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調律
35.元社畜とオニオングラタンスープ
しおりを挟む3章始めます。ゆっくりめの更新になりますがよろしくお願いします!
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鍋の中で、みじん切りにしたにんにくと、たくさんの薄切り玉ねぎをじっくりと弱火で炒めていく。バターのいい香りが、キッチンに漂う。
透明だったたまねぎがしんなりして、徐々にあめ色に変わっていく瞬間を見るのが好きだ。絶対に美味しいとわかっているから。その分、手間暇かかるんだけどね。
混ぜすぎると綺麗なあめ色にならないので、焦げない程度にほったらかしにしつつ、スープに入れるバゲットを切ったり、メインの食パンを切ったりと下準備をしていく。
どうやらパンに詳しい『界渡人』が、既にあれこれパンを広めていたらしく、『マリステラ』でもふわふわ系や、ハード系のしっかりしたパンが食べられるのが嬉しい。
まだお米をゲットしていないのに、パンの味や食感までイマイチだったら切なくなっちゃう。
実際、切なくなった先人がいたからこそ、今の美味しさなんだろうけど。
玉ねぎがいい感じにあめ色になったら、コンソメのスープストックを注ぎ、塩コショウで味を整えて、ひたすら煮込む。
オニオンスープを煮込んでいる間に、茹でておき粗熱が取れたじゃが芋を潰して、マッシュする。
その後、炒めてカリカリにしたベーコンと、ちょっと避けておいたあめ色玉ねぎ、薄切りしたきゅうりと茹で人参を加える。
ここまで書けば、何を作っているかは最早お分かりだろう。ポテトサラダだ。
なお、うちのちょい足しは、刻んだゆで卵である。足が早くなっちゃうんだけど、ゆで卵を加えたほうが個人的には断然美味しいんだよねえ。ご家庭によって、ポテトサラダの具も色々あって楽しい。
さて。今回からマヨネーズを解禁する。リオナさんに新鮮な卵をたくさん頼んでもらったのだ。マヨネーズがあると、料理の幅が広がるし。
「≪清浄≫!」
卵がサルモネラ菌に汚染されていると食中毒を起こしてしまうので(サルモネラ菌がいるのかどうかはともかく……)、念のため浄化をかける。異世界での生食、ちょっと恐いものね。汚れだけでなく、菌まで浄化できる生活魔法様様である。日本の衛生管理の徹底っぷりを、改めて思い知らされるなあ。
なお、魔法だから、滅菌の仕様については考えてはいけない。
≪鑑定≫をかけると、生食可って書き換わっているからオッケーなのだ。
全卵とお酢をボウルにいれ、塩コショウ。これらをまとめて撹拌。
つい先日まで、ハンドミキサーがないのが辛かったのだけど、私には付与魔法があると気づいたのです!
右腕に≪身体強化≫の魔法を付与すれば、ほら楽チン!ふんふんふーんと鼻歌まじりに、油を細かく入れつつ、強靭になった腕力でひたすら混ぜ混ぜすれば、あっという間にマヨネーズの出来上がり!
いやはや、付与魔法に固有の≪身体強化≫を自分に使ってもいいって知ったの、つい昨日なんですけどね。
リオナさんから指摘されて、エッ……ナニソレシラナイ……てなったのは忘れたい過去です。
他人に強化を使うのは、魔力の波長の関係で難しいってだけで、肉体にかかる負荷がわからない初期ならともかく、コントロールもばっちりになった今の自分に使うのは問題なかった模様。そりゃそうか。
そんなわけで、具材とマヨネーズを和えれば、ポテトサラダの出来上がりだ。
食パンにバターを塗って、ポテトサラダを載せる。
パンの四隅(ミミの内側辺り)に牛乳をぬって、パン同士をぎゅっぎゅっとくっつける。こうすると、パンがくっつきやすくなるんだよね!
こうして作ったポテサラサンドは、フライパンでトーストする。サンドウィッチのままでもよかったのだけど、カリカリのホットサンドも大好きなのだ。
ちょうどいい塩梅になったオニオンスープをカップに分け、バゲットとたっぷりのチーズを振りかけて、こちらはオーブンへ。
こっちにきて日々料理をするようになって、私の手際も随分様になってきたなと、ちょっと自画自賛したい。
しばらくすると、えもいわれぬいい匂いがキッチンに充満して、思い切り吸い込んでしまう。くぅ、と素直にお腹が空腹を訴えた。
途中、ホットサンドを裏返して焦げないよう気をつけつつ、綺麗に焼き目がついたら完成。
オニオングラタンスープも、程よく焦げがついたとろとろのチーズが最高!
