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サムライ校での学園生活

姫様の始めての友達

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次の日の夕食時間・・・一番驚いたのは麗太のドスの効いた怒鳴り声から始まったことだった。

麗太「おい!てめえら、姫様に何ふざけたもん出しているんだ?!こんな貧相な食事で姫様が満足するとでも思っているのかー!!」


大広間の食堂で、麗太は食堂でご飯を作ってくれている調理員の人達に何やら訴えていた。

子供だが、ここまで大声で怒鳴られると、さすがの大人の調理員たちもビビるだろう・・・


麗太「仮にも、この国の頂点であらせられるお方だぞ!フォアグラかトリュフは常識お出しするのが当然
だろうがー!!」

さて、なぜ彼はこんなに怒鳴っているのだろうか?



友愛「麗太は何をやっているの?」

友愛は目を丸くしながら、隣でデザートのチョコパイとケーキを食べているリリに聞く。

リリ「この食堂の夕食が、姫様にお召し上がりになってもらうには、あまりに貧相すぎるって、調理場のおじちゃんおばちゃんに訴えているらしいわ。ホント・・・アホらしい・・・」


ため息をつくリリ・・・・

そっか・・・麗太は、清宮姫の大ファンだったっけ・・・・


麗太「今すぐ刀を持って来い!こんな食事を出した責任をとって全員、ここで切腹しろ!」

麗太が腰に差している木刀を抜き、振り回す。

ひえええええええ!!と叫び声を上げる調理員たち・・・・


浅見先生「落ち着きなさい!海江田!!あなたが姫様の大ファンなのはわかりますが、姫様は望んで皆と同じ食事をとっているのですよ!」

浅見先生が騒ぎを聞きつけ、麗太を止めにやってくる。

清宮姫「そうなんです、麗太さん!先生方は別のメニューを作ってくださると言ってくれたのですが、私の個人的希望で皆さんと同じ学食をいただくことにしたんです・・・・留学期間中の間は、少しでも皆さんと同じ学生生活に馴染み、楽しみたいと思っていまして・・・」

清宮姫が慌てた様子で、麗太に近づき、訴えるような目でそう伝える。

麗太「え・・・・??」

麗太のポカンとした間抜け面・・・・


浅見先生「そういうことです・・・さあ、海江田、木刀をしまいなさい。それ以上暴れまわると、ただでさえ低いあなたの成績点から、もっと減点しますよ!」

浅見先生が厳しい表情で、そう言う。


麗太「そ、そっか~そうなんですね・・・・ハハハ・・・あの、すいませんでした・・・・」

誤魔化すようなヘラヘラした笑顔の麗太・・・


「すいませんだけか?」

と言わんばかりに調理員の人たちは、彼を睨むのだった・・・




その時だった・・・浅見先生がチラリと友愛のことを探るような目で見たのを、友愛の目も見逃さなかった。


友愛「ねえ・・・浅見先生が協力者ってことは有り得ないかな?」

リリは、机の下に隠した【容疑者リスト】という膨大な紙の束を開いた。

そこには、浅見先生の写真と詳細な情報も書かれている・・・

友愛とリリは最近、怪しい行動をしている人物がいないか、常に校内を警戒して見るようになっていた・・


リリ「現時点では、可能性が低いんじゃないかな・・・一応、私も色々調べたんだけどね。何も怪しい行動はしてないし、厳しいけど、私たち【個】のクラスの生徒の良い担任だと思うけど・・・」

友愛「うん・・・確かに・・・」

でも、浅見先生は時々、友愛のことを、今みたいに探るような目で見てくるときがある・・・

友愛の自意識過剰なのだろうか?

それとも・・・・




麗太の騒ぎもおさまったところで、大広間の夕食の席は、再び落ち着きと賑わいを取り戻していた。

大広間の一番右側の席は、友愛、麗太、リリの仲良し三人組がいつも食事をとっている場所なのだが

その席に、麗太と一緒に清宮姫が、やって来たのは、ビックリだった・・・


友愛「ていうか、麗太はいつの間に、姫様とそんな親しくなったの?」

友愛は緊張してガチガチで、姫様と話すことができないから、麗太に問う。

まあ、確かに緊張するのは当然だ・・・今は、サムライ校の留学生として一緒に学生生活を送っているとはいえ、実際は雲の上の人だ。


リリ「昨日の夜、私たちと解散した後、たまたま姫様とレカミエが寮の自習室で一緒にトランプをやっている場所に参加できて、それをきっかけに友達になれたんだってさ。」

麗太「おい!言うなよ!今、俺がせっかく、その輝かしい記憶を説明しようと思ったのに・・・」

リリ「何よ!朝から鼻の下伸ばして、長々とその輝かしい記憶を説明してきたのはあなたでしょ。」


リリが、皮肉たっぷりに、からかうように言う。


友愛「え?でも、なんで姫様とレカミエが・・・?」

清宮姫「ああ、それはですね・・・・・」

レカミエ「私は姫様の護衛を任されていまして、その関係で姫様の遊びにもお付き合いさせていただいております。」

姫様の肩から、ぬっと姿を現すレカミエ・・・

うわ!ビックリしたあ~


友愛「護衛??」

レカミエ「姫様は、この国の大事なお方ですから。普段は、外出時でも、例えご自宅の【神居】にいる時もSPの方たちが1日中ついているそうですが、流石に校内で、黒スーツのSPの方たちが廊下で歩いていたら、物々しすぎるし、物騒だということで・・・」

