妹の方がかわいいからと婚約破棄されましたが、あとで後悔しても知りませんよ?

志鷹 志紀

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5.(モモ視点)隠せ

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「……大丈夫、大丈夫ですわ」

 お腹をさすり、一生懸命吐き気をガマンします。
 少しずつ大きくなってきたお腹を、隠し通せるように。

「今はまだ、バレていませんわ。大丈夫、問題は何もありません」

 お腹の中で、我が子が少しだけ動いた気がします。
 心は喜んでいますが、同時に焦燥感も抱いてしまいますわ。

「なんで……なんで、こんなに元気ですの……!!」

 涙が零れてしまいますわ。
 こんなに元気でしたら、バレてしまいますわ。
 過剰なほど潔癖な王族の方々に気づかれてしまえば……。
 想像するだけでも、恐ろしいですわ。

 きっと、気づかれてしまえば、私の命はありませんわ。
 そして同時に、お腹の子も。

「なんで、なんで一回限りの過ちで、こんなことに……私が何かしましたの……!?」

 ずっとなりたかった、王族の婚約者と言う立場。
 姉から奪う形で、ようやくなることができました。
 だのに、それなのに……どうして?

「どうして……私が、こんなに苦労しなければなりませんの……?」

 ようやく、叶えることのできた夢。
 それなのに、数ヶ月前に侵した1度のミスで、どうしてこんな後悔をしなくてはいけませんの?
 
 私がそんなに悪いことをしましたか?
 あの日の夜だって、少し病んでいたから……少しミスを犯しただけではありませんの。

「どうして……どうして、私ばかりが……こんなに酷い目に合いますの……?」

 どう考えても、理不尽ですわ。
 お姉様のような何も考えずにのほほんと生きている人が、同じ目に合うのでしたら理解できますわ。
 ですけれど、私のように容姿端麗で頑張って生きてきた人がこんな理不尽な罰を受けるなんて、考えられませんわ。

 どう考えても、おかしいですわ。
 私はもしかしたら……神様に嫌われているのかも知れませんわね。

「……この子は産みたいですわ。ですけれど、どうすれば……」

 望まずに孕んでしまった命。
 ですけれど、そんな形であれ育んでしまったのですから、産まなければなりませんわ。

「出産予定日まで、残り僅か……。何とかして、バレないようにしなくては……」

 とりあえず今は、服装をダボダボにすることでなんとか王子の目を誤魔化しています。
 それでも、かなり大きくなってしまったお腹を誤魔化せるのは……きっと時間の問題でしょうね。

「……愚かな王子であって欲しいですわ。私のウソにも簡単に騙されるような、ずっと愚かな王子で……」

 この子を産み、里親に預けるまでの間。
 なんとかして、隠蔽しなくてはなりませんわ。
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