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サムライ校での学園生活

一学期終了と仲良し3人組

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小西の両親は、自分の息子が亡くなったというのに、「仕事が忙しい」という理由で、遺体が保存されている警察の安置所に行きもしなかった・・・

親にすら愛されなかった存在・・・

あまりに悲しそうで、哀れで、もう誰も小西を責める気になれなかった・・・


小西は、自分を見つけてくれる存在・・・

自分とコミュニケーションを取ってくれる存在・・・

愛してくれる存在が欲しかったのだ。



その彼の気持ちの弱みにつけこんで、彼を洗脳したのが【0】というわけだ。

孤独だった小西には、【0】が天使に見えたのかもしれない・・・

だが彼の弱った心は、恐ろしい悪意に利用されてしまったのだ・・・



やっと小西の親が、安置所にやってきた時には、浅見先生もそれに付き添った・・・

安置所には、警察官と両親しか入れないから、浅見先生と、その関係者として同行する友愛は門の前で待つ。


安置所から出てきた小西の両親は、別れ際に再度、浅見先生に謝罪をした。

小西の両親「出来の悪いうちの息子が、本当にすいませんでした・・・本当にバカな息子でした・・・
小島君にも迷惑をかけて本当に・・・」

父親、母親ともども・・・

なんでそうやって、自分の子供を蔑んだ言い方をするんだ!

この両親に、友愛は無性に腹が立った!


友愛「どうして、最後まで自分の子供に対して、そんな言い方しかできないんですか!」

車椅子状態の友愛は、それでも全力でそう叫んだ!

友愛「親だったら、自分の子供の人生を少しは肯定してやったらどうですか?!」

いつもは、臆病で他人を批判できないはずの友愛に、それでも叫びの力を与えているのは、小西の最後の寂しそうに亡くなっていく姿が、また鮮明に思い出されたからだ・・・

誰かが・・・誰かが・・・彼に手を差し伸べていれば・・・


浅見先生「友愛!やめなさい!」


友愛の発言を止めようとする浅見先生・・・

だが、友愛は止まらなかった・・・

戸惑う小西の両親に、友愛は容赦なく本音を怒涛のようにぶつける!


友愛「大人が子供のことを認めなくては、子供に残るのは絶望と狂気だけなんです。子供の一番の理解者は
親のはずなんだから!親に愛されなきゃ、他人の愛し方がわからない・・・それが子供という生き物なんです!

誰にも認めてもらえなかった子供たちは、その子達同士で無惨で醜い争いを行う・・・

ご両親は、少しでも小西君を認めてあげましたか?愛したことはあったんですか?」


浅見先生「友愛、もうやめなさい!」



小西の父親は、友愛のことをギロッと睨むと・・・

小西の父親「あんな出来の悪い息子、愛そうという気持ちにまったくなれないね・・・」

そう言って、母親に「行くぞ」と言って去っていった・・・




一連の事件の後

浅見先生は、友愛、麗太、冴鶴の3人に単独で犯罪者のアジトに乗り込んだことを、長々と説教し・・

浅見先生「皆さんのご両親にもしっかりお話して、しかってもらいます!」

で終わらせた・・・

だが、それに付け加えて・・・

浅見先生「ですが友愛、麗太、冴鶴・・・あなた達は自分の命も顧みず、仲間を助けようと決死の覚悟で犯罪者と闘いました。その行動は、学校の規則を幾つも破ってるとはいえ、まさに弱きを助け強きをくじく
侍そのもの・・・

その勇気を称え、サムライの公式アプリ【ヤマト】にサムライポイントを送っておきます・・・」


【SAMURAI(国家防衛員)】になるための公式アプリ【ヤマト】に、今回の件で活躍した3人の功績を認め、
それぞれ4ポイント送ってくれるそうだ・・・

命懸けで闘ったんだから、もうちょっと与えてくれても良さそうなものだが・・・いつもは厳しい浅見先生が多少認めてくれたことに、我慢する友愛と麗太・・・



3人のスマホに通知音が来る・・・


【ヤマト】に数字として4ポイントずつしっかり入っていた・・・


友愛 麗太「やった!!」





冴鶴「先生、俺、保護者いないんですが・・・・」

浅見先生「あ・・・そうだったわね・・・申し訳ありません、冴鶴・・・」

浅見先生は、冴鶴に申し訳なさそうに謝る。


そう言えば、冴鶴ってどうして両親がいないんだろう?






