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 ――由貴ゆきは俺と別れたがっている?

 だったら別にそんな勝負なんかしなくても俺に「別れたい」と言えばいいのに何でそんな遠回しなことをする?

 そもそも俺は殺して自分も死にたいくらい由貴を愛してるのに、小鳥遊たかなしを落とすつもりなんて更々ない。

 むしろ、俺が小鳥遊とどうこうなっても由貴には何のダメージもないってことを突きつけられたようなものだ。

「由貴は――」

 『もう俺なんか要らないのか?』……と、言葉を紡ごうとしたけれど声が出なくて。

 由貴が言葉の続きを待たずに話し始めた。

「言いましたよね? 僕ははやてくんを愛しているのと同じくらいキミが憎いんだって。変わって欲しいんです。颯くんに。でも、このままじゃあキミは一向に変わってくれそうにないから――別れも視野に入れてるってことです」

 ――俺が変わる?

 変わるのは由貴の方だろ。
 俺は何も変わっちゃいないし、二年前から今日までずっと由貴だけを見て、俺だけの由貴になって欲しくて……。

 ただ、ひたすらにコイツを愛していただけだ。

「由貴の……言っていることがわからねぇ……。変わったのはお前だろ」

「確かに僕は変わったかもしれません。でも、僕を変えたのは颯くんだってことがわかりませんか?」

 俺が由貴を変えた?

 やっぱり、俺は何か由貴の気に障るようなことをしてしまっていて、それでコイツは変わってしまったのか?

「俺は何もしてねぇ」

「そう、何もしてないから駄目なんです」

 由貴の言っていることがサッパリわからなくて、俺は黙って腕を振り払ってベッドから降りてリビングに向かった。

 ソファに座って煙草をくわえる。

(そういえば、今日はキスしてねぇな……)

 もう由貴はキスもしたくないほど俺が嫌いなのかもしれないってことはわかったけれど――。
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