【完結】元社畜の付与調律師はヌクモリが欲しい

綴つづか

文字の大きさ
上 下
35 / 126
調律

35.元社畜とオニオングラタンスープ

しおりを挟む

3章始めます。ゆっくりめの更新になりますがよろしくお願いします!

----------------







 鍋の中で、みじん切りにしたにんにくと、たくさんの薄切り玉ねぎをじっくりと弱火で炒めていく。バターのいい香りが、キッチンに漂う。
 透明だったたまねぎがしんなりして、徐々にあめ色に変わっていく瞬間を見るのが好きだ。絶対に美味しいとわかっているから。その分、手間暇かかるんだけどね。

 混ぜすぎると綺麗なあめ色にならないので、焦げない程度にほったらかしにしつつ、スープに入れるバゲットを切ったり、メインの食パンを切ったりと下準備をしていく。
 どうやらパンに詳しい『界渡人わたりびと』が、既にあれこれパンを広めていたらしく、『マリステラ』でもふわふわ系や、ハード系のしっかりしたパンが食べられるのが嬉しい。
 まだお米をゲットしていないのに、パンの味や食感までイマイチだったら切なくなっちゃう。
 実際、切なくなった先人がいたからこそ、今の美味しさなんだろうけど。

 玉ねぎがいい感じにあめ色になったら、コンソメのスープストックを注ぎ、塩コショウで味を整えて、ひたすら煮込む。
 オニオンスープを煮込んでいる間に、茹でておき粗熱が取れたじゃが芋を潰して、マッシュする。
 その後、炒めてカリカリにしたベーコンと、ちょっと避けておいたあめ色玉ねぎ、薄切りしたきゅうりと茹で人参を加える。
 ここまで書けば、何を作っているかは最早お分かりだろう。ポテトサラダだ。
 なお、うちのちょい足しは、刻んだゆで卵である。足が早くなっちゃうんだけど、ゆで卵を加えたほうが個人的には断然美味しいんだよねえ。ご家庭によって、ポテトサラダの具も色々あって楽しい。
 さて。今回からマヨネーズを解禁する。リオナさんに新鮮な卵をたくさん頼んでもらったのだ。マヨネーズがあると、料理の幅が広がるし。

「≪清浄クリーン≫!」

 卵がサルモネラ菌に汚染されていると食中毒を起こしてしまうので(サルモネラ菌がいるのかどうかはともかく……)、念のため浄化をかける。異世界での生食、ちょっと恐いものね。汚れだけでなく、菌まで浄化できる生活魔法様様である。日本の衛生管理の徹底っぷりを、改めて思い知らされるなあ。
 なお、魔法だから、滅菌の仕様については考えてはいけない。
 ≪鑑定アナライズ≫をかけると、生食可って書き換わっているからオッケーなのだ。

 全卵とお酢をボウルにいれ、塩コショウ。これらをまとめて撹拌。
 つい先日まで、ハンドミキサーがないのが辛かったのだけど、私には付与魔法エンチャントがあると気づいたのです!
 右腕に≪身体強化フィジカルバフ≫の魔法を付与すれば、ほら楽チン!ふんふんふーんと鼻歌まじりに、油を細かく入れつつ、強靭になった腕力でひたすら混ぜ混ぜすれば、あっという間にマヨネーズの出来上がり!

 いやはや、付与魔法に固有の≪身体強化≫を自分に使ってもいいって知ったの、つい昨日なんですけどね。
 リオナさんから指摘されて、エッ……ナニソレシラナイ……てなったのは忘れたい過去です。
 他人に強化を使うのは、魔力の波長の関係で難しいってだけで、肉体にかかる負荷がわからない初期ならともかく、コントロールもばっちりになった今の自分に使うのは問題なかった模様。そりゃそうか。

 そんなわけで、具材とマヨネーズを和えれば、ポテトサラダの出来上がりだ。
 食パンにバターを塗って、ポテトサラダを載せる。
 パンの四隅(ミミの内側辺り)に牛乳をぬって、パン同士をぎゅっぎゅっとくっつける。こうすると、パンがくっつきやすくなるんだよね!
 こうして作ったポテサラサンドは、フライパンでトーストする。サンドウィッチのままでもよかったのだけど、カリカリのホットサンドも大好きなのだ。

