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サムライ校での学園生活
完全犯罪の方法
しおりを挟む京子「じゃあ、今度の土曜日、【天使天国ホテル】で肝試しね。」
結局、友愛は断り切れず、次の土曜日の休みに京子、岩一、麗太、安倍たちと【天使天国ホテル】への肝試しに連れていかれることになった。
友愛「全く僕を巻き込まないでくれよ。」
麗太「ごめん、ごめん。今度前に言ってたモンハトの攻略の仕方教えてあげるからさ。それで許して。 」
次の日の友愛は、教室で不機嫌そうに麗太に対して怒っていた。
にしても、この教室はどこか薄気味悪く、なんとなく居るだけで気持ちが悪い・・・
不気味な人体模型が教壇の前に飾られており、近くには特殊なナイフ、そして太いロープが置いてある・・・
一体、何に使うのだろうか?
棚には、犯罪関係に関する資料が多数置いてある。
ちなみに、この学校の授業の時に使う筆記用具は、なぜか半紙と筆ペンという習字形式なのだ。
教科書も、なぜか巻き物式のものがあったりする・・・
ここだけ、なぜ古い和式なのか説明してほしいものだ。
このサムライ校に、昔の日本の雰囲気でも出したい作者の都合なのだろうか?
リリ「おはよう友愛。昨日どこ行ってたの?私探してたのよ、一緒に部活見学行こうと思ってさ。」
リリが教室に入ってきて、友愛の隣の席に座る。
友愛「あ、そうだったの?いや~ごめんね、昨日は色々あってさ。」
確かに、本当に色々あった・・・
にしても相変わらずリリと麗太は、一切会話もしない。挨拶もしない。
家ぐるみでケンカしているとはいえ、ここまで仲が悪いのも、また珍しい・・・・
友愛「ねえ、いい加減仲直りしたら?」
友愛が麗太に静かに耳打ちする。
麗太「簡単にいうけどさ。そもそもあんな意地っ張りな奴と関わり合うのが難しいし、めんどくさいんだよ。こっちが歩み寄ろうとしても聞きやしないんだから。」
リリは麗太を見ないようそっぽを向いてる・・・ま、確かに意地っ張りは、意地っ張りだ。
友愛「う~ん、そうなのかもしれないけどさ・・・でも、リリも多分本当は・・・・」
友愛が何か言おうとした瞬間、教室の扉がバタンと音を立てて開いた。
最黒先生「犯罪とは、神が人間に与えた崇高な芸術である。」
最黒先生が、黒スーツ姿で教科書を持って入室してきた。
今日の最初の授業は、最黒先生の【犯罪実践術・犯罪心理学】の授業だった。
やはり、この人が来るだけで、教室の空気が一変する。
生徒はみんな、恐怖におののき黙ってしまう。
最黒先生の目は、他人を鋭く見通し、その眼力だけで相手を殺してしまうような強さを持っていた。
最黒先生「詐欺は音楽であり、盗みは彫刻であり・・・・殺人は絵画である。」
何言ってんだ?この人・・・・
最黒先生「物を盗む時の特殊な技術、詐欺をする時の巧みな人の騙し方、そして人を殺すときの快感や興奮・・・
これらの崇高な技術を極めた素晴らしき芸術を【完全犯罪】と呼ぶ。
私の授業では、君たちにこの【完全犯罪】の技術を伝授していく。
