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「お邪魔しまーす!」
部屋に上がり込んだ真夜は、やっぱり俺より先陣を切ってリビングを直進し、何ならもう勝手知ったるとばかりにキッチンの冷蔵庫から缶ビールを二本持ってきた。
「お前……厚かましいやつだな」
「そう? 同棲した時のために勝手知ったる我が家にしたいんだけど?」
「誰が同棲などするか。大体お前、他所の男に会いに行くのに忙しくて一箇所になど留まれんだろ」
少しばかり視線を逸らしてそう問うてみると、真夜は面白そうにブラウンのアーモンド形をした瞳を細めた。
「宇大くんが俺を捕まえててくれたら留まれるけど? もちろん身体で――ね?」
その言葉には返事をせずソファに座って缶ビールのプルタブを開けて一口煽ると、真夜も隣に座って俺に倣って見せた。
「昨日は九条さんと一緒だったんだな」
真夜の顔を見ずぽつりとこぼすように、けれど自分でもどこか冷たい声音になってしまっていることに気付いてイライラする。
「あ、見ちゃった? 宇大くんが相手にしてくれないから拗ねて九条さんのとこに行ってたんだよね。一昨日何もしてくれなくて欲求不満だったからさ」
「まぁ、真夜の依存のことは知っているから何も出来ん俺にはとやかく言うつもりはないが、たまたま見たってだけだ。別に責めるつもりで言ったわけではない」
(俺の虚勢も大概だな……)
隣に座る真夜がことりと俺の肩に頭を載せてきて、しばらくそのままじっと動かなくなってしまったので「……真夜?」と声を掛けるとグスッと鼻を啜る音が聴こえた。
「俺の居場所はどこかなぁ……」
ポツンと呟かれたその言葉は俺の心臓にじわじわじわじわと少しずつ何かが染み入るように侵食していって――。
部屋に上がり込んだ真夜は、やっぱり俺より先陣を切ってリビングを直進し、何ならもう勝手知ったるとばかりにキッチンの冷蔵庫から缶ビールを二本持ってきた。
「お前……厚かましいやつだな」
「そう? 同棲した時のために勝手知ったる我が家にしたいんだけど?」
「誰が同棲などするか。大体お前、他所の男に会いに行くのに忙しくて一箇所になど留まれんだろ」
少しばかり視線を逸らしてそう問うてみると、真夜は面白そうにブラウンのアーモンド形をした瞳を細めた。
「宇大くんが俺を捕まえててくれたら留まれるけど? もちろん身体で――ね?」
その言葉には返事をせずソファに座って缶ビールのプルタブを開けて一口煽ると、真夜も隣に座って俺に倣って見せた。
「昨日は九条さんと一緒だったんだな」
真夜の顔を見ずぽつりとこぼすように、けれど自分でもどこか冷たい声音になってしまっていることに気付いてイライラする。
「あ、見ちゃった? 宇大くんが相手にしてくれないから拗ねて九条さんのとこに行ってたんだよね。一昨日何もしてくれなくて欲求不満だったからさ」
「まぁ、真夜の依存のことは知っているから何も出来ん俺にはとやかく言うつもりはないが、たまたま見たってだけだ。別に責めるつもりで言ったわけではない」
(俺の虚勢も大概だな……)
隣に座る真夜がことりと俺の肩に頭を載せてきて、しばらくそのままじっと動かなくなってしまったので「……真夜?」と声を掛けるとグスッと鼻を啜る音が聴こえた。
「俺の居場所はどこかなぁ……」
ポツンと呟かれたその言葉は俺の心臓にじわじわじわじわと少しずつ何かが染み入るように侵食していって――。
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