先の戦闘で大怪我を負った友愛と麗太の2人は、東京の病院で怪我の治療をしながら、警察の事情聴取
を受ける日々を送っていた。


友愛は思う・・・・


僕は友達がいなかった時でも、家族がいた・・・

だから、孤独にならず済んだ・・・

でも、愛してくれる家族すらいなかったら・・・

自分だって、一歩間違えば、小西みたいになっていたんだ・・・



紗江「全くバカなことはもうやめなさいよ!」

今日は、友愛の母の紗江が見舞いに来てくれていた・・・

仕事が忙しくても、週に3回は見舞いに来てくれる紗江・・・


紗江「友達を助けたい気持ちはわかるけど、もう危険なことはしないでね。そういうことは大人にまかせなさい!生きて帰ってこれたのが奇跡なんだからね!」

友愛「うん、わかってるよ、母さん・・・」

紗江「でも、本当に良かった・・・・」

見舞いに来るたび、同じことを繰り返して繰り返して、胸をなでおろす紗江・・・友愛はもう耳にたこができるほど聞いたセリフだ。

でも、やっぱり凄い心配してくれているのが伝わってきた・・・・

紗江「やっぱり・・・あなたもお父さんと同じね・・・・」

友愛「え?」

紗江「母さんも心配よ・・・あなたが父さんみたいに、何度も何度も危険な場所へ自分の身を投じないか・・・」

友愛「それって・・・」



母さんの意味深な言葉の続きを聞こうとした時、病室に警視庁捜査一課の課長である【鳥萩新多(とりはぎしんた)】が事情聴取の続きにやってきた。


鳥萩「保護者の皆さん、すいませんねえ。また2人に事件のことで聞きたいことがありまして・・一度席を外してもらってよろしいですか?」


紗江「あ、はい。じゃ、友愛また来るね・・」

友愛「う、うん・・・」


紗江は、見舞いに来た麗太の両親と共に去ってしまった。



鳥萩は、無精ひげをかきながら、早速話を始めた。

鳥萩「一応、君らには伝えておかなくてはならないことがあるんだ・・あの現場にいたリーダーの1人が刑務所で殺されたよ・・・」

友愛 麗太「ええ!ポイズンがですか?!」

2人には、あまりに衝撃的な話だった!

あれだけ苦労して倒した人物が、あっけなく死んでしまうなんて・・・

鳥萩「それは、どうやら黒丸内でのコードネームのようだ・・・我々警察が独自のルートで調査したところ、奴の本名は江田海司(こうだかいじ)といって、元々は、オーラ天夢教の幹部だった男だ。」

!!!

2人は、続けざまに衝撃的な事実を告げられビックリする。

鳥萩「君らだって、名前ぐらいは知っているだろう? ちょうど君らが産まれたぐらいの年に、地下鉄東京駅で起きた【地下鉄ボツリヌス毒事件】。その事件の犯人は【オーラ天夢教】というカルト宗教団体だった・・・」

麗太「確か教団のリーダーの朝山宗全は、今、東京拘置所から脱走して逃亡中でしたよね?」


麗太は包帯でぐるぐる巻きの腕を抑えながら、言う。


鳥萩「ああ、そして奴の脱走に協力して、拘置所の職員を皆殺しにした犯人もまだ捕まっていない。」

友愛「で、でもなんで元々、宗教団体の幹部だった人が、犯罪組織の【黒丸】に・・」

鳥萩「さあな・・・しかし江田海司は12年前の事件で、我々警察の教団幹部一斉検挙から逃れたメンバーの1人だったんだ。奴は我々の追跡をまくために、顔を整形していらしく誰も気付くことはなかった・・もしくは知った上で、黒丸が奴を匿っていたのかもな・・・・」

