ミニマリストの別れ話

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『今日の入場規制はびびったね!次遊び行くときはレンタカー借りて、早く着けるようにするわ』
 そう送信したメッセージに既読はなかなかつかず、きっと彼女は壁を塗っているのだろう。
 ベットに寝転んでメッセージ画面を消す。
 (遊園地よりホームセンターの方が楽しそうってどんだけだよ)
 収納ケースや白のクリアファイルホルダー、あろうことか白い雑巾にまでやばーいと歓声を上げていた。
「今日のお詫びに」とオフホワイト俺に言わせればただの白のペンキを二缶買ってあげた。
もちろん刷毛はけも白だ。
壁をオフホワイトにするらしい。
 大家さんにはどう説明する気なのだろう。
 あやののアパートは木目を基調としたナチュラルなフランス風を売りにした物件のはずだった。
まさか了承を得ずに塗ってはいないだろうなと、心配になる。

と、スマホが音を立てた。
あやのからの返信音だった。画像もついている。
『みてー!ヤバい白いよ!買ってくれてアリガトっ』
 写真が飾られていた一角の壁が早速白くなっていた。乾かしているのだろう、あやのの足元に写真や絵画が丁寧に置かれている。
 あやのは随分と仕事が速い。
『窓開けるか換気扇回しなよ。頭痛くなるぞー』
 笑いながら返信した。
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