俺様執着男が忠犬になれと命じてくるがアンタに飼われる気などない

２２

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　京馬きょうまに会いたくない一心で『グレシア』に行かない日々が続いて、ハッキリ言って今の俺はまさに盛りのついた犬のように性欲を持て余している。

　バイトから帰ってきてバックパックを床に放り投げると、ベッドに寝転ぶが身体が熱く疼くのを止められない。

　奴の魅力的な楔くさびを打ち込んで欲しくて、思い出しただけで、どうしようもない快楽の残像みてぇなモンに疼いてしまうのだ。

（二度と会わねぇって言ったけど、正直あの身体を手放すのは惜しい）

　でも、もう会わねぇって決めたんだから、絶対ぜってぇに会ってたまるか。

　二度と『犬』呼ばわりされんのもごめんだ。

（あー、でもヤりてぇ）


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「宇賀神うがじんー」

　ある日のバイト中、店長に声を掛けられて、相も変わらず仏頂面で返事をすると「笑顔、笑顔」と窘たしなめられるから俺は無理矢理口角を上げる。

「最近お前土日のシフト断ってるから知らないと思うけど昨日の日曜日、大地だいちさんがお前を訪ねて来てたぞ？」

（大地さん……？）

「大地さんって誰すか？」

「ああ、ほらパソコンの。大地だいち京馬きょうまさん。パソコンはまだ修理終わってないらしいんだが、終わったらお前に取りに来て欲しいって」

（マジかよ、あのオヤジ……バイト先にまで来てやがったのか……油断ならねぇ。奴の店が休みな土日のシフト断っといてよかった）

　もう会わねぇっつうの。

（そんなに身代わりの俺が大事かよ。ふざっけんなよ。俺はアンタの都合のいい慰めモンじゃねぇ）

　俺は確かに遥はるかだけど、アンタの求めてる〝遥〟にはなりようがねぇんだから執着されても困る。

（そこまでして身代わりが欲しいか？　残念ながら俺はお断りだ）

　遥さんの影を俺に求めたいくらいには寂しい奴なのかもしれねぇが、そんなの俺の知ったことか。

　俺の気持ちも少しは考えらんねぇのかよ。