82 / 85
82
しおりを挟む「今は、幸せなこと、ばっかです。本当に時也さんが俺を幸せにしてくれました。もう、疫病神は消え去ったのかな……? 俺も、このままずっと幸せになれますか?」
「時間かかったけどさ、この一年俺たち幸せばっかだ。もう二度と聖ちゃんが疫病神になることはない。それが、わかってくれたんなら嬉しい。俺の第二の人生が好転してるのも、全部聖ちゃんのお陰。――なぁ、わかってる?」
その言葉に、もう自分すらも忘れかけていた〝疫病神〟が、とっくに消え去っていたのだと気付かされて。
「時也さんのお陰です。本当にありがとうございます」
ギュッと首元に顔を埋めたら、時也さんは耳孔に舌を差し込んでから、「でもな――」と意味深に言葉を切った。
「残念なんだけど……今は俺が聖ちゃんの疫病神になっちまってるみてぇなんだ……」
「え? 俺は不幸になっていませんよ?」
時也さんのグレーの瞳をじっと覗き込んだら、彼はやけに真摯に見つめてくるから(俺に不幸ってなんだろう?)と、これから何か起こるのかとそわそわしてしまう。
「ああ……凄く辛いと思うけど聞いてくれるか……?」
(俺が辛いことって……)
「実は……さ。今日もこれから聖ちゃんはあと五、六回は俺に抱き潰されるっていう不幸が待ってるんだ……毎日すまん!」
言って、時也さんは再び俺を組み敷くから――。
「ちょっと! またですか!? シャワー浴びたじゃないですか! 時也さんの疫病神! 獣!」
22
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
『 ゆりかご 』 ◉諸事情で2/20頃非公開予定ですが読んでくださる方が増えましたので先延ばしになるかもしれませんが宜しくお願い致します。
設樂理沙
ライト文芸
皆さま、ご訪問いただきありがとうございます。
最初2/10に非公開の予告文を書いていたのですが読んで
くださる方が増えましたので2/20頃に変更しました。
古い作品ですが、有難いことです。😇
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
" 揺り篭 " 不倫の後で 2016.02.26 連載開始
の加筆修正有版になります。
2022.7.30 再掲載
・・・・・・・・・・・
夫の不倫で、信頼もプライドも根こそぎ奪われてしまった・・
その後で私に残されたものは・・。
・・・・・・・・・・
💛イラストはAI生成画像自作
あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる