8 / 10
第8話
しおりを挟む
「お世話になりました」
引継ぎも無事に終わり、今日冬樹は会社を退職することになった。
「今までお疲れさまでした。何かあれば、直ぐに戻ってきていいんですからね」
不岩や、同僚たちが温かい言葉をくれる。その言葉ににっこりと笑って冬樹は深く頭を下げ、長年お世話になった会社をあとにした。
冬樹を見送る背中にポツリと、不岩が届かない言葉を投げかけた。
電車を乗り継ぎ、シャラントで唯一海外と交易のある港へ辿り着く。そこからは船でロクッツ大陸へ。その後は車で麓の村に向かう。半月も掛かる長旅になったが、ようやく村に辿り着いた。
「一緒に来る予定だったんだけど、結局一人で来ちゃったな」
シャラントに帰る時はヘリで一気にだったのでロクッツ大陸のどこにも寄っていない。今回も、絶対寂しがっているだろうクトーの為にかなり急いで旅をしていたので、特に観光などはしていなかった。
「気配を察知して来てくれるって不岩様は言ってたけど……」
信じていない訳ではない。そうでなければ、不岩が冬樹を見つけられた理由がわからないからだ。それでも、本当に来てくれるか不安になる。
この村に着く前、冬樹は服を着替えた。きっと私を見つけたらクトーは思いっきり抱きしめてくるだろうから。そう思うのに、来てくれないかもなんて思いもする。こんな風に気持ちがあべこべになるのは初めての経験で、冬樹は心臓をドクドクと期待と不安に高鳴らせつつ村を進む。
「あんた!竜さんの嫁さん!?」
突然、見知らぬ人に声を掛けられ冬樹はきょとんとしつつ頷いた。
「あぁ、やっと来てくれたのか!ほら、竜さんはこっちだよ、着いて来てくれ!」
走るように歩き出す村人に、冬樹は慌てて後に続く。
「もう四日も山側の出口に居座られて大変なんだ。急にぽっぽと暖かくなったと思ったら、何を考えたんだか砂漠の国みたいに熱を放出しちまったり。いい人なんだけどさ、これ以上熱かったり寒かったりが続くとこっちも参っちまうからね。どうしたんだって聞いたら嫁さんの気配がするから待ってるんだなんて言うだろ?だから私らもずっとあんたが来てくれるのを待ってたのさ」
早口で理由を説明され、思わず笑ってしまった。ソワソワと落ち着き無いクトーの様子が頭に浮かぶ。四日も前から待っていてくれたことが嬉しい。
「うわっ、熱いねぇ……」
冬樹を案内してくれた村人が、これ以上近づけないとクトーのいる場所を指差してから早々に退散してしまう。冬樹はその背中に感謝の言葉を掛け、クトーが居るという場所を見る。
クトーは多分自分で運んできたのだろう、石の椅子に腰掛けていた。大股に足を開き右足でイライラと貧乏揺すりをしつつ腕を組んでいる。石はどうやら一度融け掛かったらしく、滴るような形で固まっている箇所があった。
このまま近づくのはもしかして危険なのではないだろうか?思い切り高熱を放出して、村を炎に包んでしまったりしないだろうか?冬樹はそう考え、一人村人を捕まえると、なんとかクトーがもう少し村から離れるよう説得してもらうことにした。
運悪く冬樹に捕まった村人は中々度胸のある若者らしく、さっさとクトーの元に向かうと何事かを説明し、その言葉にクトーが頷いた。
「これで任務完了かな?お嫁さんに逢えた喜びで村を壊滅させられると困るから、離れてくれるように言っといたよ。お嫁さんが村に着いたら照明弾を打ち上げるって言っておいた。だから、それを見たら気持ちを落ち着けてから村に来てくれってね。お嫁さんも、村の出口から離れ気味にしててくれると嬉しい」
中々頭の回る人のようで助かった。
「一度家に戻るって言ってたけど、もうそろそろ村との距離は良さそうかな?」
「そうですね、クトーの足ならもうだいぶ離れたと思います」
「それじゃ、照明弾を撃つからお嫁さんは村から出てね」
青年の言葉に従って、クトーが占拠していた村の出口からさらに進んだ場所で立ち止まる。
