上 下
22 / 85

22

しおりを挟む
***


「この子が覇王のかわい子ちゃん?」

 朝四時丁度、抱かれるつもりで訪れた時也ときやさんの部屋で、見ず知らずの人間に出迎えられて驚いてしまった。

「は、初めまして……どうも」

ひじりちゃん、いらっしゃい。無理に呼び出して悪かったな。真夜まやがどうしても俺の本命に会いたいって言うから呼び出しちまった」

 真夜さん……とは確か亜美あみさんが話していた、男同士で付き合っていると言っていた『ネロック』のナンバーツーの人だったような……。

 ふわふわしたハニーベージュの髪にブラウンの瞳をした彼は同い年くらいだろうか、秀でた容姿の美青年だった。

「あっ! 同い年だから敬語いらないよ! 俺は『ネロック』の近い内にナンバーワン候補の黒崎くろさき 真夜まや。よろしく! 時也さんが本命捕まえたって喜んでたから会ってみたくて」

 人好きのする可愛い笑みで(多分、俺の直感だけどネコだな)と思わせる好奇心に満ちた瞳が顔の真ん中を射抜いてくる。

「そーいうわけだ。真夜が俺の初代かわい子ちゃんってわけ。あ、もちろん手は出してねぇぞ? コイツにはアホみたいにゲロ甘な旦那がいるから。年下のかわい子ちゃんに弱いって言うだけだ。本命はもちろん聖ちゃんだから。つーか誰が近い内にナンバーワン候補だ、俺様を抜こうなんて十年早い」

 なんて、真夜さんを小突こづきながら言われた言葉に、思わずかぁっと頬を赤らめてしまったけれど、時也さんの元カレとか言われたらどうしようと思っていた俺は少しだけ胸を撫で下ろした。 

(まぁ、時也さんは男には一切興味がなかったはずだもんな……俺以外には)

 そんなことを考えたら、自分が覇王の特別な存在なんだと改めて自覚させられて、たちまち嬉しくなってしまった。

「聖くん、どうやって時也さんを堕としたの? 時也さんは真性の女ったらしなのに、男に走ったって聞いてびっくりしちゃった」

(どうやって堕としたっていうか神のお導きだからなぁ……)

「ファーストインプレッションよ。もう一目見た瞬間からズドーン衝撃食らって、虜にされちまったんだ。事情は話せねぇけど俺と聖ちゃんは運命共同体なんだ。俺が死ぬ時は聖ちゃんも死ぬ。そんくらい深ーい相手だってこと」

「えー! その事情を教えてくださいよー!」

 駄々をこねる真夜さんをサラリとかわす時也さんだけど、俺に向けられる瞳は優しくて、心が温かい。

美聖みさとのことも吹っ飛びそうだ)



-----------
いつもありがとうございます。
明日より更新にさせて頂きます。

ちろる
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

処理中です...