犯罪者の立場に立ち、実際に犯罪の特殊な芸術を学ばなくては、その犯罪に立ち向かう真の術(すべ)もわからないであろう。」
最黒先生は、生徒を一瞬でビビらせるようなことを言うと・・・
最黒先生「例えば・・・・」
先生はいきなり、教壇の前に飾ってあるリアルな人体模型の首の部分に特殊ナイフを思いきり突き刺した。
最黒先生「私の生きていた世界は、表の社会では生きてはいけぬ裏の世界の住人が集うコミュニティ【犯罪界】という所だが・・・その【犯罪界】では、ある日突然誰かが誰かに刺殺されるなんて日常茶飯事だ。」
休む間なく衝撃的な光景は続く・・・
次に先生は、太い縄を模型の首に素早く巻き付けたかと思うと、その模型が粉砕されるぐらいの力で思いきり引っ張った・・・
本当の人間だったら、首の骨が一瞬で折れていただろう・・・
生徒の中には、キャ!と悲鳴を上げて泣き出す子もいた。
最黒先生「まあ、このように【一瞬で人間をあの世に送る殺人術】は山ほどあるが・・・まあ、そのような殺人術は、私よりも稲西先生のほうが詳しいだろう・・・
私が教えるのは、主に【犯罪界】の先人たちが積み上げてきた【完全犯罪】の技術と、人を操る犯罪心理学についてだ。
ところで君たちに質問をする。この国で【史上最大の犯罪者】と言われた人物は誰か?答えられる者はいるか?」
リリ「はい!」
リリが勢いよく手をあげた。
最黒先生「では、小野田。答えなさい。」
リリ「先月、東京拘置所から脱獄した朝山宗全死刑囚です。本名は松友健夫。今から12年前、東京の地下鉄に生物兵器【ボツリヌス毒菌】を散布し、その場に居た約300人以上の罪もない方々を大量に殺害した【東京地下鉄ボツリヌス毒事件】の首謀者です。」
最黒先生「その通りだ。朝山死刑囚は、そのカリスマ性で【オーラ天夢教】という巨大なカルト教団を作り上げ、多くの信者の心を簡単に操りマインドコントロールしてしまう人心掌握術を身につけていた。
そして、そのマインドコントロールで洗脳した信者たちを使って大量殺戮という巨大な芸術作品を作り出した彼は、私が住んでいた【犯罪界】では、【史上最も偉大な犯罪者】【日本の安全神話を壊した表の英雄】と言われている・・・・」
リリ「表?ということは裏にも誰か英雄と呼ばれている人がいるのですか?」
最黒先生はキッとリリを鋭く睨みつける・・・・
その表情は、まさしく血に濡れた殺人鬼の目だった・・・
恐ろしくなったリリは腰が抜けたかのように、座り込んでしまった。
最黒先生「その名は聞かない方が身のためだ・・・小野田君・・・・」
一体、誰なんだろう?と生徒たちは気になったが、最黒先生が怖くなってこれ以上誰も聞かなかった・・・
先生は授業を続ける。
最黒先生「私が【犯罪界】で見てきた凶悪犯罪者の中には、朝山死刑囚のように特殊な能力を持った人物も多かった。
だから、まず君たちに1つ言っておく。
犯罪者をなめないほうがいい・・・・
犯罪者は、とても計画的で残忍だ。
頭もきれる。暴力も強い。凶悪であればあるほど、その【犯罪力】を増長させ、社会にダメージを与えていく【無敵な人】になっていくのだ・・・・」
気のせいだろうか?
