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【番外編】Side:一華 由貴

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「っ……、いい加減にしろっ!」

 眼前の愛おしい恋人は今、熱くたぎった欲望の印を僕の指で根元をキツく握りしめられていて、すぐにでも達したいのだと鋭い目顔めがおで催促してくるのが非常に可愛らしいのですが――。

「はいはい。僕の言うとおりに復唱したらかせてあげますからね?」

「復唱って……何だよっ!」

 切羽詰まっている顔もそそられるものがあって、はやてくんは少々マゾ気質があるのでこのまま僕の熱を強引にじ込ませてあげたらきっとよろこぶのでしょうが。

「そうですね……、『あん、由貴ゆき、気持ちいい、もっと』……はい、言ってみて? 初歩的な練習からです」

「……」

「どうしたんですか? 颯くん。黙りこくっちゃって。早く言わないとずっとこのままですよ?」

「死ね」

 そんな悪態も可愛らしくて仕方がないのですが、僕も少々頑固者ですので、一度提示した課題を撤回してあげることは出来ません。

「じゃあ、ずっとこのままで良いんですね?」

「……っ」

 唇を噛み締めた颯くんの下腹が引きつっているように痙攣していて、指を放せばすぐに白濁を撒き散らすだろうことがわかりますが、僕はそれを許すつもりはなかったりします。

(少しばかり素直な颯くんが見たいですからね)

「ほら、颯くん……早く言って? 上手に言えたらキミが欲しいモノ……すぐにくわえさせてあげますよ?」

 溢れて止まらない蜜が孔まで伝って濡らしている様に僕は僅かに舌なめずりをして、早く颯くんの中に挿入はいりたい気持ちをグッと抑えてみたりして。

 やがて耐え切れなくなったのでしょう、目尻に朱をいた颯くんの唇がゆっくりうごめき出しました。

「うっせぇ! 練習したって言うつもりはねぇからさっさと解放しろ。テメェを突っ込め」

「『お願い挿入いれて? 由貴、愛してる』……はい、復唱して?」

 忌々し気に唇を噛み締める颯くんを(なんて可愛らしいんでしょう)と見つめていたら再び唇が何かを喋ろうと開き始めたようです。

「三十秒以内に突っ込まなかったらテメェを殺して俺も死ぬ。いーち、にーい、さーん……」

 言いながら、僕の首を緩く絞めてカウントを始め出すので。

「そうですね……。あの世でセックスの続きも捨てがたいですが……今は生きている颯くんが可愛すぎるのでご褒美をあげましょうね?」

 なんて、お望みどおりに熱いくさびを打ち込んで差し上げたら、首を絞めていた手が背中に回り喉ぼとけがひくりと動いて。

「愛してるっ……由貴」

 どうやら僕の恋人はやれば出来る子のようです。
 これはまだまだ死ねないですね。

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