 ちょうどいい塩梅になったオニオンスープをカップに分け、バゲットとたっぷりのチーズを振りかけて、こちらはオーブンへ。
 こっちにきて日々料理をするようになって、私の手際も随分様になってきたなと、ちょっと自画自賛したい。
 しばらくすると、えもいわれぬいい匂いがキッチンに充満して、思い切り吸い込んでしまう。くぅ、と素直にお腹が空腹を訴えた。
 途中、ホットサンドを裏返して焦げないよう気をつけつつ、綺麗に焼き目がついたら完成。
 オニオングラタンスープも、程よく焦げがついたとろとろのチーズが最高!


「お昼、出来上がりましたよー!」
「はーい。お腹空いた!」
「運ぶの、手伝おう」

 方々に向けて呼びかけると、すぐさま返事が返った。






 ――私が魔女の家に戻ってから、2ヵ月が経過した。

 ヒースさんにも話したけれども、自分が抱え込んでいた家庭事情を、リオナさんにも聴いてもらった。
 思春期の頃から溜め込んでいた鬱屈や寂しさをすっかり吐き出し、自身の闇を曝け出した私は、身も心も随分と軽くなっていた。
 ずっと息苦しさを覚えていたから、こんなにもすっきりしている。
 泣いて、怒って、凹んで、悲しんで、散々愚痴って、ひとしきり話を聞いてもらったら、自然と肩の力が抜けた。
 情けない自分の心情を話すのは凄く恥ずかしかったが、感情の赴くままにあれこれぶちまけるのって、こんなに気分が良かったんだ。

「アンタは我慢しすぎなのよ」

 って、リオナさんに優しくデコピンを食らった。
 今まで泣けなかった分まで泣いた気分だったし、最終的に人恋しくて、その日の夜、リオナさんに添い寝してもらうなんて失体を犯したりもしたのだけれども。
 子どもみたいにぐずる私を、リオナさんもヒースさんも包み込むような、見守るような優しさで受け止めてくれた。
 きっと、こんな私を、父なら眉を顰めて面倒がるだろうし、義母なんて言わずもがな。
 2人に親身になって寄り添ってもらえたことが、何より私の心にあたたかく響いた。
 もっとぐっと、2人と距離が縮んだ気がした。




「はぁ……スープが濃くて染みるわぁ……玉ねぎトロットロ……最高。サンドの具のポテトサラダ、単品でもつまみにしてお酒飲みたくなるような味ねぇ。まだ残ってる?」
「そういうかなと思って、残してありますよ」
「……っ!! 何だこのサンドは!? 今まで食べたことのない複雑な味がするんだが!? ベーコンと卵の味が凄く濃いし、めちゃくちゃ腹に溜まる……! オニオングラタンスープとのコンボで、いくらでも食べられそうなくらい旨いぞ」
「ふふ、私の世界で親しまれていたマヨネーズっていう調味料を作って、使ってみたんですよ。お口にあってよかったです」
「この間のショーユを使った食事も、不思議で美味しい味だったが、まだこんな隠し玉が……。カナメの世界は凄いな……」

 そう言って、ヒースさんはがつがつと食べる手を進めた。
 二人からの昼食への反応は上々。私は、にんまりと唇を三日月にしてしまう。
 マヨネーズ、美味しいんだよねえ。
 リオナさんから聞くところによると、まだマヨネーズはアイオン王国全土に浸透してないみたい。
 私はマヨラーではないので、直接吸ったりはしないけど、ヒースさんの景気の良い食べっぷりを見ていると、マヨネーズは異世界でも熱狂的なファンを獲得しそうな感じがする。

 リオナさんの首には、私がお詫びとお礼の気持ちを込めて作ったペンダントが輝いている。使ってくれて嬉しい。
 何を隠そう、肩首の周りに微量の≪伝熱≫の魔法が流れる温熱治療器のペンダント魔道具である。
 よく仕事の後に肩首をゴリゴリ回しているリオナさんにはピッタリかと思って、作ってみたのだ。
 でも、お礼として渡すにしては実用的すぎて色気もなくて、流石にこれはどうなんだ?と不安に思いつつ差し出したところ、手をガッと掴まれた。
 魔女でも肩こりには敵わないらしい。

