サムライになれる学校【国家防衛学校】SEASON1 第三次世界大戦の始まり

名探偵プリンス

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サムライ校での学園生活

【選ばれた存在】

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生徒手帳の表紙には【サムライ手帳】と書かれていた。

手帳には、無駄に広いこの校舎全体の地図が掲載されており、後はメモ用紙として白紙のページが沢山ある。

手帳の間には、主に護身用に使えるタクティカルペンが挟まっており、もちろん普通のペンとしても使える。




さて、それはいいとして、友愛のクラスはというと・・・


席に戻り、天道校長に手渡された生徒手帳を見てみる友愛・・・・


生徒手帳に記されていたクラス名は【個】だった・・・・




友愛「僕は、【個】だ・・・・」


友愛がクラスを告げると・・・リリや麗太が飛び上がって喜んでくれた。


リリ「やった!やったね、同じクラスよ!」

麗太「改めてこれからよろしくね、友愛」

冴鶴「せいぜい、俺の足を引っ張らないよう頑張れよ。」


超奇跡的に3人とも、同じクラスだった。


友愛も心から嬉しかった・・・・分け隔てなく接してくれる友達とずっと同じクラスだ。

この事実にホッと安堵する友愛・・・




【個】・・・それは互いの個性を認め合い、尊重し、多様性を重んじるクラス・・・・何ものにも染まらず
何ものも受け入れる真っ白な精神を大切にするクラス


僕にとっては、一番良いクラスかもしれない・・・と思う友愛だった。




天道校長「さあ、サムライになることができる【選ばれた存在】の新入生の皆さん。
それぞれのクラスが分かったところで、今回我が校の入学式をお祝いするためにわざわざ駆けつけてくださった政界や経済界など各界を代表する方からご挨拶があります。では、まず安浦新三内閣総理大臣、どうぞ、こちらへ・・・」


うお!!すげえ・・総理大臣まで来てるんだ。


安浦総理 「ご紹介に預かりました。内閣総理大臣の安浦新三です。今、日増しに国際情勢は厳しくなっております。中国の経済的な日本侵略や北朝鮮の弾道ミサイルによる威嚇など・・国際社会における日本の防衛戦略は重要なものと・・・」

長い、長い カット!! はい次!

という感じで、安浦総理の次に内閣官房長官、財務大臣、外務大臣、総務大臣、防衛大臣と次々に閣僚メンバーが挨拶をしていく。

ったく、早く新入生は目の前のテーブルのご馳走食べたいのに、1人1人お偉いさんの話が長いから、冷めちゃうよ・・・

これだから政治家の爺さんたちは、困る。


続いて財界の大物たちの挨拶だ。

ヨドハ電機、国際総業グループ、三橋ホールディングス、住本ホールディングスなど与党自政党に昔から
支援している大手企業や、YehooやAmagonn、ソフトダンクやdogomoなどの大手通信会社や有力IT企業も
この式に参列して挨拶に来ている。

