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俺は人気のない道を選びながら、何とか破れた服のまま家に帰ることに成功して安堵する。
しかし悠長にしている暇はないと考え、着替えをし、衣類をボストンバッグに纏めると、再び京馬の店に戻った。
丁度来客中で、京馬はにこやかに笑んでいて、狂気のようなものを感じる。
(でも、そういえば俺はこの男のことが好きなんだ)
そう思えば、思い切って忠犬になってしまえば、ずっとそばにいて、ずっと抱いて貰えるってことだ。
(それって案外悪くねぇのかも?)
一度忠犬を認めると、ずるずると思考が明るい方向に流れていくのは、持って生まれたポジティブさだろうか。
「遥くん、お客様にお茶をお出ししてくれる?」
「はい。京……店長」
笑えてる。
俺、こんな状況なのに笑えてる。
そうか、京馬とずっと一緒にいられるのか……俺、すげぇ幸せじゃん?
たとえ恋人じゃなくたってそばにいられる。
(どうして今まで忠犬を拒んでいたんだ?)
そんな俺の思考回路も、もはや正常じゃないのかもしんねぇが、もうどうでもよかった。
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