暫くすると、大気を劈くような爆音が響き、一筋の煙が空へと上った。その直後、山側からも爆音が響く。
冬樹は雪崩が起こったらどうしようと不安になったが、特に何事もなかったようだ。
ほっと息をついた瞬間、体が宙を舞う。
「ひへっ!?」
ぽーん、と空高く体が浮いた。眼下にはどうやら冬樹を抛り投げたらしく両手を高く掲げるクトーの姿。
「フユキー!」
落下する冬樹の体をしっかりと抱きとめ、そのまま強く抱きしめる。
「……愛情表現が、おかしいと思う」
落下の恐怖にドキドキと脈を打つ心臓を押さえて冬樹はクトーを睨む。
「行くぞ!」
冬樹の言うことを無視してクトーは巨大な猫型の竜に変化すると、今度は冬樹の首根っこを噛んでまたも抛り投げる。
「ぎゃぁぁぁあ!」
今度は背中で冬樹を受け止めると、風を切って走り出した。
「ちょっ!ちょっ!まっ……!」
もちろん冬樹の悲痛な叫びは無視された。
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
何とか鱗に掴まりクトーの背に揺られていると、一部大きく大地が抉られた場所を通過した。
後から話を聞くと、喜びと興奮を抑えるためにクトーがその場所を殴ったらしい。照明弾の後に響いたあの音の正体である。
久々に見たクトーの家は、その面影を無くしていた。
石造りではあるが、レンガのように一つ一つ重ねられた外観は、東の大陸に良く見られるもの。何を素材にして作ったのか、窓ガラスっぽい素材のものが嵌った窓もある。
ただし、白い外観と打って変わって、中に入るとワインレッドに統一されているのは変わらない。クトーの鱗を素材にして作っている以上仕方がないのだが、どうにか染色出来ないか実験してみようと冬樹は思った。
「ここがリビングで、こっちがキッチンな!食材はここに作った地下倉庫に入れておけばいい。外に通じる穴を作ったから、そっちから雪を入れれば十分れーぞーこって奴と同じ役割すんだろ。で、こっち!」
人型に戻ったクトーが冬樹の手を引いて家の中を歩き回る。紹介されたダイニングには大きな石テーブルと椅子が数えて十二脚。一人きりで生活していたクトーだが、これからは友達と呼べる人たちとこのテーブルを囲めるといいなと冬樹は思った。きっと、そういった意図もあっての椅子の数だろう。
「こっからあっこまでが子供部屋な。一応多めに見積もって十室用意したが、まぁそれ以上になったら増築するか」
「は?」
理解は出来た。己の体を竜に変化させることが可能だとわかった時から、クトーの傍に居ると決意した時から、何れクトーとの間に子供を儲けるだろうと思っていた。しかし、子供部屋を十室とは何事かと、冬樹は目を見張る。クトーは多くて十人、冬樹に子供を産ませるつもりらしい。つまりダイニングで見た十二脚の椅子は、誰かを招待するためではなく、クトーと冬樹、そして何れ生まれる十人の子供たちの為のものだ。
驚きの家族計画に眩暈がするが、そんな冬樹に構うことなくクトーは先へと進む。
「んで、ここが俺たちの寝室!」
通された部屋は、ワインレッドに統一されている以上、爽やかとか言えない……むしろ若干エロティズムに満ちた部屋になっていた。
まぁそれも仕方がないと自分を納得させ、部屋をよく検分しようとした矢先、クトーが噛み付くように冬樹にキスをする。
貪るような口付けを驚きつつ受け入れている。押され気味で、思わず足を引いて二、三歩下がるとベッドにぶつかり二人して倒れこんだ。
「っ……ふっ…」
やっと離れた唇から荒く息を吐き出すと、その吐息すら飲み込むようにまた唇を塞がれる。そうされる間にもクトーの手は冬樹の体をまさぐり、気がつけばコートの前身頃は開けられ、中に着ていたハイネックは胸元までたくし上げられている。
「んぅっ……」
冬樹がクトーの背を叩くと、やっと唇が離れた。