「お昼、出来上がりましたよー!」
「はーい。お腹空いた!」
「運ぶの、手伝おう」
方々に向けて呼びかけると、すぐさま返事が返った。
――私が魔女の家に戻ってから、2ヵ月が経過した。
ヒースさんにも話したけれども、自分が抱え込んでいた家庭事情を、リオナさんにも聴いてもらった。
思春期の頃から溜め込んでいた鬱屈や寂しさをすっかり吐き出し、自身の闇を曝け出した私は、身も心も随分と軽くなっていた。
ずっと息苦しさを覚えていたから、こんなにもすっきりしている。
泣いて、怒って、凹んで、悲しんで、散々愚痴って、ひとしきり話を聞いてもらったら、自然と肩の力が抜けた。
情けない自分の心情を話すのは凄く恥ずかしかったが、感情の赴くままにあれこれぶちまけるのって、こんなに気分が良かったんだ。
「アンタは我慢しすぎなのよ」
って、リオナさんに優しくデコピンを食らった。
今まで泣けなかった分まで泣いた気分だったし、最終的に人恋しくて、その日の夜、リオナさんに添い寝してもらうなんて失体を犯したりもしたのだけれども。
子どもみたいにぐずる私を、リオナさんもヒースさんも包み込むような、見守るような優しさで受け止めてくれた。
きっと、こんな私を、父なら眉を顰めて面倒がるだろうし、義母なんて言わずもがな。
2人に親身になって寄り添ってもらえたことが、何より私の心にあたたかく響いた。
もっとぐっと、2人と距離が縮んだ気がした。
「はぁ……スープが濃くて染みるわぁ……玉ねぎトロットロ……最高。サンドの具のポテトサラダ、単品でもつまみにしてお酒飲みたくなるような味ねぇ。まだ残ってる?」
「そういうかなと思って、残してありますよ」
「……っ!! 何だこのサンドは!? 今まで食べたことのない複雑な味がするんだが!? ベーコンと卵の味が凄く濃いし、めちゃくちゃ腹に溜まる……! オニオングラタンスープとのコンボで、いくらでも食べられそうなくらい旨いぞ」
「ふふ、私の世界で親しまれていたマヨネーズっていう調味料を作って、使ってみたんですよ。お口にあってよかったです」
「この間のショーユを使った食事も、不思議で美味しい味だったが、まだこんな隠し玉が……。カナメの世界は凄いな……」
そう言って、ヒースさんはがつがつと食べる手を進めた。
二人からの昼食への反応は上々。私は、にんまりと唇を三日月にしてしまう。
マヨネーズ、美味しいんだよねえ。
リオナさんから聞くところによると、まだマヨネーズはアイオン王国全土に浸透してないみたい。
私はマヨラーではないので、直接吸ったりはしないけど、ヒースさんの景気の良い食べっぷりを見ていると、マヨネーズは異世界でも熱狂的なファンを獲得しそうな感じがする。
リオナさんの首には、私がお詫びとお礼の気持ちを込めて作ったペンダントが輝いている。使ってくれて嬉しい。
何を隠そう、肩首の周りに微量の≪伝熱≫の魔法が流れる温熱治療器のペンダント魔道具である。
よく仕事の後に肩首をゴリゴリ回しているリオナさんにはピッタリかと思って、作ってみたのだ。
でも、お礼として渡すにしては実用的すぎて色気もなくて、流石にこれはどうなんだ?と不安に思いつつ差し出したところ、手をガッと掴まれた。
魔女でも肩こりには敵わないらしい。
「で? このオニオングラタンスープには、どんな効果がかかったの?」
「それが、≪解毒≫っぽいナニカで……玉ねぎ故にって感じではあるんですけど」
今までは、どちらかというと回復とか向上とかの作用だったから、急に毒とか出てきてビビった。
デトックスか、デトックスが作用しているのか。玉ねぎが血液サラサラにしちゃうからか。
といっても、効果は魔法より薄いから、どこまで作用するかはわからないけど。
「あっはっは、解毒……! 毒が混入され易いのって、大抵スープなのにね」
「あっ、毒が入ってるわけじゃないですからね、もちろん」
「それは言わずもがなわかっているが、改めて面白い効果がつくな」
「だけど、毒が回って危険な最中に、こんなあっついスープ飲ませるの、酷じゃありません?」
「確かに!」
「飲まされたほうも、口が火傷するわ熱いわで、たまったもんじゃないわね」
私の物言いに、リオナさんもヒースさんも盛大に笑った。
まあ、玉ねぎのスープも、冷製のポタージュにすれば、解毒薬にできなくもないのかな?とか考えつつ、和やかに会話をしながら、私たちはお腹を満たした。
「はぁ……今日の飯も旨かった。毎日でもカナメの飯が食いたい」
「まあ、私は毎日食べてますけどー」
「くっ……魔女殿はズルい!!」
「ふふん、家主権限」
ドヤってるリオナさんに、ぎりぎりと唇を噛み締めるヒースさんの対立は、なんだか子供みたいだ。
それがマウントになるんだと、私はキッチンで紅茶を注ぎながら、二人の話に耳をそばだてながら、くすくすと喉を鳴らす。
「てか、ヒース、それ毎回言ってるわよね。いっそ、クラリッサに家でも買ったら? こっちとクラリッサで、要に交互に住んでもらえばいいじゃない」
「……!! その手があったか!!」
「待って、ヒースさん。落ち着いて下さい」
矛先が怪しくなってきた。ガチャガチャっと、動揺で茶器を扱う手元が狂う。あっ、危ない、カップを割ってしまうところだった。
しばらくクラリッサに逗留してるけど、ヒースさん自分のこと根無草だって言ってたじゃんー!そんなことで家購入を決意していいの!?
ヒースさんは気付いてないけど、それ、同棲とか同居のお誘いになりかねませんからね!?
リオナさんはニヤニヤしているから、わかっていて囃し立てている確信犯だ。
てか、ヒースさん、たまに天然炸裂させてくるけど、なんなの!?
「……駄目?」
「駄目です」
「くっ、無念……」
「もう、大袈裟ですよ。クラリッサにあるお店だって、結構美味しいじゃないですか」
「それはそうなんだけど、カナメの手料理は、ほっとする優しい味だし、素材の調理が丁寧で手間暇かけているせいか、深みが一味違うんだよ。食べたことのないメニューもあるし、一度味わうと病みつきになって、また食べたくなる。クラリッサにカナメの店があったら、絶対に通うんだが」
「誉めても何もでませんからね」
「むぅ……。まあ、こうして魔女殿と2人、特別にありつけている栄誉に、感謝を捧げよう」
ヒースさんは、毎度料理人でも何でもない私の家庭料理を、噛み締めて食べてくれる。食べさせがいのある人だ。
そこまで気に入って力説されれば、大袈裟だなあとは思いつつも、やっぱり嬉しいよね。照れくさいけど。
軽口を叩きながら、用意していたデザートと紅茶を出してあげる。ヒースさんが目を輝かせるのが楽しい。
なお、デザートはバナナと牛乳だけで作ったプリンである。寒冷なこの辺にはないと思っていたのに、何故かバナナがバントリーに入っていた。
勝手に入っている食材のチョイスが、時折謎だ……。
「そうそう、グランツさんも、ゼルさんも、カナメの手料理を食べたがっていた。あっ、ほんのり甘くて旨い……口の中でとろける……」
「ええ!? 何でまた!?」
「俺が散々自慢したからな!!」
バナナ牛乳プリンを頬張りながら、ヒースさんが胸を張る。何やってんですか、ヒースさん。
「そうですねえ……乗り物の手配がつけば、料理を差し入れたりはできるかも?」
「ああ、例の。てか、カナメが移動手段を手にしたら、俺が頻繁にここに来れなくなるな……。俺を散々虜にしておいて、取り上げようとするだなんて、カナメは酷い……!」
「言い方ァ!」
「手玉に取って、私よりよっぽど魔女っぽいじゃない」
「餌付けされてるだけですぅ!」
ヒースさんがしょんぼりと肩を落とし、私はアワアワし、リオナさんはニヨニヨしている。
ヒースさんがこうして魔女の家を訪れる頻度は、以前よりもぐんと上がった。リオナさんへの薬草の納品以外にも、私の作った魔石の運搬を肩代わりしてくれている。
とはいえ、指名依頼という形で、ギルドから依頼料が出てるから良いものの、やっぱり効率は悪い。
ヒースさん本人は、「カナメのご飯が食べられるんだし、いつでも呼んでくれて構わない」なんて笑顔で言うので、反則過ぎると思います。
まあ、熱々出来立ては無理でも、お弁当みたいな形で持っていくくらいならできるだろう。
純粋に、「食べたい!」と言ってもらえるのは、私とて嬉しいのだ。
単純と言う勿れ。
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