つくづく玄勇会ってのは、本当に凄い組織だな・・・こんな大物政治家や大手企業を
一気に集められるのだから・・・・

やっとこさお偉方の長ーい長ーいお話が終わったかと思ったら次は教職員紹介だ・・・

はあ~ 長いな~  と新入生の中に飽き飽きムードが漂っている。


稲西先生は【戦闘術、殺人術】などの主に戦闘訓練の先生であり、最黒先生は【犯罪学】の先生。

それは、わかってるんだけど・・・

先生方もたくさん居すぎて、入学式だけで覚えるのは不可能なようだ。



印象に残っているのは、【個】のクラスの担任である【浅見星子】先生の挨拶だ。

非常に厳しそうな40代ぐらいの美人な叔母さんだ。

浅見空手と呼ばれる、目つき金的何でもありの殺人空手の達人らしく、担当教科は
英語、中国語、フランス語など主に語学の先生だ。

口癖は「校則破ったら殺人空手食らわすわよ。」だ。

ひええええ!恐ろし。


浅見先生「現代社会は、インターネットの誹謗中傷や、マスコミの偏向報道、政治家の汚職、国民病と呼ばれる鬱などで人々の心に多くの負がのしかかっております。

あなた方は、国防や治安だけではなく、あらゆる精神的な面でもこの国に住む全ての人々のお手本でなくてはなりません。」


サムライという称号を与えられるのだから、それに見合うぐらいの人になれということか・・・


最後に、校長先生の挨拶だ。

「浅見先生のような固い挨拶をするつもりはありません。

だが、どんな時代が来ようと、サムライはサムライです。

この学校に入った君らは、その時点でサムライなんです。

各々が目指すサムライになればいい。

本当のサムライの称号というのは人から与えられるものではありません。

ましてや資格取得でなれるわけでもない。

己のあるべきサムライの姿は自分自身で見つけてください。」




友愛「己のあるべきサムライの姿・・・・・」

友愛には、校長のその言葉がなんだか深く突き刺さった。



天道校長「さあ、お待ちかねの食事の時間です。存分にテーブルの前のご馳走をどうぞ!」


そんなこんなで、やっとご馳走にありつけた新入生たち・・・・

待っていました!と言わんばかりに和食・洋食・中華など様々な美味しそうな料理を手当たり次第に各々皿に盛り付けていく・・・・

リリ「ちょっと、そんなにがっついてみっともないでしょ。口にたくさんソースついてるわよ!」

麗太「うるさいな。いいだろ。ずっと腹減ってたのを我慢してたんだ!」



みんなが食事に夢中な真っ只中・・また校長が口を開いた。


天野校長「新入生の皆さん、食事をしながらリラックスして聞いてくださいね。これから10年間の学校生活で待っている楽しい行事や学校生活でのルール、寮での過ごし方などについて説明します。」


おお!と新入生の中で期待と興奮の声が湧き上がる。


天野校長「10年間の学校生活の中では様々な行事もあります。修学旅行はその中で3回あり、世界各地に行き、各国の軍事施設やCIA、MI6などの情報機関などに研修に行ったり・・・ああ、もちろんちゃんとした観光もするから安心してください。

あと3年生から年に一回、研修で各国の政府機関、大使館、警察組織に入り、実際の現場で一か月
仕事を体験します。


他にも体育祭の代わりに軍事演習と戦闘大会  遠足は登山訓練  学校祭はサムライ校文化祭

また海外へのホームステイ留学もあります。楽しいことが盛り沢山ですね(笑)」



友愛「う~ん、なんだか楽しいっていうよりかは、大変そうだね。」

麗太「ホントだよ。なんだよ、遠足は登山訓練って・・ほぼ修行じゃないか。」

リリ「すっごい楽しそう!」

友愛 麗太「は??」


どうも、リリとは歩調があわない友愛と麗太。





式の最後に、全校生徒は、めちゃくちゃ軍隊っぽい校歌を合唱し



全校生徒「我ら国家防衛員養成学校第1期生は、約2000年の偉大な歴史を持つ祖国日本の平和と安寧を守るために、武士道精神と大和魂を胸に誓い、この国を守護するサムライとなるための学問と修行に励み、世界平和に貢献することを誓います!」


と大声で宣言させられ、式を終えた。






やっと入学式が終わった・・・・

へとへとな新入生たちは、先生たちに連れられ、それぞれのクラスの寮へと案内される・・・・・



校舎全体を上から見ると、本丸の江戸城を正五角形で囲むように5つの塔が立っている。

その5つの塔こそが、5つのクラスの寮と教室がある場所だ。

5つの塔はそれぞれ違う様式の建築で造られている。



レンガ造りの西洋のお城のような派手な塔は【貴】

近未来を彷彿させる最新式の未来の塔は【知】

木造建築の和風な塔は【個】 

コンクリートで造られた灰色の味気ない塔は【思】    

全てが鋼鉄で造られた頑丈な鋼の塔は【武】



それぞれのクラスのイメージを表現した建築となっているのが5つの塔なのだ。



浅見先生「では、【個】の生徒になった皆さん、寮へ案内します。」


友愛たち【個】のクラスに入った生徒を、担任の浅見先生が寮へと連れていく。

やっぱり、廊下はだいぶ古い造りだ。


浅見先生「ほとんどの廊下には、防犯カメラがついています。もし夜中に悪さをしようものなら証拠が残りますから覚悟してください。」

先生は脅し口調で新入生にそう言った。

この鬼ババ、生徒を極悪人とでも思っているのか?


浅見先生「校舎の本丸である江戸城は地下8階から地上35階まであります。皆さんも知っての通り、この学校は外部からの侵入を防ぐために、様々な仕掛けが施された要塞になっております。戦国大名が自身の居城を守るために作った罠を忠実に再現し、そこに最新式の防衛システムを施したのが、この校舎・・・」

先生がそう言った瞬間、壁が突然、ゴゴゴゴゴゴゴと動き出し、床がグルグルと回転したかと思うと、
廊下が勝手に動き始めたのだ。

それと一緒に周りの背景も、レゴが組み立てられるように変わっていき、何が何だかわからなくなってきた。


新入生は、みんな慌てふためき、女の子の中には悲鳴を出す子もいた。


そして、しばらくすると、動きがピタリと止まり、目の前の仕掛け扉が回転したかと思うと、習字で【個】と書かれた木製の門が生徒たちの前に現れた。

浅見先生「今のは、戦国時代に実際にお城に施されていた仕掛け【背景騙し】という特殊な技術です。
部屋全体を動かしながら、周りの背景を変えていくことで、城の中に潜む敵を永久に迷わせる移動式の罠です。校舎には、とにかく移動出来る部屋や罠も多いので迷わないように気を付けてください。ちなみに個々の教室も移動しますから、授業を受ける時も大変ですよ。」