リリ「なるほどね。それで女子生徒の中で一番、戦闘能力の高いレカミエがボディーガードに選ばれたということね。」

レカミエ「そういうことです。校長と神皇家のSPの方たちに依頼されました。」


清宮姫「ついでに、私の遊びにも付き合ってもらっているんです!!エヘ!」

清宮姫は明るく天真爛漫に笑いながら、常に無表情のレカミエの腕を握る。



ちょっと姫様の印象が、友愛の中で変わった・・・テレビやネットの動画で見てたら、おしとやかで
静かな印象の清楚なお姫様だけど・・・

こんなに明るく笑う方だったなんて・・・


麗太「で、でも・・・ぶっちゃけ、レカミエと遊んでいて楽しいですか?だって、彼女・・あの~ずっとポーカーフェイスでしょ?」

麗太が、常に無表情のレカミエを見ながら、面白そうに笑って、そう言う・・・

ったく・・・本当にどこまでいってもデリカシーの無い奴・・・

【原爆パンチ】を教えてくれた命の恩人なのに・・・


清宮姫「フフ、確かにお人形さんみたいで、いっつも反応薄いけど、でも面白いですよ。だって、常に誠心誠意で私の遊びに付き合ってくれるんですもの。」

レカミエ「SPの方たちに、姫様のお遊びにも根気強く対応してくださいと、依頼されておりますので・・」

清宮姫「ほら!こうやって正直に答えてくれるとこも好きなんですよ!」


姫様は、まるでおかしいことのように笑いながら、レカミエの白い柔らかい頬を少し引っ張る。

それでもレカミエは、されるがままで無表情だ・・・うん、中々微笑ましい画だ・・・


清宮姫「私・・ずっと【神居】のお城の中で暮らしていて、普段通っている女学院にいる時も、常に私服のSPの方がずっとついているせいか、家族以外で気兼ねなく話せる人って出来た事がないんです・・・

神皇家の人間として、ずっと守られて育ってきたせいか、同年代の学生の皆さんがどうやって
友達を作っているかもわからなくて・・・

SPの方たちは私を気づかって、いつも遊びに付き合ってくれるんですけど・・・神皇家の姫という身分のせいか、直球でものをいってくれることがないんです。絶対に厳しい事を言わないんです。

でもレカミエは、そんな私の肩書きを知っていても、遠慮なく素直にものを言ってくれる始めての人なんです・・・」


そっか・・・姫様は国の偉い方・・・・その身分も大きく響いて、普通の人なら、確かにみんな一歩ひいて
遠慮して付き合う・・・

でもレカミエは、元来こういうロボットみたいな性格のせいか、何でも素直に正直に答えてしまう・・・



友愛、麗太、リリの3人はクスッと笑い・・・

友愛「じゃあ、姫様・・・僕らもそんなレカミエと一緒に、姫様の始めてのお友達になってもいいですか?」


その友愛の言葉に、清宮姫は、パッと明るい笑顔になり・・・

清宮姫「もちろんです!こちらからお願いしたいぐらいです!私にこの学校について、色々教えてください!」


そんな明るい会話に、一陣の暗い影が差し込む・・・・

姫様の背中に、突き刺さるような恐ろしい視線!

その視線を感じ取った姫様の顔は、一気に恐怖でひきつった・・・・・


レカミエ「姫様!もしかして、また・・・・あの視線を感じましたか?!」

レカミエの顔は、相変わらず無表情だが、声にはただならぬ強さがこもっていた。

そして、後ろを振り向き、まるで怪しい人物を探すかのように周囲を警戒している・・・


リリ「い、一体どうしたんですか?」

麗太「誰か怪しい奴でもいたんですか?」


姫様は、青い顔しつつも、勇気を振り絞るように声を出した・・・

ちょっと具合が悪そうだ・・・

姫様「始めての友達に、こんなこと話していいのかな・・・でもレカミエには聞いてもらったし・・・
ごめんなさい・・誰かに少しでも話さないと恐怖に耐えらなくって・・・」

姫様の手はガクガクと震えている。そして、今にも泣きだしそうだ・・・

麗太「遠慮せず言ってくださいよ!いつだって力になりますから!」

姫様「ありがとうございます・・・じゃあ・・・・実は、私、命を狙われているんです・・・・・」












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