テメェを離すのは死ぬ時だってわかってるよな?~美貌の恋人は捕まらない~

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「も……しつけぇって……っ」

 秘孔を片指で広げられ、舌と指を同時に挿入いれられて、執拗なまでに舐めほぐされ、何なら舌と指だけでってしまいそうなほどに屹立が震えて。

 しかし、「達ったらお仕置ですよ?」などと言うので下腹に力を込めて達するのを我慢しているせいか内股が引きつって痛い。

(だが、しゃくだから我慢しているが、むしろお仕置してくれと思っちまう俺はやっぱり変態か?)

 由貴ゆきがこんな風に焦らすような抱き方をするのは機嫌が悪い時だってわかってるから、もしかしたら小鳥遊たかなしのことで少しは怒っているのか?と思うと僅かに気分がいい。

 なのに――。

 指は抜かないけれど、水音を立てて十分に熟れた空洞から舌を引き抜いた由貴が紡いだ言葉に俺はやるせなさを覚えることになる。

はやてくん。あかりちゃんが欲しいなら僕は譲ってもいいですよ?」

 その言葉に、指でさすられている体内なかへの刺激すらも何も感じられなくなってしまうほど呆然と由貴の端正な顔を見つめてしまう。

「なぁ、由貴……俺とテメェの関係って何だ?」

 少しばかり勇気を出してそう問うてみると、俺に覆い被さる美貌の恋人はつつうごめかせている指で栗大の線を引っ掻いてくるので、思い出したような快楽に「……っ」と腰が跳ねる。

「恋人、でしょう? 僕は颯くんのことを愛していますよ?」

 言いながら、かれこれ三十分近く埋め込まれている指が引き抜かれて、俺の脚の間に身体を割りこませてきた由貴が代わりに硬い熱をすぼみに押し当てた。

 先端をゆるゆると蕩けてほころんだ這入口はいりぐちこすりつけ、俺の反応をたのしむみたいに挿入してこないから、れて目顔めがおで催促する。

 蠱惑的こわくてきな笑みを浮かべた由貴がやっと腰を進めて、体内を巣食っていくどうしようもない快感に、とりあえず俺がいつもすることは喘ぎ声を噛み殺すことだ。

 元々男なんて興味がなかった俺が、男に組み敷かれて女みたいにキャンキャンくなんてプライドが許さない。

 けれど、どうしても「はっ……く、由貴っ」なんて甘い吐息と縋るように由貴の名前を呼んでしまうのだけは堪えきれなくて。

 名前を呼んでやると少し気を良くしたのか、由貴は俺の額に口接くちづけたのだけれど……まだくびれた部分だけを挿入して浅い所を何度も擦ってひだをめくるようにして焦らしてくる。

 やっぱりまだ機嫌がよろしくないようだ。

「由貴っ……も、全部来いっ」

「颯くんは本当にわからない人ですね」

(いや、お前にだけは言われたくねぇんだが……)

 小鳥遊のことを譲るとか、俺も浮気しても構わないって発言なわけで、恋人と言いつつ互いに浮気相手がいるような関係に導くって何だよ?

「俺の何がわからないってんだよ?」

「そんな返事をしているようじゃあ、颯くんには永遠にわからないかもしれませんね」

 言いながら、突然グッと引き裂くように最奥まで貫かれて、待ち焦がれた不意打ちの刺衝ししょうに喘ぎ声を噛み殺す余裕すらなくて「あぁっ……っ」なんて声が漏れて慌てて唇を噛み締める。

(ホントもう何を考えてんだよコイツ……いい加減俺だって泣くぞ)
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