大変ですよ、じゃねーよ! なんでそんな疲れる造りにしたんだよ!とツッコミの入れたい友愛。


浅見先生「では、【個】の寮に入っていきましょう。あなたたちが10年間住むことになる部屋に案内します。」


ただでさえ、疲れているのに、またビックリさせられるような出来事にあわされ、顔がポカンとし始める
新入生たち・・・



寮の中は、綺麗な和風建築で落ち着いた良い匂いのする空間だった。

外の廊下とは打って変わって、別世界のようだ。


浅見先生「ここがシャワー室、ここがジムで、あそこがボルダリング施設・・・後、プールと大浴場は下の階にあります。

ここは勉強ができたり、本読んだり、お喋りするためのフリースペースです。

ソファーや机もあります。マッサージ機もついています。

ちゃんと掃除当番も決めるから綺麗に使ってくださいね。

女子寮はフリースペースの右側方向、男子寮は左側にあります。」



まるで高級ホテルみたいだ・・・・こんな豪華な施設始めてだ・・・・


息をのむ友愛・・・


それは麗太も冴鶴も同じらしく、あまりの豪華さにポカンとしている。



浅見先生「部屋割りは、それぞれもう決まっています。一部屋に4、5人単位で共同生活です。壁に部屋割り表を貼っときますから、それを見て自分の住む部屋を探してください。」


リリは右側の女子寮へ向かう。


リリ「じゃあ、また明日からの授業で会おうね。」


友愛たちに手を振るリリ・・・


友愛「うん、じゃあね。」

冴鶴「おう。」

麗太はリリにそっぽを向いたままだ。




友愛、麗太、冴鶴も男子寮へ向かう。


ホテルのような長ーい通路の左右に、綺麗に並んだ幾つもの部屋のドア・・・・

ここが、これから僕らが10年間お世話になる寮なんだ・・・・・




友愛「偶然と言っていいのか・・・」

麗太「まさか・・・・」

冴鶴「同じ部屋だとはね・・・」


壁にあった部屋割り表を見てみると、3人とも同じ部屋だった。

初日から何かと縁があるどころの話じゃない!





友愛と麗太は予想外の部屋の広さや綺麗さに満足した。

ふかふかのベッドもあるし・・・・


麗太「何より、修学旅行あるあるじゃないけど、ちゃんとそれぞれのベッドの近くにコンセントがあるの良いね。いつでもスマホの充電ができる!」

冴鶴「ああ、あれか。修学旅行の宿泊先でそれぞれの寝床の近くにコンセントがなくて、唯一あるコンセントの近くで充電の奪い合いになるみたいな?」

麗太「そう!そう!」

友愛「もう、完全に修学旅行気分じゃん(笑)」




「おい、てめえら!何楽しそうに騒いでんだ?」

3人でまったり会話しているところに、野太い声で誰かが部屋に入ってきた。


現れたのは、見事に肥満な巨体のガキ大将のような男の子だ。

制服のサイズがXLでも合わないようで、今にもはち切れそうな腹をしている。



友愛「そっか・・・一部屋に4人で住むんだったっけ・・・」

麗太「忘れてた・・・」


友愛と麗太は、その巨大な身体の男の子の迫力に呑まれて、縮こまってしまう・・・


太った男の子は、強がっているのか眉間にシワを寄せて周囲を見渡している。


そして、不良の冴鶴と目が合った!


お互い早速睨み合っているぞ・・・・

まずい!! 学校生活初日早々、ケンカか?


両者とも負けん気が強そうだし・・もし殴り合いにでも発展したら・・・・


友愛は、怖いけど勇気を出して、巨体の男の子に駆け寄り・・・


友愛「あ、あの始めまして・・・僕、小島友愛って言います。これからよろしくね・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


鉄森岩一「おめえ、良い奴そうだな!俺の名は鉄森岩一、よろしくな!」

巨大な男の子、鉄森岩一は友愛の歩み寄りが相当嬉しかったようで、先ほどまでの怖い顔が一気に明るくなった。


麗太「ぼ、僕は海江田麗太っていうんだ・・よろしく・・・」


冴鶴「まあ、せいぜいそのだらしない身体を早めに絞って部屋の面積を広くしてくれ・・・」



冴鶴が2段ベッドで寝そべりながら、岩一を煽るような発言をして、友愛の努力を台無しにしてしまった・・


鉄森「んだとコラ!!全少年相撲大会1位の実力を持つ鉄森岩一様をなめんなよ!!」

友愛「ちょっと2人とも!!もうケンカはやめてよ!」


せっかく、平和にいこうと友愛が頑張ったのに・・


しばらく落ち着いた学校生活は送れそうにない。


でも、こんなに笑ったり、楽しかったりしたのは久しぶり・・・

友愛はそう思って、今の幸せをかみしめるのだった・・・・





次回、いよいよサムライ校の授業が始まる!!










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