「で? このオニオングラタンスープには、どんな効果がかかったの?」
「それが、≪解毒アンチトード≫っぽいナニカで……玉ねぎ故にって感じではあるんですけど」

 今までは、どちらかというと回復とか向上とかの作用だったから、急に毒とか出てきてビビった。
 デトックスか、デトックスが作用しているのか。玉ねぎが血液サラサラにしちゃうからか。
 といっても、効果は魔法より薄いから、どこまで作用するかはわからないけど。

「あっはっは、解毒……! 毒が混入され易いのって、大抵スープなのにね」
「あっ、毒が入ってるわけじゃないですからね、もちろん」
「それは言わずもがなわかっているが、改めて面白い効果がつくな」
「だけど、毒が回って危険な最中に、こんなあっついスープ飲ませるの、酷じゃありません?」
「確かに!」
「飲まされたほうも、口が火傷するわ熱いわで、たまったもんじゃないわね」

 私の物言いに、リオナさんもヒースさんも盛大に笑った。
 まあ、玉ねぎのスープも、冷製のポタージュにすれば、解毒薬にできなくもないのかな?とか考えつつ、和やかに会話をしながら、私たちはお腹を満たした。

「はぁ……今日の飯も旨かった。毎日でもカナメの飯が食いたい」
「まあ、私は毎日食べてますけどー」
「くっ……魔女殿はズルい!!」
「ふふん、家主権限」

 ドヤってるリオナさんに、ぎりぎりと唇を噛み締めるヒースさんの対立は、なんだか子供みたいだ。
 それがマウントになるんだと、私はキッチンで紅茶を注ぎながら、二人の話に耳をそばだてながら、くすくすと喉を鳴らす。

「てか、ヒース、それ毎回言ってるわよね。いっそ、クラリッサに家でも買ったら? こっちとクラリッサで、要に交互に住んでもらえばいいじゃない」
「……!! その手があったか!!」
「待って、ヒースさん。落ち着いて下さい」

 矛先が怪しくなってきた。ガチャガチャっと、動揺で茶器を扱う手元が狂う。あっ、危ない、カップを割ってしまうところだった。
 しばらくクラリッサに逗留してるけど、ヒースさん自分のこと根無草だって言ってたじゃんー!そんなことで家購入を決意していいの!?
 ヒースさんは気付いてないけど、それ、同棲とか同居のお誘いになりかねませんからね!?
 リオナさんはニヤニヤしているから、わかっていて囃し立てている確信犯だ。
 てか、ヒースさん、たまに天然炸裂させてくるけど、なんなの!?

「……駄目?」
「駄目です」
「くっ、無念……」
「もう、大袈裟ですよ。クラリッサにあるお店だって、結構美味しいじゃないですか」
「それはそうなんだけど、カナメの手料理は、ほっとする優しい味だし、素材の調理が丁寧で手間暇かけているせいか、深みが一味違うんだよ。食べたことのないメニューもあるし、一度味わうと病みつきになって、また食べたくなる。クラリッサにカナメの店があったら、絶対に通うんだが」
「誉めても何もでませんからね」
「むぅ……。まあ、こうして魔女殿と2人、特別にありつけている栄誉に、感謝を捧げよう」

 ヒースさんは、毎度料理人でも何でもない私の家庭料理を、噛み締めて食べてくれる。食べさせがいのある人だ。
 そこまで気に入って力説されれば、大袈裟だなあとは思いつつも、やっぱり嬉しいよね。照れくさいけど。

 軽口を叩きながら、用意していたデザートと紅茶を出してあげる。ヒースさんが目を輝かせるのが楽しい。
 なお、デザートはバナナと牛乳だけで作ったプリンである。寒冷なこの辺にはないと思っていたのに、何故かバナナがバントリーに入っていた。
 勝手に入っている食材のチョイスが、時折謎だ……。

「そうそう、グランツさんも、ゼルさんも、カナメの手料理を食べたがっていた。あっ、ほんのり甘くて旨い……口の中でとろける……」
「ええ!? 何でまた!?」
「俺が散々自慢したからな!!」

