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二章 入学旅行二日目
2-20a ソイフラージュの竜辞典――光と虹 1
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――さあ、今すぐ本屋に行って、『竜辞典』を探しに行こう!それは普通の国語辞典に紛れている。『竜辞典』が新たな主に選ぶのは、それぞれ一人だけ。それは、あなたかもしれない!
「……は……? え……?」
裏表紙側の帯には、他にも、こう書かれてあった。
――ククリコ・アーキペラゴへの特別招待状。それは3冊の竜辞典を手にした3人だけに、贈られる。
「え……。え、え……?!」
まさか、という思いが、霧の胸に渦巻く。
ドッドッドッと、心臓が飛び出てきそうなほど激しく打ち、熱いのか寒いのかわからなくなるほど、カッと顔に熱が上ったかと思えば、次の瞬間、手足が氷のように冷たく感じられた。
「あ……あああ……ま、まさかね、あは、あは……や、でも一応……、か、確認……」
霧は自分の、少し前に本屋で購入した自分の辞典を、ホルダーから取り出した。
そして購入当初から付けられていたカバーをはずし、本自体の表紙を確認する。
「……っ!!」
ドクン、と、大きく一つ、心臓が跳ね上がる。
霧は声も無く、息を呑んだ。
それは普通の、国語辞典――では、なかった。
煌竜の宿る伝説の『竜辞典』の一つ、不屈のソイフラージュの『光と虹の辞典』――それはその名称の所以となった通り、美しい虹が浮かび上がり、辞典自体が光を放つように輝いている。
「あ……あああああ、えええええ、……まんま、これ、まんまだよ……ああああ……えええええ……うううううう、うそぉ……」
しばらく茫然としたのち、霧はハッとして『辞典妖精』を呼び出した。
可愛いうさぎ耳のカチューシャを付けた妖精が即座に現れ、小首を傾げて霧を見つめている。霧はごく小さな声で尋ねた。
「あの、あの、こここ、これさ……もしかして、ソ、ソ、ソ、フラフラフラーの……りゅ、……じ、じて……な、なの?!」
動揺するあまり不明瞭な発音になった霧の言葉を、『辞典妖精』は正確に把握して答えてくれた。
【そう。ソイフラージュの『竜辞典』。それ、ピョン! わたしたちは、あなたを選んだ。あなたが現れた時、わたしたちは歓喜した。待ち望んだ存在、ついに来たと! あなたの魂、あなたの心、あなたの体、わたしたちとリンクした。何一つ、違和感はなかった。あなたは奇跡。この『辞典』を見つけて、手に取り、適合した。あの異世界で、この『辞典』を見つけるだけでも稀有なこと、あなたはその上、手に取れた。その瞬間、わたしたちは確証した。適合者が、遂に現れた、と! あなたは奇跡!】
「え……ええ……?! 何それ。て、適合……? ドナーみたいな……え、え? そうなの?」
霧はしばらく茫然としていた。『辞典』と文庫本を持つ手が震え、あまりの驚きに声も出ない。
「……は……? え……?」
裏表紙側の帯には、他にも、こう書かれてあった。
――ククリコ・アーキペラゴへの特別招待状。それは3冊の竜辞典を手にした3人だけに、贈られる。
「え……。え、え……?!」
まさか、という思いが、霧の胸に渦巻く。
ドッドッドッと、心臓が飛び出てきそうなほど激しく打ち、熱いのか寒いのかわからなくなるほど、カッと顔に熱が上ったかと思えば、次の瞬間、手足が氷のように冷たく感じられた。
「あ……あああ……ま、まさかね、あは、あは……や、でも一応……、か、確認……」
霧は自分の、少し前に本屋で購入した自分の辞典を、ホルダーから取り出した。
そして購入当初から付けられていたカバーをはずし、本自体の表紙を確認する。
「……っ!!」
ドクン、と、大きく一つ、心臓が跳ね上がる。
霧は声も無く、息を呑んだ。
それは普通の、国語辞典――では、なかった。
煌竜の宿る伝説の『竜辞典』の一つ、不屈のソイフラージュの『光と虹の辞典』――それはその名称の所以となった通り、美しい虹が浮かび上がり、辞典自体が光を放つように輝いている。
「あ……あああああ、えええええ、……まんま、これ、まんまだよ……ああああ……えええええ……うううううう、うそぉ……」
しばらく茫然としたのち、霧はハッとして『辞典妖精』を呼び出した。
可愛いうさぎ耳のカチューシャを付けた妖精が即座に現れ、小首を傾げて霧を見つめている。霧はごく小さな声で尋ねた。
「あの、あの、こここ、これさ……もしかして、ソ、ソ、ソ、フラフラフラーの……りゅ、……じ、じて……な、なの?!」
動揺するあまり不明瞭な発音になった霧の言葉を、『辞典妖精』は正確に把握して答えてくれた。
【そう。ソイフラージュの『竜辞典』。それ、ピョン! わたしたちは、あなたを選んだ。あなたが現れた時、わたしたちは歓喜した。待ち望んだ存在、ついに来たと! あなたの魂、あなたの心、あなたの体、わたしたちとリンクした。何一つ、違和感はなかった。あなたは奇跡。この『辞典』を見つけて、手に取り、適合した。あの異世界で、この『辞典』を見つけるだけでも稀有なこと、あなたはその上、手に取れた。その瞬間、わたしたちは確証した。適合者が、遂に現れた、と! あなたは奇跡!】
「え……ええ……?! 何それ。て、適合……? ドナーみたいな……え、え? そうなの?」
霧はしばらく茫然としていた。『辞典』と文庫本を持つ手が震え、あまりの驚きに声も出ない。
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