テメェを離すのは死ぬ時だってわかってるよな?~美貌の恋人は捕まらない~

ちろる

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 狭い入口がとろとろにほころび出す頃にはもう息も絶え絶えで、口からは甘い吐息と噛み締めた声が絶えず漏れ続ける。

由貴ゆき……も、来いっ……っ、ぁ」

 その言葉でズルッと指が引き抜かれていく摩擦と喪失感に、早く由貴が欲しいのだと四肢を絡みつかせると、「そんなに引っ付いたら挿入いれられません」と、先程散々可愛がられてち上がっている胸先を唇で吸われて。

「じゃあ、早くこれを挿入いれれろ」

 由貴の隆々りゅうりゅうとした屹立を指で握り締めて数回こすってやれば、表情は見えなかったが耳朶じだにキスを仕掛けてきた唇が笑みの形を刻んでいることはわかった。

「後ろからは後程のちほどベッドでしてあげますので前から挿入いれさせてください」

 言いながら、まるでオムツを替えられるように腰を浮かされて羞恥に目尻を滲ませて由貴から顔を逸らす。

 それを由貴が顎を掴んで無理矢理正面を向かせて「ちゃんと挿入いれるところを見ててくださいね?」と、丸見えになってひくひくと蠕動ぜんどうしている入口に、ゆっくり由貴の欲望が埋め込まれていく。

「はっ……、由貴っ」

 根元まで埋め込まれたと思った熱が、今度はギリギリまで引き抜かれて、再び最奥に押し詰められるその様をまじまじと見せつけられて呼吸が乱れる。

「ね。――声を聴かせて?」

「うっせ……っ、だからっ……俺は騒がねぇ……つってんだろ」

 反抗の言葉を口に出したと同時、孔でぐちぐちと泡立っている白濁が溢れる接合部を指で辿られると腰が跳ねて「あぁっ……」と噛み締めていた唇がほどける。

「ん、なとこ触んなっ……」

「じゃあ、どうして欲しいですか?」

 キッと睨みつけると由貴はやっぱりどこまでも涼し気な顔で俺を見下ろしてくるから何だか腹が立つ。

「テメェはちゃんとっ……イイのかっ……?」

「気持ちいいですよ? はやてくんの中は……僕のことを喰い千切ろうとしてきます」

 持ち上げられている太腿の裏にちゅっとリップ音を立ててキスを落としながら問いの返事を待つように動き出さないから。

「も、いつも言ってんだろ……っ、……突いて、えぐって……濡らせって……」

「お望みどおりに」

 言葉と同時、ゆっくり腰をグラインドしながら抽挿を開始されると体内なかが快楽を一身に受けようと柔軟に形を変えて、肉襞にくひだが由貴を一滴まで搾り取ろうと収縮した。
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