 バナナ牛乳プリンを頬張りながら、ヒースさんが胸を張る。何やってんですか、ヒースさん。

「そうですねえ……乗り物の手配がつけば、料理を差し入れたりはできるかも?」
「ああ、例の。てか、カナメが移動手段を手にしたら、俺が頻繁にここに来れなくなるな……。俺を散々虜にしておいて、取り上げようとするだなんて、カナメは酷い……!」
「言い方ァ!」
「手玉に取って、私よりよっぽど魔女っぽいじゃない」
「餌付けされてるだけですぅ!」

 ヒースさんがしょんぼりと肩を落とし、私はアワアワし、リオナさんはニヨニヨしている。
 ヒースさんがこうして魔女の家を訪れる頻度は、以前よりもぐんと上がった。リオナさんへの薬草の納品以外にも、私の作った魔石の運搬を肩代わりしてくれている。
 とはいえ、指名依頼という形で、ギルドから依頼料が出てるから良いものの、やっぱり効率は悪い。
 ヒースさん本人は、「カナメのご飯が食べられるんだし、いつでも呼んでくれて構わない」なんて笑顔で言うので、反則過ぎると思います。

 まあ、熱々出来立ては無理でも、お弁当みたいな形で持っていくくらいならできるだろう。
 純粋に、「食べたい!」と言ってもらえるのは、私とて嬉しいのだ。
 単純と言う勿れ。




しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

初耳なのですが…、本当ですか?

あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た! でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

美形王子様が私を離してくれません!?虐げられた伯爵令嬢が前世の知識を使ってみんなを幸せにしようとしたら、溺愛の沼に嵌りました

葵 遥菜
恋愛
道端で急に前世を思い出した私はアイリーン・グレン。 前世は両親を亡くして児童養護施設で育った。だから、今世はたとえ伯爵家の本邸から距離のある「離れ」に住んでいても、両親が揃っていて、綺麗なお姉様もいてとっても幸せ! だけど……そのぬりかべ、もとい厚化粧はなんですか? せっかくの美貌が台無しです。前世美容部員の名にかけて、そのぬりかべ、破壊させていただきます! 「女の子たちが幸せに笑ってくれるのが私の一番の幸せなの!」 ーーすると、家族が円満になっちゃった!? 美形王子様が迫ってきた!?  私はただ、この世界のすべての女性を幸せにしたかっただけなのにーー! ※約六万字で完結するので、長編というより中編です。 ※他サイトにも投稿しています。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【完結】「異世界に召喚されたら聖女を名乗る女に冤罪をかけられ森に捨てられました。特殊スキルで育てたリンゴを食べて生き抜きます」

まほりろ
恋愛
※小説家になろう「異世界転生ジャンル」日間ランキング9位!2022/09/05 仕事からの帰り道、近所に住むセレブ女子大生と一緒に異世界に召喚された。 私たちを呼び出したのは中世ヨーロッパ風の世界に住むイケメン王子。 王子は美人女子大生に夢中になり彼女を本物の聖女と認定した。 冴えない見た目の私は、故郷で女子大生を脅迫していた冤罪をかけられ追放されてしまう。 本物の聖女は私だったのに……。この国が困ったことになっても助けてあげないんだから。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※小説家になろう先行投稿。カクヨム、エブリスタにも投稿予定。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。

辺境伯へ嫁ぎます。

アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。 隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。 私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。 辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。 本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。 辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。 辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。 それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか? そんな望みを抱いてしまいます。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 設定はゆるいです。  (言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)  ❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。  (出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした

さこの
恋愛
 幼い頃に誘拐されたマリアベル。保護してくれた男の人をお母さんと呼び、父でもあり兄でもあり家族として暮らしていた。  誘拐される以前の記憶は全くないが、ネックレスにマリアベルと名前が記されていた。  数年後にマリアベルの元に侯爵家の遣いがやってきて、自分は貴族の娘だと知る事になる。  お母さんと呼ぶ男の人と離れるのは嫌だが家に戻り家族と会う事になった。  片田舎で暮らしていたマリアベルは貴族の子女として学ぶ事になるが、不思議と読み書きは出来るし食事のマナーも悪くない。  お母さんと呼ばれていた男は何者だったのだろうか……? マリアベルは貴族社会に馴染めるのか……  っと言った感じのストーリーです。

処理中です...