「ちょっとっ…急過ぎ……」
冬樹の訴えに、クトーは灼熱に燃え上がる瞳を向ける。
「もう我慢出来ねぇし、する必要もねぇ」
それだけ言うと、クトーは冬樹の全てを奪いつくさんと動き、その欲望を冬樹の中にぶちまけた。
冬樹には、ただ甘く切なく鳴き続けることしか出来なかった。
引継ぎも無事に終わり、今日冬樹は会社を退職することになった。
「今までお疲れさまでした。何かあれば、直ぐに戻ってきていいんですからね」
不岩や、同僚たちが温かい言葉をくれる。その言葉ににっこりと笑って冬樹は深く頭を下げ、長年お世話になった会社をあとにした。
冬樹を見送る背中にポツリと、不岩が届かない言葉を投げかけた。
電車を乗り継ぎ、シャラントで唯一海外と交易のある港へ辿り着く。そこからは船でロクッツ大陸へ。その後は車で麓の村に向かう。半月も掛かる長旅になったが、ようやく村に辿り着いた。
「一緒に来る予定だったんだけど、結局一人で来ちゃったな」
シャラントに帰る時はヘリで一気にだったのでロクッツ大陸のどこにも寄っていない。今回も、絶対寂しがっているだろうクトーの為にかなり急いで旅をしていたので、特に観光などはしていなかった。
「気配を察知して来てくれるって不岩様は言ってたけど……」
信じていない訳ではない。そうでなければ、不岩が冬樹を見つけられた理由がわからないからだ。それでも、本当に来てくれるか不安になる。
この村に着く前、冬樹は服を着替えた。きっと私を見つけたらクトーは思いっきり抱きしめてくるだろうから。そう思うのに、来てくれないかもなんて思いもする。こんな風に気持ちがあべこべになるのは初めての経験で、冬樹は心臓をドクドクと期待と不安に高鳴らせつつ村を進む。
「あんた!竜さんの嫁さん!?」
突然、見知らぬ人に声を掛けられ冬樹はきょとんとしつつ頷いた。
「あぁ、やっと来てくれたのか!ほら、竜さんはこっちだよ、着いて来てくれ!」
走るように歩き出す村人に、冬樹は慌てて後に続く。
「もう四日も山側の出口に居座られて大変なんだ。急にぽっぽと暖かくなったと思ったら、何を考えたんだか砂漠の国みたいに熱を放出しちまったり。いい人なんだけどさ、これ以上熱かったり寒かったりが続くとこっちも参っちまうからね。どうしたんだって聞いたら嫁さんの気配がするから待ってるんだなんて言うだろ?だから私らもずっとあんたが来てくれるのを待ってたのさ」
早口で理由を説明され、思わず笑ってしまった。ソワソワと落ち着き無いクトーの様子が頭に浮かぶ。四日も前から待っていてくれたことが嬉しい。
「うわっ、熱いねぇ……」
冬樹を案内してくれた村人が、これ以上近づけないとクトーのいる場所を指差してから早々に退散してしまう。冬樹はその背中に感謝の言葉を掛け、クトーが居るという場所を見る。
クトーは多分自分で運んできたのだろう、石の椅子に腰掛けていた。大股に足を開き右足でイライラと貧乏揺すりをしつつ腕を組んでいる。石はどうやら一度融け掛かったらしく、滴るような形で固まっている箇所があった。
このまま近づくのはもしかして危険なのではないだろうか?思い切り高熱を放出して、村を炎に包んでしまったりしないだろうか?冬樹はそう考え、一人村人を捕まえると、なんとかクトーがもう少し村から離れるよう説得してもらうことにした。
運悪く冬樹に捕まった村人は中々度胸のある若者らしく、さっさとクトーの元に向かうと何事かを説明し、その言葉にクトーが頷いた。
「これで任務完了かな?お嫁さんに逢えた喜びで村を壊滅させられると困るから、離れてくれるように言っといたよ。お嫁さんが村に着いたら照明弾を打ち上げるって言っておいた。だから、それを見たら気持ちを落ち着けてから村に来てくれってね。お嫁さんも、村の出口から離れ気味にしててくれると嬉しい」
中々頭の回る人のようで助かった。
