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 三十分も経たないうちにインターフォンが鳴って。

 合鍵で玄関が開いてリビングに暖人はるとが入ってきた瞬間、視線がまつわって、すぐに傍に駆け寄ってきて抱きしめられる。

「まだ、触っていいって言ってないけど?」

 肩に顎を乗せながら呟くと、ケタケタと暖人が笑い出して、顎が乗っている肩が小刻みに振動して気持ちがいい。

「触んなきゃ、さらえねぇけど?」

 僕も暖人の背に腕を回す。

「じゃあ、許す」

 すぐに腕を引かれて寝室に連れ込まれて、奔流ほんりゅうにベッドに縫い留められて僕の唇を暖人のそれで塞がれた。

 柔らかに舌が絡まって、とろけ合って、頭の芯がクラクラするような、どこまでも深く深く咥内こうないを這い回る舌を夢中で追いかけて、一番深く暖人の口腔を探れる場所を探す。

 暖人がスウェットの裾から手を忍ばせてきて、胸の飾りをキュッと摘まみ上げながら性感帯の首筋に歯を立てられ、堪えきれない吐息がこぼれる。

「なぁ、葵晴あおは。俺はどこにお前を攫えばいい? 何で攫って欲しいんだ? 俺でいいの?」

 暖人の背にぎゅっと抱き着いて首筋に吸い付いて、あかい花を咲かせてみる。

「僕、暖人が好きなんだ。でも裏切られて、もう人を信じるのが怖くなってた。でも暖人が好きなんだ。どうしたらいいと思う?」

「そんなん、黙って俺を信じろとしか言えねぇ。もう言葉では葵晴に何を言っても不安にさせるだけだから……」
 
 言いながら、僕のスウェットを首までまくり上げた。

 乳暈にゅううんをぐるりと舐め回されて、「んっ……」と声を漏らして身をよじると、ツンと尖った粒が瞬く間に硬くしこりになっていくのがわかって、片側を指で優しくねたりひねられたりすると、もう絶え間なく甘く掠れた声が溢れ落ちて。

 張りつめた下肢かしの中心が苦しくなってきて、胸をいじる暖人の片手を引き寄せて、親指を咥えこんで吸い付いてみる。

 何年も付き合ってバレていることだけれど、ベッドの中では奔放ほんぽう享楽的きょうらくてきな僕のあおるようなその行動に、暖人が親指で口腔内をまさぐった。

 舌を、上顎を、歯列をなぞる指が気持ちよくて、もっともっと口の中をもてあそんで欲しかったけれど、もっともっと熱く正直な触って欲しい部分があって、暖人の太腿にそれを押し付ける。

「暖人……もっと……」

 熱に浮かされたような、色を滲ませた声音で名前を呼ぶと、暖人が僕のスウェットのズボンを下着ごと脱がせた。

 先走りがしたたる昂った自身に指が絡まって、優しく這わされる慰撫いぶに腰がビクビク跳ねて、次々溢れる半透明の液が陰嚢いんのうに伝って、疼くように暖人を求めて。

 暖人が、焦らすように湿った指で薄い茂みをそっといて、僅かに根元に触れるその指先がじれったくて、早くくすぶった熱を解放して欲しくて。

 精を吐き出そうと震えるそれに、再び指が絡まる。

「葵晴。今からさ、俺、お前を抱く予定だけど、それは許されっか?」

 生理的な涙が滲む両の瞳を絡ませて、コクリと頷いた。

 ──その為に呼んだことくらい、わかってよ。
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