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 理生りおが俺の手を強く引き寄せて再び部屋に入る。
 すぐにまたベッドに縫い留められた。

「僕を信じて? かおる。もう計良けいら先輩には会わない。やっと好きだって言ってくれた、僕のものになってくれた馨に嫌われたくないから。オモチャのことは、本当に無神経で……馨を傷つけてごめんなさい」

「計良くんに理生の事故のこと……密に連絡を取ってるって牽制をかけたって言われた。何で計良くんは事故のこと知ってたの?」

 そう問うと理生が大きく溜め息を吐いた。
 うんざりしたような表情を見せたかと思えば、今度は怒気を孕ませたような表情をして、俺をまっすぐ見下ろした。

「朝、登校中に事故に遭って、お昼に目が覚めたら……計良先輩から『今日はダメ?』ってメッセージがたくさん入ってて……。普段なら無視するんですけど、馨に告白を断られて自暴自棄になってて……僕、怒りに任せて計良先輩に電話したんです。事故に遭って入院してるし、もうしつこく強請ねだるのはやめてくださいって。なんでそれを馨への牽制とか言っちゃうかな……」

 理生がまた大きく溜め息を吐いて、俺の瞳を覗き込んでから続けた。

「僕はもう馨を初めて抱いた日から、計良先輩とは一切プライベートで会ったりしていないし、本当に手を切ったんです。生徒会の連絡があるから着信拒否とかは出来なかったけど……そもそもそんな関係を築いてた僕が悪いんだけど……。でも、僕は馨が好きなんです。計良先輩にバレちゃうくらい、馨のことを見てた。それだけは信じて、馨。こんなことになるなら、もっと早く勇気出して馨に好きだって言えばよかった。お願い……僕を嫌わないで?」

 俺だって、俺だってこんなにも好きだよ。
 本当なら嫌いになって、この嫉妬心から解放されたいよ。

 でも──。

「嫌えないから……困ってる」

 涙で滲んだ瞳を絡ませると、理生が地獄で仏に会ったように心底安堵する表情を見せるから。それが嬉しくて理生の頬に手を伸ばした。

「抱かせて? 馨」

 いつも了承なんて取らないくせに。
 こんな時だけ縋るような瞳でそんなことを言う理生は本当にずるいと思う。そんなの、頷くしかないじゃないか。

 小さく頷くと唇にそっと指で触れられ、首筋に唇を寄せて来る。
 先程の戯れで、つっかけていただけのブレザーの上着と、中途半端に留められたシャツのボタンが再び開けられていく。

 理生が俺の胸中に口付けを落とし吸い付いて、数多あまたに朱い花を咲かせていき、そのこそばゆさに何度も何度も背が仰け反った。

 唐突に胸の飾りを舌で突くように舐められると、まだ先刻の性戯の余韻を残していた身体がすぐに反応を始め、小さな吐息をこぼしてビクンと震えて。

「ぁっ、や」

「まだ触ってもいないのに、もうこんなに硬くなってる。馨の乳首」

 また、いつものクスクスとした笑い方で言われたその言葉が恥ずかしくて、俺は思わず両腕で顔を隠した。

「言わないで……理生」

「腕どけて? 馨の顔が見たいんです」

 そのまま唇で胸をなぶられ、もう片方の飾りは指で思いきり爪を立てて摘ままれる。少しだけ痛みを伴うその刺激が気持ちよくて。

 下腹部のそれが再び頭をもたげるのがわかって、陰茎が痺れるように震えて。まだ乾いていなかったスラックスの染みが更にひろがっていく。

「理生……も、下……脱がせて……」

「馨、どうして急に積極的なんです?」

 その言葉に俺は瞬く間に頬が紅潮して。
 理生への独占欲が、心の中で溢れてもおかしくないくらいつのっているんだなんて言えなくて、ただただ頬を朱に染めて視線を逸らせた。

 クスクス笑われながら俺のベルトを外して、淫猥に湿ったスラックスと下着を脱がされて。その手で扱かれる……そう思った瞬間、理生が俺の昂りを口に咥えこんだ。

「ちょっ、理生っ、ぁっ……っ、やめ……」

 理生の熱い舌が陰茎に絡みつき、口を窄んで吸いつかれ、右手で根元を扱いてくる。裏筋をねっとり舐められると腰が絶えず痙攣を繰り返す。

「ひもひい? はおる」

「気持ちい? 馨」と言われたことはわかったけれど、俺はもういっぱいいっぱいで。必死に理生の口内に精を吐き出してしまわぬよう堪える。

 だけど──。
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