俺様執着男が忠犬になれと命じてくるがアンタに飼われる気などない

ちろる

文字の大きさ
上 下
65 / 69

65

しおりを挟む

***


 セックスをした後、相手が愛おしくてたまらなくなるタイプと、相手がどうでもよくなるタイプに別れるらしい。

 漏れなく後者の京馬きょうまはベッドのヘッドボードに背を預け、煙草をくわえて紫煙をくゆらせている。

 俺はもう精魂尽き果ててドロドロのシーツの上でくたばっていると、京馬が煙草を灰皿に揉み消して「シャワー浴びてくる」と立ち上がった。

「どーぞー」

 とりあえずギシギシと軋む腰をさすりながら起き上がると、俺は汚れたシーツを引っぺがして再びベッドにダイブする。

 すると、寝室から出ていったはずの京馬がひょっこり顔を覗かせて、「お前も一緒に入るか?」などと声を掛けてきやがる。

(どういう風の吹き回しだ?)

「嫌な予感しかしねぇ」

「まぁ、もう一回くらい追加で抱いてやろうと思ったんだけど」

「死ね! 一人で行け! クソジジイ!」

「残念」

 クツクツと笑った京馬が部屋から出ていくのを見送ると、俺はベッドの上に大の字に寝そべった。

(ところでこれ……恋人になったってことなのか?)

 モヤモヤと考えている間に猛烈な睡魔に襲われて、今度こそ俺は眠りの淵にいざなわれていった。


***


 ぱちり、目が覚めると、汗と体液まみれで眠っていたはずの身体がやけにさっぱりしていて、上半身こそ裸だが、ちゃんと下着とスウェットを身に纏っている。

(マジか。アイツ、頭がイカれたか)

「おはよう、はるか

「は、はよ……な、なぁ、アンタ……頭は大丈夫か?」

「は?」

「こんな甲斐甲斐しく世話を焼くなんて、どういう風の吹き回しだ? 怖ぇーよ……」

 思わず後ずさると、京馬がクツクツと笑って、「には優しい男だぞ? 俺は」と片目を閉じてうそぶいた。

「……俺たちって恋人なのか?」

「俺はお前が好きだ。お前も俺が好きなんだろ? 恋人以外のなんだっていうんだ?」

「なんかアンタの口から言われるとすべてが嘘くせぇんだよ……」

 言ったら、京馬が気味が悪いくれぇニッコリと微笑んだ。

「朝のセックスでもするか?」

「死ね!」

 どうやら俺に最高の上玉で、最低の暴君な恋人が出来たらしい。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

5人の幼馴染と俺

まいど
BL
目を覚ますと軟禁されていた。5人のヤンデレに囲われる平凡の話。一番病んでいるのは誰なのか。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

処理中です...