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「でもさー、時也ときやさんの本命になるって大変じゃない?」

 リビングでL字型のローソファに腰掛けて(昨日はこのソファで時也さんに抱かれたんだった……)なんて思わず赤面していると、真夜まやくんが眉根を寄せて窺ってきた。

「大変?」

 同い年でタメ口でいいと言われたので、時也さんのかわい子ちゃんらしいから失礼のないように返事をすると、真夜くんはどこか複雑そうな顔をした。

「だってさ、時也さんはバリバリのナンバーワンだからアフターとかあるよね? 俺はアフターしないから何とも思わなかったけど、付き合ってるのに仕事とはいえ、他所よそで女を抱いてるなんて嫌じゃない?」

「まぁ、いい気はしないけど時也さんの立場はわかってるし……承知した上でそばにいたいって言ったのは俺だから」

(本当はどす黒い嫉妬心を抱えてるなんて言えるわけがないな)

「真夜。それなら大丈夫だ。ひじりちゃんにはムカついたら殺してくれって言ってあるから。俺が突然消えたら聖ちゃんに殺されたと思ってくれ。障害があった方が燃え上がるんだよ」

 真夜くんがまったくもって意味がわからないという顔をしているので、思わず苦笑してしまった。

 確かに覇王を相手にするには俺は少しばかり嫉妬心が強くて恋愛に向いていない上に(疫病神だし……)、時也さんにとってはセックス一つするのにも面倒などうせいだ。

 でも、互いに惹かれあって、承知の上で関係を結んだ。

「俺が聖くんだったら絶対ヤダなぁ。付き合ってる相手が毎日のように他の女と寝てるなんて。――っていうか、二人は付き合ってるの? 時也さんからは俺のかわい子ちゃんで本命とは聞いたけど、〝恋人〟なの?」

 真夜くんの言葉に俺は少しだけ戸惑った。

 確かに、そばにいてもいいと言われたし〝運命共同体〟とは言われたけれど、『付き合おう』だとか『恋人になろう』とはハッキリ言われなかった。

「真夜。俺と聖ちゃんは運命共同体なんだ。恋人とか、そんな関係じゃねぇんだよ」

 その言葉に俺は呆然としてしまった。 
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