14 / 53
14
しおりを挟む
「イキたい? 伊吹が僕と別れないって誓うなら触ってあげるよ?」
俺の瞳から知らず知らず涙が伝った。
少しでも信じた、いや、信じようとした俺が愚かだった。真白の柔和な声なんて、やっぱり演技以外の何物でもないんだ。
「話をしようって言ってくれたのは嘘だったのか……?」
「話なら今、こうしてしているよね? 僕は伊吹を手放すつもりはない。それが僕の話だよ?」
何と言葉を紡げばいいのかもわからなかった。
真白は、もうダメだ。俺のことなんか少しも好きじゃない。愛してなんかいない。
ちゃんと愛してくれているなら、こんなこと出来るわけがない。
「別れる……真白。クビにしたかったらクビにしてくれていい。俺はもう真白に付き合いきれない」
すると真白が俺の下腹部で疼いている昂りを数回扱いた。
精を吐き出そうと震えるそれが、苦しくて。でも何より、こんな真白になってしまったことが苦しくて。全部、全部、苦しくて。
「別れないって言わないなら、ずっとこのままだけどいいの?」
酷い辱めに唇の生色を無くすくらい噛み締めた。
真白は、どうしてこんなに酷いことばかりする?
触って欲しい、触って欲しいけれど、でも──。
「もう俺を解放して……真白……お願い……」
「それはどういう意味の解放? イキたい? 別れたい?」
そんなの、両方に決まってる。
こんなに酷いことばかりされて、別れることも許されなくて。
それじゃあ俺はどうすればいい? どこに逃げたらいい? 俺の居場所なんかどこにもないじゃないか。いつまで真白に絡め取られればいい?
何も答えずにいると真白が黙って寝室から出て行った。
屹立して先走りをトロトロとこぼし続けるそれを、絶望的な目で見つめた。些かも愛のないこんな行為で身体が反応している自分に嫌気が差した。
誰か、助けて……お願い。
もう、誰でもいいから、真白を止めて。
俺を自由にして──。
俺の瞳から知らず知らず涙が伝った。
少しでも信じた、いや、信じようとした俺が愚かだった。真白の柔和な声なんて、やっぱり演技以外の何物でもないんだ。
「話をしようって言ってくれたのは嘘だったのか……?」
「話なら今、こうしてしているよね? 僕は伊吹を手放すつもりはない。それが僕の話だよ?」
何と言葉を紡げばいいのかもわからなかった。
真白は、もうダメだ。俺のことなんか少しも好きじゃない。愛してなんかいない。
ちゃんと愛してくれているなら、こんなこと出来るわけがない。
「別れる……真白。クビにしたかったらクビにしてくれていい。俺はもう真白に付き合いきれない」
すると真白が俺の下腹部で疼いている昂りを数回扱いた。
精を吐き出そうと震えるそれが、苦しくて。でも何より、こんな真白になってしまったことが苦しくて。全部、全部、苦しくて。
「別れないって言わないなら、ずっとこのままだけどいいの?」
酷い辱めに唇の生色を無くすくらい噛み締めた。
真白は、どうしてこんなに酷いことばかりする?
触って欲しい、触って欲しいけれど、でも──。
「もう俺を解放して……真白……お願い……」
「それはどういう意味の解放? イキたい? 別れたい?」
そんなの、両方に決まってる。
こんなに酷いことばかりされて、別れることも許されなくて。
それじゃあ俺はどうすればいい? どこに逃げたらいい? 俺の居場所なんかどこにもないじゃないか。いつまで真白に絡め取られればいい?
何も答えずにいると真白が黙って寝室から出て行った。
屹立して先走りをトロトロとこぼし続けるそれを、絶望的な目で見つめた。些かも愛のないこんな行為で身体が反応している自分に嫌気が差した。
誰か、助けて……お願い。
もう、誰でもいいから、真白を止めて。
俺を自由にして──。
17
お気に入りに追加
90
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

守護霊は吸血鬼❤
凪子
BL
ごく普通の男子高校生・楠木聖(くすのき・ひじり)は、紅い月の夜に不思議な声に導かれ、祠(ほこら)の封印を解いてしまう。
目の前に現れた青年は、驚く聖にこう告げた。「自分は吸血鬼だ」――と。
冷酷な美貌の吸血鬼はヴァンと名乗り、二百年前の「血の契約」に基づき、いかなるときも好きなだけ聖の血を吸うことができると宣言した。
憑りつかれたままでは、殺されてしまう……!何とかして、この恐ろしい吸血鬼を祓ってしまわないと。
クラスメイトの笹倉由宇(ささくら・ゆう)、除霊師の月代遥(つきしろ・はるか)の協力を得て、聖はヴァンを追い払おうとするが……?
ツンデレ男子高校生と、ドS吸血鬼の物語。
鈴木さんちの家政夫
ユキヤナギ
BL
「もし家事全般を請け負ってくれるなら、家賃はいらないよ」そう言われて住み込み家政夫になった智樹は、雇い主の彩葉に心惹かれていく。だが彼には、一途に想い続けている相手がいた。彩葉の恋を見守るうちに、智樹は心に芽生えた大切な気持ちに気付いていく。

好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる