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二章 入学旅行二日目
2-17b 課題7――ストーリードーム作成
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霧はワクワクしながらアデルに声をかけた。
「アデル、もう出来たの、早すぎ! 見せて見せて」
「いいよ。背景同じで3シーンの簡単なものだから、5分で出来たの。ドームの飾りのこのボタンを1回押すと、最初から自動再生が始まるよ」
アデルのストーリードームは、白い卵が揺れているシーンから始まった。立体映像なので、ドームのどの方面から見ても可愛い卵が見える。
次のシーンでは卵にひびが入り、中から何かの生き物の鼻先が現れた。何が生まれてくるのかワクワクして見守っていると、猫のような生き物が現れ――なんと、大きな白い翼を持った美しい純白の猫で――生まれた喜びを全身で表しながら飛び回り始めた。
霧が「わあ! きゃわいいぃ!」と声を上げてしばらく見ていると、最初の卵のシーンに切り替わった。
2ターン目を食い入るように眺める霧に、アデルが口を開く。
「今回の課題7では多分、生徒の表現力を見るんだと思うの。課題3と4の競技場でのバトルが言葉による表現力で、この課題7は映像による表現力ね。入学旅行の課題はどれも、新入生の適性を定めてクラス分けするためのものだから、このストーリードームも完成度は気にしなくていいと思うわ。キリの好きなように作り込めばいいと思う。ちょっと聞いてる、キリ?」
「うん、聞いてる。すごいねぇ、アデル、この天使みたいな猫、めちゃ可愛い上に、実際こんな生き物が目の前にいるみたい。翼の羽根の一つ一つまで描き込まれてるし、動きも滑らか。もしかして名人級じゃないの、これ」
「辞典魔法士を目指すなら、これくらい普通よ。……まあ、イメージの表現は得意な方ではあるけど。さ、早くキリも作っちゃお」
アデルは霧の誉め言葉に少し顔を赤らめながらも、グイグイと霧の手を引っ張って手近な『物語の泉』の前に連れて行く。
霧はアデルの丁寧なレクチャーを受けながら、ストーリードーム作りを進めながら思った。
(はあ……すごい。この『物語の泉』ってさしずめ、高性能なイメージ投影型3Dプロジェクションマッピング生成AIって感じか。イメージしたそばから映像が描き込まれてゆく……はあ……すごい)
その後40分ほどで、霧のストーリードームは完成した。
「で、で、できた……。アデル、ありがとう、ほんとありがとう、教え方、分かりやすくて天才だった!」
「天才はあなたよ、キリ。驚いた。これ、売れるレベルだと思う」
アデルが霧の完成したストーリードームを見つめながらそう言うと、リリエンヌの声が後ろから降ってきた。
「本当に、素晴らしいですわ。感動的なストーリーが7シーンで巧みに表現されいて、キラキラした物語の宝石箱みたいですわ。ぜひストーリードームショップに登録して、販売して欲しいですわ、キリ! もちろんわたくし、買いますわ。自分用に一つ、両親用に一つ、布教用に何個も買いますわ!!」
瞳を潤ませたリリエンヌがそう熱弁すると、トリフォンも感心したように頷き、リューエストが何やら訳の分からない妹への賛辞を叫んでいる。いつもはツアーメイトに無関心な様子のアルビレオまで、霧のストーリードームを興味深げに覗き込んでいた。
いつの間にか、霧のストーリードーム作りは24班の面々に見学されていたらしく、その場所に全員が揃っている。
霧が照れながら「いやぁ……漫画とかアニメで、オタクの頭の中はイメージ爆発しちゃってるからねぇ……そんなに褒められたら木に登っちゃうからやめて」と焦っていると。
突如、誰かが近づいてくる気配がした。
「リューエストさん! リューエストさん、います?! どうか手を貸してください!」
切迫した声でそう叫びながら、見知らぬ女性が霧たち目がけて走り寄ってきた。
「アデル、もう出来たの、早すぎ! 見せて見せて」
「いいよ。背景同じで3シーンの簡単なものだから、5分で出来たの。ドームの飾りのこのボタンを1回押すと、最初から自動再生が始まるよ」
アデルのストーリードームは、白い卵が揺れているシーンから始まった。立体映像なので、ドームのどの方面から見ても可愛い卵が見える。
次のシーンでは卵にひびが入り、中から何かの生き物の鼻先が現れた。何が生まれてくるのかワクワクして見守っていると、猫のような生き物が現れ――なんと、大きな白い翼を持った美しい純白の猫で――生まれた喜びを全身で表しながら飛び回り始めた。
霧が「わあ! きゃわいいぃ!」と声を上げてしばらく見ていると、最初の卵のシーンに切り替わった。
2ターン目を食い入るように眺める霧に、アデルが口を開く。
「今回の課題7では多分、生徒の表現力を見るんだと思うの。課題3と4の競技場でのバトルが言葉による表現力で、この課題7は映像による表現力ね。入学旅行の課題はどれも、新入生の適性を定めてクラス分けするためのものだから、このストーリードームも完成度は気にしなくていいと思うわ。キリの好きなように作り込めばいいと思う。ちょっと聞いてる、キリ?」
「うん、聞いてる。すごいねぇ、アデル、この天使みたいな猫、めちゃ可愛い上に、実際こんな生き物が目の前にいるみたい。翼の羽根の一つ一つまで描き込まれてるし、動きも滑らか。もしかして名人級じゃないの、これ」
「辞典魔法士を目指すなら、これくらい普通よ。……まあ、イメージの表現は得意な方ではあるけど。さ、早くキリも作っちゃお」
アデルは霧の誉め言葉に少し顔を赤らめながらも、グイグイと霧の手を引っ張って手近な『物語の泉』の前に連れて行く。
霧はアデルの丁寧なレクチャーを受けながら、ストーリードーム作りを進めながら思った。
(はあ……すごい。この『物語の泉』ってさしずめ、高性能なイメージ投影型3Dプロジェクションマッピング生成AIって感じか。イメージしたそばから映像が描き込まれてゆく……はあ……すごい)
その後40分ほどで、霧のストーリードームは完成した。
「で、で、できた……。アデル、ありがとう、ほんとありがとう、教え方、分かりやすくて天才だった!」
「天才はあなたよ、キリ。驚いた。これ、売れるレベルだと思う」
アデルが霧の完成したストーリードームを見つめながらそう言うと、リリエンヌの声が後ろから降ってきた。
「本当に、素晴らしいですわ。感動的なストーリーが7シーンで巧みに表現されいて、キラキラした物語の宝石箱みたいですわ。ぜひストーリードームショップに登録して、販売して欲しいですわ、キリ! もちろんわたくし、買いますわ。自分用に一つ、両親用に一つ、布教用に何個も買いますわ!!」
瞳を潤ませたリリエンヌがそう熱弁すると、トリフォンも感心したように頷き、リューエストが何やら訳の分からない妹への賛辞を叫んでいる。いつもはツアーメイトに無関心な様子のアルビレオまで、霧のストーリードームを興味深げに覗き込んでいた。
いつの間にか、霧のストーリードーム作りは24班の面々に見学されていたらしく、その場所に全員が揃っている。
霧が照れながら「いやぁ……漫画とかアニメで、オタクの頭の中はイメージ爆発しちゃってるからねぇ……そんなに褒められたら木に登っちゃうからやめて」と焦っていると。
突如、誰かが近づいてくる気配がした。
「リューエストさん! リューエストさん、います?! どうか手を貸してください!」
切迫した声でそう叫びながら、見知らぬ女性が霧たち目がけて走り寄ってきた。
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