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翌朝──。
俺はすっかり熱も下がり元気になったのだけれど……。
「ごめんなさい……時雨さん……」
時雨さんが完全に俺の風邪を貰って寝込んでしまったのだ。
待っている患者さんがたくさんいるのに。
看病をさせたばかりか、抱いて欲しいだなんて我儘まで言ったばかりに感染してしまった。
俺はお粥を作って時雨さんのベッドに来ていた。
「気にしないの。それよりごめんね? 看病させる真似させて」
俺はブンブンッと顔を横に振る。
だって時雨さんが風邪ひいたのは俺のせいなんだから。
「時雨さん、口開けて?」
時雨さんが素直に従うので俺はフーフーしたお粥を時雨さんの口に放り込む。咀嚼している唇にそっと口付けた。
「春、また風邪ひいちゃうよ?」
時雨さんがフッと笑う。
「俺が時雨さんの風邪もらいます」
「そんなことしてたら延々お互い風邪ひかなきゃいけないでしょう?」
俺はクスクスッと笑って、お粥を完食した時雨さんに風邪薬とミネラルウォーターを渡した。
「時雨さん、病院に行った方がいいんじゃないですか? 俺は時間が有り余ってるからよかったけど、時雨さんは早く治さなきゃまずいんじゃ……」
「そうだね、午後から行こうかな」
俺はニッコリ笑った。
時雨さんを待つたくさんの患者さんを俺のせいで待たせちゃいけない。時雨さんが病院に行くと言ってくれて心の底から安堵した。
「じゃあ俺、それまでリビングに居ますから、何かあったら呼んで下さい。おやすみなさい、時雨さん」
「おやすみ、春」
俺は午前中、静かにリビングを掃除しながら過ごした。
時雨さんの看病を出来ることが嬉しくて浮足立っていた。
俺はすっかり熱も下がり元気になったのだけれど……。
「ごめんなさい……時雨さん……」
時雨さんが完全に俺の風邪を貰って寝込んでしまったのだ。
待っている患者さんがたくさんいるのに。
看病をさせたばかりか、抱いて欲しいだなんて我儘まで言ったばかりに感染してしまった。
俺はお粥を作って時雨さんのベッドに来ていた。
「気にしないの。それよりごめんね? 看病させる真似させて」
俺はブンブンッと顔を横に振る。
だって時雨さんが風邪ひいたのは俺のせいなんだから。
「時雨さん、口開けて?」
時雨さんが素直に従うので俺はフーフーしたお粥を時雨さんの口に放り込む。咀嚼している唇にそっと口付けた。
「春、また風邪ひいちゃうよ?」
時雨さんがフッと笑う。
「俺が時雨さんの風邪もらいます」
「そんなことしてたら延々お互い風邪ひかなきゃいけないでしょう?」
俺はクスクスッと笑って、お粥を完食した時雨さんに風邪薬とミネラルウォーターを渡した。
「時雨さん、病院に行った方がいいんじゃないですか? 俺は時間が有り余ってるからよかったけど、時雨さんは早く治さなきゃまずいんじゃ……」
「そうだね、午後から行こうかな」
俺はニッコリ笑った。
時雨さんを待つたくさんの患者さんを俺のせいで待たせちゃいけない。時雨さんが病院に行くと言ってくれて心の底から安堵した。
「じゃあ俺、それまでリビングに居ますから、何かあったら呼んで下さい。おやすみなさい、時雨さん」
「おやすみ、春」
俺は午前中、静かにリビングを掃除しながら過ごした。
時雨さんの看病を出来ることが嬉しくて浮足立っていた。
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