テメェを離すのは死ぬ時だってわかってるよな?~美貌の恋人は捕まらない~

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「っ……く、由貴ゆきっ」

 セックスなんてする気分じゃないと言いつつも、一度火がともされた身体は浅ましい程に由貴を欲して、(コイツはソファでヤるのが好きなのか?)と思わず気を逸らす。

 接合部から淫猥な水音がつぷつぷと聴こえてきて、女相手なら気にしたこともなかったのに、己の秘めたる内から聴こえているのだと思うと、いつまで経っても慣れなくて羞恥を覚える。

 けれど、激しく身体を揺すぶられると、そんな思考も簡単に甘い頭の痺れにぼうっと覆われて、由貴の動きに合わせるように腰を振ってしまうから、自分も大概だと自嘲せざるを得ない。

はやてくん、何に不満があるかって訊きましたよね?」

 俺はこんなに吐息で窒息しそうなくらい喘ぎ声を噛み殺しているのにコイツは余裕な声音で問い掛けてくるから、思わず睨みつける。

「はっ、何だよ? ……っ、言えよ?」

「たくさんあるんですが、まず一つ。声を聴かせてください」

 言いながら噛み締めている唇を無理矢理こじ開けられて、思わず「ふっ……ぁあっ」なんて情けない声がこぼれてしまって矜持きょうじが傷つけられる。

「うるっ、せ……誰がっ……女みたいに騒ぐかよっ……っ、はっ、ざけんなっ」

「僕が抱いている男は良い声でいてくれますよ?」

 快楽に見舞われる中、その言葉にイライラして、他の男と比べられたことに腹が立って、意図して肉を穿うがつモノを締め付けてやると由貴が「……っ」と少しだけ眉宇びうを寄せるのでざまぁみろと思う。

「そん、なっ……男のこと、っ、なんてっ……知るかよっ……」

 再び唇を噛み締めると由貴が呆れたように溜め息を吐きながら「本当にどうしようもない子ですね」と言いながら腰のピッチを速めてくるからぞくぞくするような急速に上がる快楽が出口を求めて、思わず頂点を刻みそうになる。

「ほら、もうってください」

 余裕な態度が気に食わなくて「うっ……せ、お前がっ……先に達けよ?」と挑発してみると、「わかりました。颯くんの中にたくさん注いであげますね?」と言いながら、最奥を激しくえぐこすってくるので促した俺の方が脚のつま先が震えてくる。

「もっ……早くっ、出せっ……」

 背中に思い切り爪を立ててやると、「お望みどおりに」と言った瞬間、熱の渦に呑み込まれるような刺激と同時に中にほとばしりを感じて、俺も唇を噛み締めて臍下へそしたをびくびくさせながら引き締まった腹に断続的ににごりを散らしてしまう。

「いつになったら颯くんは素直になってくれますか? あかりちゃんを堕としたら、何を望んでくれますか?」

(素直になれねぇのは俺の性格なんだよ……。今更変えられっかよ……)

「っ……はっ……俺は……」

 望みなんて、お前だけだよ。

 って、何で言えないんだよ。
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