麗太「でも同じ犯罪者同士とは言え、警察から逃亡中の指名手配犯を、わざわざ匿うようなリスクを負う真似をするかな~」

鳥萩「ほう、中々鋭いな。実はそこなんだ・・・恐らく黒丸とて、見ず知らずの人間を仲間として雇うわけがない。きっと江田の経歴だって調査している。経歴を知った上で雇ったということは、江田には黒丸が雇うなりの理由があったんだ・・・」

友愛「雇うなりの理由??」

鳥萩は、少し話しすぎたと感じたのか、ここで話を辞めた。

鳥萩「まあ、本来ならばこんな捜査情報を一般人に、ましてや子供には話さないんだが、今回の事件関係者だし、日本の期待を背負うサムライ校の学生たちだからな。何か知っていることがあったら、また教えてくれ。」

友愛「ああ、ちょ・・・」

鳥萩は一番気になるところで、病室から去って行ってしまった・・・


そっからは2人で、長々と事件についての考察が始まった。


友愛「鳥萩さんの見方が正しいなら、ポイズンが黒丸に雇われた理由は、きっとオーラ天夢教の秘密か何かを知っていたからってことじゃないかな? それで教団のその秘密が、ポイズンの口から漏れないように、現在逃亡中の朝山宗全に殺されたとか・・・」

麗太「確かに・・でもこういう見方もできるぜ。ポイズンは黒丸で仕事をするようになってから、組織と国の偉い人との関係を知りすぎた・・・だから口封じに殺されたんじゃないかな?それにオーラ天夢教は、もう警察によって壊滅されているんだぜ。重要な秘密なんてまだあるのかな?あったとしても警察がそれを暴いてそうだけど・・」

友愛「まあ、確かに・・・」

ポイズンは、過去の教団関係者に殺されたというよりは、黒丸によって殺され、口封じされたと見た方が
打倒のような気がする・・・

だが、友愛は何かが引っ掛かっていた・・・






その後、友愛と麗太の2人は、怪我が落ち着き始め、サムライ校に戻ることになった・・

今まで友愛と麗太をなんとなくバカにしていた学校のみんなは、戻ってきた彼らを英雄扱いしたが、全く嬉しくなかった・・・

目の前で、クラスメイトの死を見たのだから・・・・


それを知らずに

「スゲーな、犯罪者と闘ってどんな気持ちだった?」

「怖かった?やばかった?」


と問いかけるみんなが、2人には【現実を知らないバカな人】に映ってしょうがなかった・・・


同時に友愛は、自分にもみんなにも怒りを感じていた・・・

誰かが、小西に手を差し伸べて上げたら、こんなことにはならなかったのに・・

友愛はベッドの中で固く拳を握っていた・・・




ちなみに学校に戻っても、しばらくは保健室での入院暮らしだった。

ただでさえ、落第気味な2人の成績状態では、すぐに授業に復帰すべきだったが・・・

菓濃先生「ダメよ。骨が何本折れていると思ってるの?無理に動いたらもっと酷くなるわ。後2ヶ月は我慢しなさい!」

保健室の菓濃先生は、許してくれなかった。

東京の入院暮らしも暇すぎたのに、学校に戻っても、まだ白い天井を見て暮らさなきゃいけないのかと
考えると憂鬱すぎる2人・・・


たまに、昼休みにリリやサムライ部のメンバーが保健室に見舞いにきてくれるのが、唯一の救いだった。


岩一「よう!英雄、元気にしてるか?」

安倍「全く君らのアホさには、ほとほと呆れ返りますねえ。」

京子「で、骨何本折れたの?」

京子ちゃんは可愛いんだが、たまに素でデリカシーのない空気の読めないことを言ってくる。

恐らく本人は全く悪気がないんだろうし、心配してくれているのはわかるんだが・・・

ま、天然ドSなのだろう。 だから、なおさらタチが悪い。


岩一「てかよ~、俺らにも助けを求めろよな。2人だけで犯罪者に立ち向かうなんて、アホすぎんだろ。」  

京子「ホントよ、まあ、私達の力で助けになるかどうかわからないけどさ。でも同じサムライ部でしょ?頼ってくれれば良かったたのに!」

安倍「まあ、助けを求める内容にもよりますがね。」

お前は素直だな!おい!


