4 / 85
4
しおりを挟む
「――で、時也さんが美聖の婚約者ってどういうことなんですか?」
「俺が美聖さんの婚約者!?」
時也さんが目を丸くするので、俺はやっぱり美聖の思い込みだったかと思わず盛大な溜め息が出る。
「えー! 何よ時也その反応! 私たち婚約したじゃない!」
「あー、前回来た時、美聖さんかなり酔ってたもんなぁ。俺みたいな奴と結婚したら苦労するよー? 何せこの美貌……他の女が放っとかないかもしんねぇよ?」
ほら、やっぱり美聖の思い込みだ。
こんなに綺麗で口が上手くて包容力もありそうな人、どこか一箇所に留まれるような人じゃないだろう。
「やっぱ美聖の思い込みか。そんなことじゃないかと思ってたよ。時也さん、こんな奴の相手しなくていいですから。時間の無駄です。時也さんって、何だか凄いオーラですね」
「俺? うーん、まぁな。麗しの容姿に女性には全て平等に……使ってくれる金の多い少ないに問わずフェミニストな根っからの女ったらしだしな」
豪快に笑う時也さんに美聖は面白くなさそうに唇を尖らせるから、思わず『馬鹿め……』と内心で毒づく。
「俺、時也さんみたいなタイプの人に初めて出会いました。なんだか新鮮です」
「聖ちゃんも今度一人で来いよ? うちは男の飲み客も歓迎してんだ」
なんて、屈託なく笑う時也さんの瞳はどこまでも慈愛に満ちていて、本当にいい人なんだなぁとますます興味が湧いてしまう。
(……一人で、か)
間違っても恋心は抱いてはいけないけれど、過去にした苦いそれに似たように胸が高鳴って、時也さんのことをもっと知りたい、もっと近付きたいという衝動を抑え切れない。
「美聖、明日は撮影だよな?」
「そうだけど? 聖、明日は一人でここに来ようとか思ってないでしょうね?」
「残念だけど、そうしてみようかな。俺も時也さんに興味湧いた」
そんな姉弟のやりとりを時也さんは笑いをこらえるように見つめていたけれど、やがて我慢できないと言った様子で口を割り込ませてきた。
「おーおー、まさか姉弟で俺の奪い合いされるとは思わなかったぜ。まぁ、どっちの美人でも俺は大歓迎だからな?」
その言葉に二人揃って頬に朱が浮かんだのは、やはり姉弟……惹かれるタイプが似ているということなのだろう。
「俺が美聖さんの婚約者!?」
時也さんが目を丸くするので、俺はやっぱり美聖の思い込みだったかと思わず盛大な溜め息が出る。
「えー! 何よ時也その反応! 私たち婚約したじゃない!」
「あー、前回来た時、美聖さんかなり酔ってたもんなぁ。俺みたいな奴と結婚したら苦労するよー? 何せこの美貌……他の女が放っとかないかもしんねぇよ?」
ほら、やっぱり美聖の思い込みだ。
こんなに綺麗で口が上手くて包容力もありそうな人、どこか一箇所に留まれるような人じゃないだろう。
「やっぱ美聖の思い込みか。そんなことじゃないかと思ってたよ。時也さん、こんな奴の相手しなくていいですから。時間の無駄です。時也さんって、何だか凄いオーラですね」
「俺? うーん、まぁな。麗しの容姿に女性には全て平等に……使ってくれる金の多い少ないに問わずフェミニストな根っからの女ったらしだしな」
豪快に笑う時也さんに美聖は面白くなさそうに唇を尖らせるから、思わず『馬鹿め……』と内心で毒づく。
「俺、時也さんみたいなタイプの人に初めて出会いました。なんだか新鮮です」
「聖ちゃんも今度一人で来いよ? うちは男の飲み客も歓迎してんだ」
なんて、屈託なく笑う時也さんの瞳はどこまでも慈愛に満ちていて、本当にいい人なんだなぁとますます興味が湧いてしまう。
(……一人で、か)
間違っても恋心は抱いてはいけないけれど、過去にした苦いそれに似たように胸が高鳴って、時也さんのことをもっと知りたい、もっと近付きたいという衝動を抑え切れない。
「美聖、明日は撮影だよな?」
「そうだけど? 聖、明日は一人でここに来ようとか思ってないでしょうね?」
「残念だけど、そうしてみようかな。俺も時也さんに興味湧いた」
そんな姉弟のやりとりを時也さんは笑いをこらえるように見つめていたけれど、やがて我慢できないと言った様子で口を割り込ませてきた。
「おーおー、まさか姉弟で俺の奪い合いされるとは思わなかったぜ。まぁ、どっちの美人でも俺は大歓迎だからな?」
その言葉に二人揃って頬に朱が浮かんだのは、やはり姉弟……惹かれるタイプが似ているということなのだろう。
21
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる