その執着、愛ですか?~追い詰めたのは俺かお前か~

ちろる

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「イキたい? 伊吹いぶきが僕と別れないって誓うなら触ってあげるよ?」

 俺の瞳から知らず知らず涙が伝った。
 少しでも信じた、いや、信じようとした俺が愚かだった。真白ましろの柔和な声なんて、やっぱり演技以外の何物でもないんだ。

「話をしようって言ってくれたのは嘘だったのか……?」

「話なら今、こうしてしているよね? 僕は伊吹を手放すつもりはない。それが僕の話だよ?」

 何と言葉を紡げばいいのかもわからなかった。
 真白は、もうダメだ。俺のことなんか少しも好きじゃない。愛してなんかいない。

 ちゃんと愛してくれているなら、こんなこと出来るわけがない。

「別れる……真白。クビにしたかったらクビにしてくれていい。俺はもう真白に付き合いきれない」

 すると真白が俺の下腹部で疼いている昂りを数回扱いた。
 精を吐き出そうと震えるそれが、苦しくて。でも何より、こんな真白になってしまったことが苦しくて。全部、全部、苦しくて。

「別れないって言わないなら、ずっとこのままだけどいいの?」

 酷い辱めに唇の生色せいしょくを無くすくらい噛み締めた。
 真白は、どうしてこんなに酷いことばかりする?

 触って欲しい、触って欲しいけれど、でも──。

「もう俺を解放して……真白……お願い……」

「それはどういう意味の解放? イキたい? 別れたい?」

 そんなの、両方に決まってる。
 こんなに酷いことばかりされて、別れることも許されなくて。

 それじゃあ俺はどうすればいい? どこに逃げたらいい? 俺の居場所なんかどこにもないじゃないか。いつまで真白に絡め取られればいい?

 何も答えずにいると真白が黙って寝室から出て行った。
 屹立して先走りをトロトロとこぼし続けるそれを、絶望的な目で見つめた。いささかも愛のないこんな行為で身体が反応している自分に嫌気が差した。

 誰か、助けて……お願い。
 もう、誰でもいいから、真白を止めて。

 俺を自由にして──。
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