その執着、愛ですか?~追い詰めたのは俺かお前か~

ちろる

文字の大きさ
10 / 53

10

しおりを挟む
「俺、真白ましろさんの気持ちがなんとなくわかるよ」

 かなめ先輩が作ってくれた夕飯をご馳走になりながら、真白のことを二人に相談していると、唐突に孝太郎こうたろうさんがそう言った。

 スーツの上着のポケットの中で、さっきからスマートフォンが絶えず振動しているが、俺は全て無視していた。

「真白の……気持ちですか?」

「俺も、要に近付く男や女は許せないし、なんならミルクにだって嫉妬してる。要の愛情は俺だけに注いでほしい。俺から離れていかないか心配で心配で仕方がないんだ。さっき、伊吹いぶきくんと初めて会った時も、軽く嫉妬した。俺の知らないところで要と仲良くしてるのかな、と思うと」

 孝太郎さんの言葉で、要先輩が頬を染めて俯くのを見て、また尊いものを見てしまったような気分になる。

 要先輩は、そんな孝太郎さんの執着心を聞いても、嫌な顔を見せるどころか、嬉しそうにしていて。

 俺と要先輩の違いはなんだろう──と、考える。

「こんなことを訊いたら失礼だとは思いますが……孝太郎さんは要先輩への執着心で酷く抱いたりしますか?」

 あまりにも明け透けな質問に、孝太郎さんが驚いたように沈黙した。
 訊かなきゃ良かった……と、後悔しても時すでに遅し。

「……それはないかな。俺は要を傷つけたくないから。でも、行動に移していないだけで、そういう感情が芽生えたりもする」

 そこだ、と思った──。

 孝太郎さんと真白の決定的な違いはそこだ。
 真白は、俺を傷つけていることに気付きもせずに平気で行動に移す。

 そこで、ポケットの中でブブッと、電話ではないメッセージアプリの振動がした。恐る恐るポケットから出してアプリを開いてみると案の定、真白だった。

『どこに居るの? 誰と居るの? 僕を裏切ったらどうなるかわかってるよね? あまり僕を怒らせないで? これ以上、伊吹を痛めつけたくないんだ。伊吹もこれ以上、苦しみたくないよね?』

 俺の瞳からポロリと涙の粒が落ちて、要先輩と孝太郎さんが目を丸くしていた。それを合図に、堰を切ったように涙が溢れた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話

降魔 鬼灯
BL
 ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。  両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。  しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。  コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。  

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

《完結》僕が天使になるまで

MITARASI_
BL
命が尽きると知った遥は、恋人・翔太には秘密を抱えたまま「別れ」を選ぶ。 それは翔太の未来を守るため――。 料理のレシピ、小さなメモ、親友に託した願い。 遥が残した“天使の贈り物”の数々は、翔太の心を深く揺さぶり、やがて彼を未来へと導いていく。 涙と希望が交差する、切なくも温かい愛の物語。

【bl】砕かれた誇り

perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。 「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」 「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」 「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」 彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。 「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」 「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」 --- いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。 私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、 一部に翻訳ソフトを使用しています。 もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、 本当にありがたく思います。

花いちもんめ

月夜野レオン
BL
樹は小さい頃から涼が好きだった。でも涼は、花いちもんめでは真っ先に指名される人気者で、自分は最後まで指名されない不人気者。 ある事件から対人恐怖症になってしまい、遠くから涼をそっと見つめるだけの日々。 大学生になりバイトを始めたカフェで夏樹はアルファの男にしつこく付きまとわれる。 涼がアメリカに婚約者と渡ると聞き、絶望しているところに男が大学にまで押しかけてくる。 「孕めないオメガでいいですか?」に続く、オメガバース第二弾です。

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

処理中です...