友愛は、なんだかずっと最黒先生から見られているような気がした・・・
実際に、友愛のほうは見ていないのだが・・・
なんだか、まるで心を探られているように感じる・・・・
最黒先生「では、今日はまず君たちに【犯罪技術】の初級編を教えよう。
優秀な窃盗犯の鍵の開け方についてだ。
【犯罪界】では【万能鍵】という闇の商品が売られている。これは優秀な窃盗犯なら誰でも持っているもので、ネット上のダークウェブでも高額で、よく取引されている。ちなみに、軍の特殊部隊もミッションで敵の要塞へ侵入する時に、これを使って扉を開くこともある。
さあ、1人1つ渡すから、私の部屋のドアを開けてみよ。
私の部屋のドアの鍵穴は複雑な構造になっており、高度な防犯技術をもって作られているから、簡単には開かないがな。」
生徒たちは、与えられた万能鍵を一生懸命使って、最黒先生の部屋のドアを開けようとするが・・・
結局、誰1人として開けることはできなかった・・・と思いきや・・・・
【サイバー技術部】にいた、あの天才美少年【木村宅矢】だけは、すんなり開けることができた・・・
生徒の中には、感嘆の声を漏らすものもいた・・・
女子の間では「キャー」とか「かっこいい!」と叫ぶ子も・・・・
麗太「また、あの子、完璧にやってるね。」
友愛「うん、すごいや・・・」
厳格な最黒先生も、木村には「よくやった」と褒めている・・・・
キーンコーンカーンコーン・・・・・
終始、緊迫した状態で行われた最黒先生の授業も終わりを迎えた・・・
最黒先生「全くこれしきのこともできないとは、我が生徒たちながら情けない・・・・宿題だ。木村以外は来週の授業までに【万能鍵】の使い方をマスターしてこい。
そして来週からは、いよいよ【完全犯罪】の実践的練習に入る。4階の【犯罪練習場】で、犯罪のシミュレーション練習をするから各自、私が用意した【犯罪セット】を忘れずに持ってくるように。」
この学校の4階には【犯罪練習場】と呼ばれる、あらゆる犯罪の練習ができるモデル施設があるらしい・・・殺人から窃盗、詐欺に至るまで、どんな犯罪でも練習ができる犯罪者にとっては完璧な施設らしい。
【犯罪セット】とは、あらゆる犯罪に必要な道具が入ってる箱である。
ナイフとか、毒薬とか、絞殺用の縄とかだ・・・
ちなみに、この最黒先生の授業では、【犯罪検定1級】の取得が目標らしい。
【犯罪検定】とは、【犯罪界】が主催する【殺人検定】【窃盗検定】【詐欺検定】【テロ検定】など
あらゆる犯罪の検定を一挙に取得できる【総合型検定】だ。
この検定に見事合格すれば、はれて一流の【犯罪者】になれるらしい。
ちなみに、検定試験の場所は【犯罪界】の首都【犯罪町】だ。
麗太「おかしい!おかしい!頭おかしいよ、あの先生!!大量殺人鬼を偉大とか言ってさ!僕らを犯罪者にでもしたいのかな?」
授業後、麗太はブルブル震えていた。よほど最黒先生が怖かったのだろう・・・
友愛「うん・・・・」
友愛は、授業の内容も怖かったが、なんだか最黒先生にずっと見られている気がしたのが一番恐怖だった・・・
自意識過剰なのだろうか?
友愛は、このサムライ校に来てから、最黒先生以外の他の先生からも、なんだか特別な目で見られている気がした。
父さんが元玄勇会のメンバーだったから?
なんだか、それとも違うような気がした・・・・理由はないけど、とても妙な気分だった・・・
ところで、さっきから廊下がザワザワしている・・・
どうやら女子同士で、揉め事があったようだ。
女子のグループが、1人の女子生徒を取り囲んでるみたいだ・・・・
友愛「何があったんだろう?」
友愛と麗太が、野次馬たちをかき分けて、様子を近くで見てみる・・・
揉め事の実態が見えてきた・・・
リリが、女子のグループに絡まれているのだ。
どうやら、リリに絡んでいるのは、この学校の女子生徒の最大派閥【大奥】の連中だった・・・
【大奥】は、主に【貴】【武】【知】の3クラスの中で、特に優秀で美人な子がメンバーとして参加できる
会員制グループである(別に学校公認ではない)。
参加条件は、優秀で美人で、明るく派手でなくてはならないこと。
まあ、なんともカースト制度のお手本みたいなとてつもなく高慢なグループである。
他を虐げ、自分と同じレベルでない者は徹底的に排除し、時にはめちゃくちゃイジメる・・・・
親が上流階級で、金回りのいい【貴】
体育会系で陽キャなヤンキーたち【武】
頭が良く自分は誰よりも優れてると勘違いしがちな【知】
こんな性質の最悪女子たちが揃ったグループだ。
こんなんだから男でさえ、彼女らには近づこうとしない・・・・・なぜなら校内でもかなりの権力を持っているからだ。
触らぬ神に祟りなしと言ったところだろうか
しかし、そんな【大奥】とリリとの間に一体何があったのだろうか?
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