!!」
「モモ様も美しいですわ!!」
「綺麗だぜモモ様!!」
本日は僕とモモの結婚式だ。
馬車の中から、国民達の祝福の歓声が見える。
彼らは皆、喜びに満ちた表情だ。
「着きました」
「ああ、ご苦労」
「行きましょう、殿下」
僕はモモと共に、広場の中心に向かう。
王家の人間は教会で結婚式を行わず、広場の中心で愛を誓うのだ。
これは多くの国民に対し、潔癖を誓うためでもある。
「ヴィルディ様!!」
「凜々しいですわ!!」
「モモ様も綺麗だぜ!!」
「2人とも素敵だ!!」
国民の歓声が、うるさいほどに聞こえる。
モモはそれに対し、嫌な表情をしているな。
「2人とも、向き合って下さい」
「はい」
「ああ」
広場の中央に着き、神父の前で僕らは向かい合う。
「新郎、ヴィルディ・ファレト・グリーンズ」
「はい」
僕は神父に答える。
「あなたはここにいる新婦モモを病めるときも健やかなるときも、富めるときも貧しきときも妻として愛し、敬い慈しむことを誓いますか?」
「誓います」
「本当ですか?」
「え? ええ、はい」
「……そうですか」
何か引っかかる言い方だな。
「新婦、モモ・ルビシア」
「はい」
今度はモモの方へ、神父は向いた。
「あなたはここにいる新郎ヴィルディを病めるときも健やかなるときも、富めるときも貧しきときも妻として愛し、敬い慈しむことを誓いますか?」
「誓います」
「本当ですか?」
「ええ。もちろんですわ」
「……そうですか、残念です」
何だ、何かがおかしい。
そう思ったとき──
「我が息子よ、貴様は実に愚かだな」
「と、父さん!!」
僕らの背後から、父さんが現れた。
「へ、陛下だ!!」
「息子の結婚式なんだから、陛下くらいいるだろう」
「いやいや、でも……なんかおかしくないですか?」
「確かに、朗らかなムードではありませんわね」
国民達は動揺している。
それは俺も同じだ。
「父さん、どうしたんですか?」
「モモよ、貴様……何故秘密を語らなかった?」
父さんは俺の言葉を無視して、モモの腹を指差した。
「な、何のことですか?」
「この腹をして、しらばっくれるつもりか!!」
そして父さんはおもむろに、モモのウェディングドレスを引き裂いた。
そこには────
「え、何……あの大きなお腹……」
「まさか、ヴィルディ様との子どもか?」
「でも、ヴィルディも驚愕しているよ?」
「じゃあ……別の男との子どもってこと?」
国民達は動揺している。
それは俺も同じだ。
「へ、陛下……な、何をしますの!!」
「それはこちらのセリフだ。貴様、一体何をした?」
父さんは鷹のように鋭い視線を、モモに向けてくる。
「貴様が素直に語れば、罪を許そうと思った。だが、貴様は頑なに罪を認めず、あまつさえ姉にいじめられたとウソを吐き、罪を重ねた!!」
「そ、それは……ち、違いますわ」
「何が違う!! ワシを騙せると思ったか!!」
父さんの怒号が、広場中に響き渡る。
「そして同時に、ヴィルディよ」
「は、はい!」
「貴様、モモの秘密を知っておったな?」
「そ、それは……」
「秘密に気づき、ユヴィリティに相談をした。そこまでは許そう。だが……何故、ワシに相談をしなかった?」
「だ、だって……」
「大方、処刑されると恐れたのだろう。貧民との間に子どもができた妃など、前代未聞であるからな」
「と、父さん……」
「保身に走り、相談もできない。貴様のような者など、王家にはふさわしくない」
父さんは蛇のような視線を僕に向ける。
「この式はこれにて終いじゃ。そして、両者の処刑を執り行う」
「そ、そんな!!」
「ま、待って下さいまし!!」
「ワシは幾月も待ってやった。じゃが、ガマンの限界じゃ」
目の前が暗くなる。
そんな。だって。
「僕は……モモに惹かれた時点で、詰んでいたのか?」
こんなことなら、最初から……。
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