覇王はトラウマごと疫病神を愛しすべてを覆す

ちろる

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 首までまくり上げられたニットが顎をふわふわとくすぐるのを感じながら、胸を愛撫する時也ときやさんの指も感じ入る。

 女性のような膨らみもない胸を、時也さんは女性のそれと同じように、ともすればそれ以上に優しく丹念に扱うから、身体の奥底が疼き息が荒くなる。

 吸い上げたかと思えば綺麗な犬歯で引っ張り、濡れた唇でまれた粒を舌先でねぶられ、片側は爪を立てた指でちりちりと刺激を与えられれば、呼び水となって下肢の熱に直結する。

 けれど、男など抱いたこともない時也さんに、欲望が膨れ上がる様を見られたくなくて、太腿をこすり合わせて隠そうとするけれど、快楽に従順な下腹は布地を窮屈に押し出そうと昂る。

 胸をいじめていた唇が剥がれて、「ひじりちゃん、触っていい?」と太腿の付け根に手のひらが這うから「で、でも、時也さん……こんなの見たら、絶対萎えます」と手の甲に己の手のひらを重ねて制してみようとしたけれど。

 時也さんは邪魔なのだとばかりに俺の手を払って、張り詰めている下衣の前をくつろげて、情欲の雫で下着に染みを作っているだろう中心を、まるで濡れているのだと自覚させるみたいに、下着の上から圧迫してくるから。

「まっ……て、そんな……したらっ……」

 身をよじって見ないで欲しいと訴えてみるけれど、時也さんはやんわりと昂っている熱を撫でた。

「聖ちゃんの全部見たい。俺で気持ちよくなってくれてんだって思ったら、男のこんな部分もすげぇ可愛く思えるんだな」    

 言って、下衣を下着ごと暴かれたら、まるで愛撫を期待しているかのように震えた快楽の象徴が、勢いよく腹につくように弾き出されて、羞恥にまなじりが滲む。

 触れて欲しい、高められたい、それ以上の背徳感。

 けれど、時也さんは俺は無実だと無言で伝えるように、躊躇ためらいなくじくじくと熱がこもる下肢の中心を形のいい唇の粘膜に包み込むから。

 まさかいきなり同性の欲望を口にくわえ込むだなんて思わなかった俺は、意表を突かれて盛大に腰を跳ねさせながら、「と、きやさんっ……そんな、駄目っ、ですっ……」と解放を試みたけれど。

 時也さんの熱い舌が軸を這い始めると、抵抗の言葉は呆気なく甘い嬌声きょうせいへ崩れていき快楽を引きずり出されていった。
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