俺の専属精神科医の治療法は身体!?

ちろる

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「先生、お帰りなさい」

「ただいま、八神さん。何かあった?」

 察しが良いのか、仕事柄そういう技術が身についているのか、先生はすぐに俺の異変に気が付いて。俺は俯いたままボソボソと喋った。

「今日、彰成から電話が来ました。どこにいるんだって。それで俺、あの部屋を引き払って新しい部屋に引っ越そうと思うんです。そのための資金がいるからバイト情報を探してました」

 それを聞いた先生が形の良い眉をㇵの字にして「八神さん」と言った。

「はい?」

「僕は八神さんにずっと居て貰いたいと思ってるんだよ? 部屋の解約だけしておいで?」

 先生の言葉はありがたかったけど、でも……。
 そんな迷惑をかけるのが心苦しくて俺は黙って俯いた。
 すると先生がフワッと抱きしめてくる。

「先生……?」

「僕は君が好きなんだ」

 その言葉にドキドキしてしまって俺はなんて返事をしたらいいのかわからなくなってしまう。

 先生が俺のことを好き?
 こんなに大人で素敵な先生が?
 俺はやっぱり信じられなくて先生の腕の中で目をパチクリとさせた。

「でも、先生の迷惑に……」

 そう言った瞬間、先生が俺に口付けてきた。
 いつもの触れるだけのキスじゃなくて、俺の薄く開いた唇の隙間から舌を絡め取られて口腔内をじっくり舐められ、そっと離れて行った。

「迷惑だったら最初から家になんてつれてこないよ?」

 俺の瞳がみるみる内に潤みだして、やがて涙となって頬を伝った。
 先生の指が俺の涙をそっと拭う。
 再び触れるだけの口付けを落とされた。

 先生? 俺も、俺も先生のこと好きになってもいいのかな?
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