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 中川なかがわさんが出て行った後で立ちすくんでしまった俺に時也ときやさんが両肩を掴んで揺さぶってきた。

宇大うた、しっかりしろ。九条くじょうさんも真夜まやも大丈夫だ。今日は俺らで乗り切るしかねぇ。意気消沈してる場合じゃねぇだろ?」

「九条さんが刺されたのは俺のせいだし……。真夜と会えたとしても俺はアイツになんて謝ったらいいんでしょうか……。何もかも俺のせいです……」

「宇大のせいじゃねぇよ。九条さんが刺されたのは事故だし……真夜だってお前に会いたいはずだ。今日何とか乗り切ってさ、明日真夜とゆっくり話せ。そうだ。俺から真夜にメッセージ送っておく」

 それだけ言って時也さんはスマートフォンを取り出して何やら文章を打ち込み始めたので、俺はどこか遠い目でそれを見つめた。

「何て送ったんですか?」

「んー、秘密。明日真夜に会ったら訊いてみればいい。お前らに激励のメッセージを送っといたから。ほら、行くぞ。ナンバースリー! 真夜がいない間にナンバーツー獲りに行くくらいの気合い見せねぇでどうする。ホスト失格だぞ」

 時也さんがバシンと俺の背中を叩くので、何なら座り込んでしまいそうなほどこの状況に呆然としてしまっていた俺は、少しばかり頭が冷静になった。

「……はい。すみません、時也さん。九条さんはきっと無事だし……真夜は謝らせてくれますよね……。信じます。頑張りましょう。今日一日。時也さんも抜く勢いでやりきります」

「それでこそ、宇大だ。大丈夫、お前ならやれる。全部上手くいく。俺を信じろ」

 俺は自分の両頬をパチンと叩いて気合を入れた。

 真夜――。

 夜が明けたら会いに行くから……。
 もう一度話そう。
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