その執着、愛ですか?~追い詰めたのは俺かお前か~

ちろる

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 真白ましろとはかれこれ一年三ヶ月の付き合いになる。
 俺──風間伊吹かざまいぶき──は真白より十歳年下の二十五歳。

 優男で柔和で人当たりがよく、新卒で入社した俺の指導係に配置されてから、いつしか真白のことを好きになっていた。

 でも、俺はゲイじゃないし、こんな気持ちは恋愛のそれじゃないとずっとモヤモヤした想いを押し込めて真白を見つめていた。

 そんな時、真白にゲイだと告げられて、図らずも俺は真白に告白されて。

 恋愛のそれじゃないと戸惑ったけれど、やっぱり真白が好きだと気付いて関係を持った。まさかふわふわの真白が、タチだったことには驚いたけれど、それでも俺は真白が好きだったから受け入れた。

 けれど──。

 付き合ってみると真白の本性がどんどんあらわれてきた。
 異常なまでに嫉妬深くて仄暗い裏の顔があり、尚且つ、ここ白鳳はくほう出版の社長の息子ときている。

 何かあればすぐにクビをちらつかせ、のべつ幕なし、俺が女性社員と接触する度に先のような事態になる。

 正直、俺の一方的な倦怠期だ。
 真白は執拗なまでに俺に執着してくるけれど、それに疲れている。

 そして、真白にはああ言ったけれど、実は南波ななみちゃんのことが気になっていたりもする。

 俺がデスクでハァと溜め息を吐いていると「伊吹くん」と隣のデスクから声がかかった。

「あ、かなめ先輩……」

「どうしたの? 溜め息なんか吐いて」

 真鍋 要まなべかなめ先輩は俺より三つ年上の二十八歳。真白に似たふわふわの全体的に色素が薄くて、童顔な優しい先輩だ。同じふわふわ系でも要先輩は裏表もない本当に良い人で。

 更に要先輩は社内でゲイを公表していて、俺は度々、要先輩に真白とのことを相談していたりする。

「また真白のことなんです……」

「ひょっとして昨日、南波ちゃんを送ったこと……やっぱまずかった?」

 どんぴしゃりな返事が返って来て俺は再び溜め息を吐いた。
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