「一度家に戻るって言ってたけど、もうそろそろ村との距離は良さそうかな?」
「そうですね、クトーの足ならもうだいぶ離れたと思います」
「それじゃ、照明弾を撃つからお嫁さんは村から出てね」
青年の言葉に従って、クトーが占拠していた村の出口からさらに進んだ場所で立ち止まる。
暫くすると、大気を劈くような爆音が響き、一筋の煙が空へと上った。その直後、山側からも爆音が響く。
冬樹は雪崩が起こったらどうしようと不安になったが、特に何事もなかったようだ。
ほっと息をついた瞬間、体が宙を舞う。
「ひへっ!?」
ぽーん、と空高く体が浮いた。眼下にはどうやら冬樹を抛り投げたらしく両手を高く掲げるクトーの姿。
「フユキー!」
落下する冬樹の体をしっかりと抱きとめ、そのまま強く抱きしめる。
「……愛情表現が、おかしいと思う」
落下の恐怖にドキドキと脈を打つ心臓を押さえて冬樹はクトーを睨む。
「行くぞ!」
冬樹の言うことを無視してクトーは巨大な猫型の竜に変化すると、今度は冬樹の首根っこを噛んでまたも抛り投げる。
「ぎゃぁぁぁあ!」
今度は背中で冬樹を受け止めると、風を切って走り出した。
「ちょっ!ちょっ!まっ……!」
もちろん冬樹の悲痛な叫びは無視された。
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
何とか鱗に掴まりクトーの背に揺られていると、一部大きく大地が抉られた場所を通過した。
後から話を聞くと、喜びと興奮を抑えるためにクトーがその場所を殴ったらしい。照明弾の後に響いたあの音の正体である。
久々に見たクトーの家は、その面影を無くしていた。
石造りではあるが、レンガのように一つ一つ重ねられた外観は、東の大陸に良く見られるもの。何を素材にして作ったのか、窓ガラスっぽい素材のものが嵌った窓もある。
ただし、白い外観と打って変わって、中に入るとワインレッドに統一されているのは変わらない。クトーの鱗を素材にして作っている以上仕方がないのだが、どうにか染色出来ないか実験してみようと冬樹は思った。
「ここがリビングで、こっちがキッチンな!食材はここに作った地下倉庫に入れておけばいい。外に通じる穴を作ったから、そっちから雪を入れれば十分れーぞーこって奴と同じ役割すんだろ。で、こっち!」
人型に戻ったクトーが冬樹の手を引いて家の中を歩き回る。紹介されたダイニングには大きな石テーブルと椅子が数えて十二脚。一人きりで生活していたクトーだが、これからは友達と呼べる人たちとこのテーブルを囲めるといいなと冬樹は思った。きっと、そういった意図もあっての椅子の数だろう。
「こっからあっこまでが子供部屋な。一応多めに見積もって十室用意したが、まぁそれ以上になったら増築するか」
「は?」
理解は出来た。己の体を竜に変化させることが可能だとわかった時から、クトーの傍に居ると決意した時から、何れクトーとの間に子供を儲けるだろうと思っていた。しかし、子供部屋を十室とは何事かと、冬樹は目を見張る。クトーは多くて十人、冬樹に子供を産ませるつもりらしい。つまりダイニングで見た十二脚の椅子は、誰かを招待するためではなく、クトーと冬樹、そして何れ生まれる十人の子供たちの為のものだ。
驚きの家族計画に眩暈がするが、そんな冬樹に構うことなくクトーは先へと進む。
「んで、ここが俺たちの寝室!」
通された部屋は、ワインレッドに統一されている以上、爽やかとか言えない……むしろ若干エロティズムに満ちた部屋になっていた。
まぁそれも仕方がないと自分を納得させ、部屋をよく検分しようとした矢先、クトーが噛み付くように冬樹にキスをする。
貪るような口付けを驚きつつ受け入れている。押され気味で、思わず足を引いて二、三歩下がるとベッドにぶつかり二人して倒れこんだ。
「っ……ふっ…」
