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 しかし、なかなか真夜まやの下腹に手を伸ばす勇気が出なくて、痛そうなくらいに赤らんでいる胸を責め続けていれば、れたように太腿に膨れた熱を押し当ててきた。

宇大うたくん……苦しい……」

 耳元で微弱に囁かれたその声に、グッと唇を引き結んで我ながら意気地がないことに少しだけ動揺しているその手を真夜の昂った下腹に這わせてやる。

 ゆったりとした黒のジャガーパンツの中で苦しそうに張りつめている熱はやっぱり男の印であり、直に見てしまったら俺は欲望せいよくを持続出来るだろうかと、ゆるゆると布地の上から撫でさするだけに留まっているとしびれを切らした真夜が起き上がった。

 身体を反転させて俺の上に馬乗りになった真夜は、躊躇ためらうことなく下着ごとパンツを脱ぎ捨てて下肢かしを露わにした。

 腹に張り付きそうなほど反り返って血管が浮いて動悸を打っているそれは、既に先端の小さな空洞から透明な雫を溢れさせていて、ふるふると震えながら俺の眼前に現れて。

 覗き込んだ瞳は長い睫毛が白い肌に陰影をつけながら目尻に朱をいて潤んでいて、その無垢な容貌とは真逆の欲に正直な指が俺のブラックジーンズのファスナーを下ろし、萎えるどころか隆々りゅうりゅうと兆している雄を握りこんできた。

 同性の熱を帯びた性器が眼前に晒されているというのに驚くほど嫌悪感を抱かず、いっそ真夜の快楽に飢えてとろけた表情と相まって性感を煽られている自分に気が付く。

「真夜……綺麗だ……」

 思わずこぼれた感嘆の呟きに真夜は惹きつけられそうな黒い瞳をすがめて「慣らすから……ちょっと待ってね?」と色が滲んだ声を出した。

 言うが早いが真夜は再びバッグの中から今度はボディクリームを取り出し、指先にたっぷり纏わせてみせた。

 クリームを纏わせた指を己の最奥に挿し込んでいく様は酷く煽情的で、それでいて淫らで俺の身体までぶるりと僅かに震えた。

「んっ……ぅ、あ」

 自発的に濡れる器官ではないことは知っているし、男同士がどこを使うかくらいも知ってはいたが、自らの指をくわえ甘えるようなうめき声をあげながら腰を揺らめかせる真夜は信じられないほどに官能的で。

「も、大丈夫……挿入いれるね?」

 余裕のない表情をした真夜は俺の屹立に指を添え、自ら馬乗りのまま腰を落としていくから『本当に挿入はいるのか?』と困惑してしまったけれど、一番太い部分を含ませればあとは容易たやすかった。
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