誰が××××殺したの?

綴つづか

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 翌日の朝。
 殿下の婚約者と宣言された少女が暗殺され、多くの血を流した無残な遺体で発見された。

 ――グノー殿下の私室の、床の上で。






 久しぶりにのんびり朝食をいただいた後、サンルームで茶を飲みながらその凶報を聞いた私は、「でしょうね」と感慨もなくひとりごちた。










 しばらくお茶を楽しんでいると、部屋の外がざわざわとざわめいているのに気づく。揉め合うような、激しい声が聞こえる。私付きの護衛が、ぴりりと緊張を帯びた。
 誰が来るのかはわかっていたから、私はギリギリまで手を出さぬよう指示を出す。
 やがて、バンとけたたましい音を響かせドアを開き、サンルームに入ってきたのはグノー殿下で。

「君か、エウリエ!! 婚約破棄の腹いせに、君がティーナを殺したんだな!! そうだ、そうに違いない!!」

 はあはあと息を激しく荒げ、整えていないぼろぼろの身なりを気にすることなく、血走った目で殿下は私を弾劾した。
 何の根拠もなく。

「はあ……先ぶれも、挨拶の一つもなく公爵家に押し入るとは、礼儀をどこに置いてきたのでしょう。しかも、言いがかりも甚だしいですわね。何故、私があの男爵令嬢を暗殺しなければなりませんの?」
「だから、私との婚約を破棄をされたからだろう!」
「快く破棄に応じたというのに、それでは道理が通りませんわ。貴方との婚約は、デメリットはあれど、メリットなど一つもないのに? 私、殿下と婚約破棄できて、せいせいしておりましたのよ」
「なっ……! 君は私を愛していたではないか!!」
「愛してなどおりませんが?」

 愛してはいなかった。
 でも、少なからず情はあった。

「はぁ!? そ、そんなはずは……。だ、だって、私の護衛が一人残らずいなくなったのは、君の嫌がらせに違いないだろう!? そんな無体ができるのは、私を愛していた君くらいしかいないではないか。護衛がいれば、ティーナが死ぬこともなかった!」
「はぁ……」

 殿下は、さも私が悪いと言わんばかりに、睨みつけてくる。
 いや、愚かだなと思ってはいたけれども、つくづく愚かだ。勉強はできているはずなのに、恋愛に浮かれて、頭が花畑にでもなったか。それ以前に、周りが過保護にしすぎたか、我が家も含めて。
 私は、ついつい特大のため息をついてしまった。

「婚約を破棄されましたのに、どうして彼らが殿下を守らねばなりませんの?」

 私は、純粋に小首を傾げた。



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