でも、サムライ部のみんなは、なんとなく2人を元気にさせようと明るくふるまってくれているのが
感じられて、興味本位で話しかけてくる他の子たちとの違いを感じた。


リリは、授業を全く受けられなかった2人のために、ノートを書いてくれていた。


友愛「毎日ごめんねリリ。2人分のノート書くの大変でしょ?」

リリからノートを渡してもらいながら、友愛は申し訳なさそうにそう言う。

リリ「全然!私授業好きだもん!でもノート書いたんだから、ちゃんとそれで勉強してよね!」

麗太「それは、どうかな~」


京子は、3人が仲良く話す風景を見ながら・・・・


京子「本当に3人って仲良いよね!」


友愛 リリ 麗太「え??」


京子「ここ数日、ずっとお見舞いに来て、見てたけど常に3人で話してるもんね・・」

岩一「そう言えばそうだな・・・俺らがいない時も、小野田だけは毎日ずっと2人の傍にいるもんな・・・」

安部「朝も昼も夜も、来るたびにいますよねえ・・・なんか3人だけの見えない空間があるっていうか・・」

京子「学校内でも、ちょっと有名よ・・・あそこは【仲良し3人組】だって!」


リリ「そ、そりゃ・・・2人は命の恩人だから・・」

リリは、顔を真っ赤にして言う。


京子「そうだ!ねえ!リリちゃんもサムライ部に入らない?」

その京子の提案に、怒涛のように、みんな賛成する。

岩一「そりゃ、いいぜ! お前ら3人組は骨があるから俺様が入部を認めてやるよ!」

何様だ、お前・・・・

安部「確かに・・・小野田さんは成績優秀ですが、多少周りから浮いてますし、そういう意味で僕らと同じ種族のようですから、サムライ部にピッタリかもしれませんねえ・・・」

いちいち失礼すぎんだろ、お前ら・・・・


だが、リリは凄い嬉しそうだった・・・・


リリ「わ、私、入部してもいいの?」

リリは、友愛と麗太のほうを振り向く。


友愛「大歓迎だよ!」

麗太「うん!おいでよ、僕らの部活に・・・」


リリは快く受け入れてくれる仲間に、思わず感激しているようだ・・・

やっと仲間ができたね、リリ・・・・


リリ「で、具体的にどんな活動をするの?」

あ・・・・そうだった・・・考えてみれば部活を作ったはいいものの、具体的な活動内容は決めていない
フワフワしすぎたグループだった・・・

と思うリリ以外のメンバー。


友愛「え~っとね・・・」

友愛が答えるのに、戸惑っていると保健室のドアが勢いよく開いて・・・



麗太の両親「未来の政治家になる我が子よ!体調は大丈夫か?!」

リリの両親「可愛いリリちゃん、ケガはない?」


問題の両家の親たちが入ってきた! ちなみにどちらの親もかなり過保護である!


麗太「いいから、大丈夫だって!それより早く保健室から出てってよ!」

リリ「もう、大丈夫だって!何回も言ってるでしょ!いいから過保護と思われたくないから、早く帰って!」


2人とも親をかなり鬱陶しがる・・・

なぜなら、この後がめちゃくちゃ大変だからだ・・・・両家の親は、お互いの存在に気づくと、黙って睨み合いの戦争を始めてしまう・・・・

まったく・・・親が親バカすぎるというのも、よくない・・・


麗太 リリ「はあ~」


ため息をつく2人・・・・当分、この壮大な親ケンカは、遠くから冷めた目で見てようと思う2人・・・

それを見ながら面白がる友愛は、つかの間の平和を楽しむのだった・・・


気づけば、傷が治った頃には一学期は禄に授業にも出れず、終わっていた・・・・

そして、サムライ校にも夏休みが始まるのだった・・・・








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