その火遊び危険につき～ガチで惚れたら火傷した模様～

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「えっ!?　真夜まや!?」

　閉店後、店の近くのショットバーで亜美あみさんとパロマというグレープフルーツの爽やかな低アルコールテキーラで乾杯するなり持ち掛けた話に、亜美さんは目を白黒させた。

「ええ……。店ではゆっくり話せないし、亜美さんのことだからまたお祝いって言って高い酒入れさせては悪いのでアフターに付き合ってもらいました。すみません」

「いやー、全然良いんだけどさぁ。まさか宇大うたちゃんが男に行くとは……。あれだけ『ネロック』の女泣かせと言われてきた宇大ちゃんがよりにもよって、真夜にゾッコンだったとは……」

「女泣かせって……。同伴やアフターしてたのはもう何年も前の話ですよ。最近なんて亜美さんがこの間言ったとおりの女日照りでしたから」

　思わず苦笑しながらパロマを一口含んで喉を潤わせると、俺は真摯しんしに亜美さんを見つめた。

「全部、亜美さんのお陰なんです。理解者になってやれって言ってくれたことも、後悔だけはするなって言ってくれたことも。それで俺、性別の壁さえも越えちゃったんですから」

「まーさか真夜とはねぇ……。ま、二十歳の美青年捕まえてたんじゃあフェロモンも垂れ流しになるってわけか。今もムンムンだけど自覚してる？」

　可笑しそうに笑う亜美さんに、（帰ったらマムシドリンクとマカドリンクを飲まねばな……）と真剣に考えつつ苦笑して見せた。

「でも、行方不明になってたらしいけど、見つかって恋人に戻れて本当に良かったじゃん！　あーん！　店ならクリスタルより高い酒入れてるのにー！　水臭いぞ！　宇大ちゃん！」

「俺はもうすぐ引退する予定なので……引退イベントでよろしくお願いします」

　パチッと片目を瞑ってみせたら亜美さんが「だからフェロモン垂れ流しー！　宇大ちゃんが引退したら真夜に貢ぐかなぁ」なんて言い出すから。

「真夜は俺だけのものなので、俺の新店舗に来てくださいよ」

　口を尖らせたら亜美さんは大爆笑して俺の背中をバシバシ叩き続けてくるので、（本当に亜美さんには敵わないな……）と思いつつも、幸せな報告が出来たことに安堵した。