やっと離れた唇から荒く息を吐き出すと、その吐息すら飲み込むようにまた唇を塞がれる。そうされる間にもクトーの手は冬樹の体をまさぐり、気がつけばコートの前身頃は開けられ、中に着ていたハイネックは胸元までたくし上げられている。
「んぅっ……」
冬樹がクトーの背を叩くと、やっと唇が離れた。
「ちょっとっ…急過ぎ……」
冬樹の訴えに、クトーは灼熱に燃え上がる瞳を向ける。
「もう我慢出来ねぇし、する必要もねぇ」
それだけ言うと、クトーは冬樹の全てを奪いつくさんと動き、その欲望を冬樹の中にぶちまけた。
冬樹には、ただ甘く切なく鳴き続けることしか出来なかった。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
竜が歌うは恋の歌 閨に響くは俺の声
後ろ向きミーさん
恋愛
竜騎士見習いの中で、誰よりも龍と心通わせ、まるで手足の様に乗りこなす事が出来るロアン。
その腕前は、歴戦の竜騎士さえも『竜の愛し子』と言わしめる程だった。
しかし竜の里での『娶り』の儀では、どの竜もロアンを選ぶ事は無かった。
竜騎士の道が潰えたロアンの耳に、微かな歌声が届く。
その声に誘われ進んだその先には・・。
小柄で童顔な子犬系騎士 ☓ 大柄肉食系美人
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
出会った番(つがい)は同性でした
奏
恋愛
竜人族のカミラはある日番(つがい)に出会う。相手は旅行に来ていた人族の女の子。
美形が多い竜人族の中でも飛び抜けた容姿の持ち主で、興味のない相手には無表情が基本な竜人族の女性が人違いかと思われるくらい、人族の女の子(番)をでろっでろに甘やかすお話。
*視点の切り替えがあります。
*鬱展開はありません。
*小説家になろうからの転載です
【完結】醜い駐在さんと醜い私
おうさとじん
恋愛
ここには、人が暮らしている
動物が暮らしている
木々は青々と生い茂り、しかし文明の発達により縦横無尽に人が行き来出来る世界
世界の隅々までを人は暴こうと足掻き、そして現実にその殆どが人に曝された世界
線路は続く
世界の果て無き球体の上を
空は近い
飛び回る命を持たない大きな鳥が人々を空へ誘うから
そう、ここは私たちが暮らす世界にとても似通っている
けれど、ほんの少しだけ、私たちの暮らす世界とは違う世界
――これは、そんな世界の小さな国の小さな物語――
容姿にも性格にもコンプレックスのある人間の女性(行き遅れ)と、竜人男性のもちゃもちゃたしたお見合い結婚物語。
2万7千字程度の軽い読み物です。
2012年になろうにあげていた作品ですが、言い回しを直した箇所があります。
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
伯爵は年下の妻に振り回される 記憶喪失の奥様は今日も元気に旦那様の心を抉る
新高
恋愛
※第15回恋愛小説大賞で奨励賞をいただきました!ありがとうございます!
※※2023/10/16書籍化しますーー!!!!!応援してくださったみなさま、ありがとうございます!!
契約結婚三年目の若き伯爵夫人であるフェリシアはある日記憶喪失となってしまう。失った記憶はちょうどこの三年分。記憶は失ったものの、性格は逆に明るく快活ーーぶっちゃけ大雑把になり、軽率に契約結婚相手の伯爵の心を抉りつつ、流石に申し訳ないとお詫びの品を探し出せばそれがとんだ騒ぎとなり、結果的に契約が取れて仲睦まじい夫婦となるまでの、そんな二人のドタバタ劇。
※本編完結しました。コネタを随時更新していきます。
※R要素の話には「※」マークを付けています。
※勢いとテンション高めのコメディーなのでふわっとした感じで読んでいただけたら嬉しいです。
※他サイト様でも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる